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12 関係図

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ーー薬草モーイエの主要成分であるヘンプリンの高濃度濃縮。

ーーそのヘンプリンを使った洗脳。

かなり大掛かりな内容に背後の黒幕を疑ったが、まさかハーナフ国だったなんて。

(何か繋がるところは、繋がるのね……)

黒薔薇姫ことロゼッタ殿下の後ろ盾とされるのは、彼女の母方の国であるマーベローだった。

マーベロー国は、特に主要農作物などがないため、古くから薬草研究を始め、薬や毒の研究が盛んな国だ。

(確か、最近また薬の研究所が出来たと新聞で見た気がする……)

洗脳に使える薬草であるモーイエの産地は、ホワイティア伯爵領。

そこにつながる領地であり、婚姻関係が結ばれようとしているボールドワルド伯爵領。

(物凄く支配しやすい間柄だよね……)

この2つの領地を納めてしまえば、原料の確保が容易い。

(おまけに、カイトの領は隣り。都合良すぎるよね……)

しかし、これが実現してしまうと、ここはマーベロー国になってしまう。

(あっ……!もしかして……!)

私はある可能性に気が付いた。

あの婚約者無能男は、おそらく領主の言いなり。
おまけに、ホワイティア伯爵領はモーイエの産地なのになぜか貧乏。

恐らくお金の問題でホワイティア伯爵はマーベローか、もしくはハーナフに頭が上がらない。何か意図的に嵌められた可能性も高い。

ホワイティア伯爵領で収穫されたモーイエは、マーベローの研究所でモーイエの主成分であるヘンプリンに濃縮され、ハーナフを通じて販売されているのだろう。

(これは国家的な戦略?もしくは、自国の転覆を狙う勢力の勢力を拡大するためのもの……?)

今の段階では情報が少なすぎて判断がつかない。

もしかしたら、あのホワイティア伯爵家の人間も、洗脳されている可能性すらある。

(うーん、まずどこから手をつけるべきか……?)

私は、頭の中の整理をするためノートに今までの関係国や人物の図式を書き出した。

「おーい、ジョジョ?」

師匠が真剣に書いている私の横に腰掛けてノートを覗きこんできた。

「師匠。ホワイティア伯爵領の人間もヘンプリンで洗脳されてる可能性はないかな?」

私の仮説を話すと、カイトもロデムもなるほど、と頷いてくれた。

「まぁ、会ったこともないから何とも言えないが、すぐに激昂するところや、思い込みの激しいところを見ると、可能性はあるな……。もしそうなると、ヘンプリンの中毒者同士がになることになるな。胎児への影響は全く分からないし、遺伝子的に問題がないといいんだが……」

「なら、産ませないほうがいいのかな?」

「子供に罪はないからなぁ。難しいなぁ。おまけに、お前さんが、一番面倒な立場になるしなぁ」

(そうだよね……。私……)

はぁ……。

「まあ、子供が無事産まれる保証もないしな。とりあえずは、どこかにひっこんどいてもらって、計画的に進めるしかないんじゃないか、なあ?ロデム」

「ええ、まあそうですね。今、ハーナフとマーベローにも密偵を放ってますし。濃縮されたヘンプリンの販売ルートも時期に掴めるかと。証拠さえ揃えば、ハーナフもマーベローも国際的に厳しい立場になりますし……。そうなれば、カイトライトの婚約も破棄される可能性が高い。良いことづくめな結末かと」

そこにはロシュナイダー国の思惑とロデム個人の思惑が入り混じっていることなんて、私は全く気がついていなかった。


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