10 / 23
10.混乱
しおりを挟む
気が重い夜がもうすぐやって来るーー。
ナナの言う通り逃げるべきか?悩んだ。
けど……。
あと2日の我慢だ。
何とかポンコツ殿下と向き合あおう。
契約書にもちろんサインなんてしない。
あ、でもサインして死んだらどうなるんだろう?
(公爵家に有利な内容に変更して、死ぬのもありなのかな?)
ふとそんな思いがよぎるも、やっぱりあの王家と一切の繋がりをもちたくない気持ちが強くなる。
(ふぅ……)
そろそろ殿下が来る時間だったが、侍従のダニエルが迎えに来た。
「……オルタナ公爵令嬢、殿下がお呼びです」
本当にダニエルが来ると碌なことがない……。
「……今日はこちらから出向くのね、分かったわ」
ダニエルに促され、久しぶりに部屋から出るのを許された。
私の後ろには護衛騎士も配置されており、まるで逃げることなんて出来ないからな、と言われているようだった。
しばらく歩くと、殿下の寝室に案内された。
(……自分の寝室でなさりたい、ということ?)
それならそれで構わないが、単に面倒だった。
「……聖女様もいらしております」
……聖女様?
ますます分からないが、何か意図があるのだろう。
「マリオット殿下、オルタナ公爵令嬢をお連れしました」
私は久しぶりに殿下の寝室を訪れた。
そこには、殿下の腕にぶら下がるようにして寄り添う聖女の姿もあった。
「……ご用件は何でしょう?」
聖女は何故かかなり際どいナイトウェアを身にまとっていた。
「マリオット様ぁ~。この人、相変わらず愛想の一つもないよぉ~」
ケラケラ笑う聖女様。
こんな品位の欠片もない女に馬鹿にされるのは屈辱だが今は耐えるしかない。
「仕方ない。何せ婚約破棄された身だからな……」
「でもぉ~。側妃になれるのにぃ~」
私はまたしても、見えないように拳を握りしめながら顔は冷静さを保っていた。
「そうだな、でもミアラのせっかくの好意を不意にしたいらしいからな」
「でも、こんな貧相で、根暗でブスとマリオットは寝ないといけないんでしょう?かわいそう……」
貧相で、根暗でブスって……!
(たかが平民に……!)
無事脱出したら間違いなくこの二人には倍……いやいや1万倍返ししなくては……!
「だから、今からこの女を仕方ないから抱かないといけない」
「本当に最悪ぅ~。こんな女を抱かないといけないなんて。マリオット様がぁ~かわいそう」
……ま、また言う?かわいそう?
「……殿下、それで何のご用でしょうか?聖女様もいらして……。私はお邪魔かと……」
「相変わらず面白味がないやつだな……。ミアラの願いだから仕方なしに呼んだまでだ。ミアラがどうしても君を抱いているところを実際見たいと……」
「……は、はぁ?」
私は想像の斜め上をいく展開に素っ頓狂な声をあげた。
「……もちろん、拒否できないよ?」
何でこうなるのか本当に意味が分からない……。
「だってぇ~。いくらこんな女を愛してないってマリオット様が言っても信じられなくて~。おまけに毎晩抱いてるでしょう?だから直接見たら愛してないかどうか分かるかなって~」
なんでこうなる?
私は後退りしながら、二人を睨みつける。
「せ~のっ!」
気持では逃げているつもりだった。
けれど……。
私は、ポンコツ殿下と聖女様に無理やりベッドに突き倒された。
ナナの言う通り逃げるべきか?悩んだ。
けど……。
あと2日の我慢だ。
何とかポンコツ殿下と向き合あおう。
契約書にもちろんサインなんてしない。
あ、でもサインして死んだらどうなるんだろう?
(公爵家に有利な内容に変更して、死ぬのもありなのかな?)
ふとそんな思いがよぎるも、やっぱりあの王家と一切の繋がりをもちたくない気持ちが強くなる。
(ふぅ……)
そろそろ殿下が来る時間だったが、侍従のダニエルが迎えに来た。
「……オルタナ公爵令嬢、殿下がお呼びです」
本当にダニエルが来ると碌なことがない……。
「……今日はこちらから出向くのね、分かったわ」
ダニエルに促され、久しぶりに部屋から出るのを許された。
私の後ろには護衛騎士も配置されており、まるで逃げることなんて出来ないからな、と言われているようだった。
しばらく歩くと、殿下の寝室に案内された。
(……自分の寝室でなさりたい、ということ?)
それならそれで構わないが、単に面倒だった。
「……聖女様もいらしております」
……聖女様?
ますます分からないが、何か意図があるのだろう。
「マリオット殿下、オルタナ公爵令嬢をお連れしました」
私は久しぶりに殿下の寝室を訪れた。
そこには、殿下の腕にぶら下がるようにして寄り添う聖女の姿もあった。
「……ご用件は何でしょう?」
聖女は何故かかなり際どいナイトウェアを身にまとっていた。
「マリオット様ぁ~。この人、相変わらず愛想の一つもないよぉ~」
ケラケラ笑う聖女様。
こんな品位の欠片もない女に馬鹿にされるのは屈辱だが今は耐えるしかない。
「仕方ない。何せ婚約破棄された身だからな……」
「でもぉ~。側妃になれるのにぃ~」
私はまたしても、見えないように拳を握りしめながら顔は冷静さを保っていた。
「そうだな、でもミアラのせっかくの好意を不意にしたいらしいからな」
「でも、こんな貧相で、根暗でブスとマリオットは寝ないといけないんでしょう?かわいそう……」
貧相で、根暗でブスって……!
(たかが平民に……!)
無事脱出したら間違いなくこの二人には倍……いやいや1万倍返ししなくては……!
「だから、今からこの女を仕方ないから抱かないといけない」
「本当に最悪ぅ~。こんな女を抱かないといけないなんて。マリオット様がぁ~かわいそう」
……ま、また言う?かわいそう?
「……殿下、それで何のご用でしょうか?聖女様もいらして……。私はお邪魔かと……」
「相変わらず面白味がないやつだな……。ミアラの願いだから仕方なしに呼んだまでだ。ミアラがどうしても君を抱いているところを実際見たいと……」
「……は、はぁ?」
私は想像の斜め上をいく展開に素っ頓狂な声をあげた。
「……もちろん、拒否できないよ?」
何でこうなるのか本当に意味が分からない……。
「だってぇ~。いくらこんな女を愛してないってマリオット様が言っても信じられなくて~。おまけに毎晩抱いてるでしょう?だから直接見たら愛してないかどうか分かるかなって~」
なんでこうなる?
私は後退りしながら、二人を睨みつける。
「せ~のっ!」
気持では逃げているつもりだった。
けれど……。
私は、ポンコツ殿下と聖女様に無理やりベッドに突き倒された。
0
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?
猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。
風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。
日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。
「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」
その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。
自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。
ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。
日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放?
ふざけるのもいい加減にしろ。
温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。
「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。
ええ。
被害者はこっちだっつーの!
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる