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新たなる……
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「……妻に何か問題が?どこか悪いのか?」
レイが責めたてるように医師に近寄る。
「い、いえ……。ご安心下さい。転倒した際に打ち付けた箇所はしばらく痛むと思いますが、見たところ頭部への影響もないようです。それより……」
「それより?」
「今、触診と脈診させて頂き、ほぼ間違いないかと思いますが……。奥様はご懐妊されていらっしゃいます」
うん?
解任?
いやいや……。
懐妊?!
レイも私も一瞬何をか言われているか分からず、ポカンとしていた。
「先生、えっと……私は妊娠している、と言うことですよね?」
医師は頷いた。
「れ、レイ?聞いてた?」
「もちろん聞いていたが……。突然すぎて……。ぁあ、ぁあ………!リリー!ありがとう!本当にありがとう!」
レイの瞳からは涙が溢れていた。
「ご主人様、父親になるんですよっ!リリーはママに!おめでとうございます!」
エマの明るいテンションにまだついていけなかった。
「あ、あの先生?私、転倒してしまいましたが、大丈夫でしょうか?」
「マリーベル奴……もし侯爵家の跡継ぎに問題が起こったらタダじゃおかない……!」
医師からは念のため病院で精密検査を受けるように言われ、私は手配をお願いした。
「とにかくまだ妊娠初期ですので、くれぐれも無理されませんよう」
医師はそう言い残し部屋を後にした。
この私の妊娠の知らせは瞬く間に公爵家に広がり、到着早々ものすごい騒ぎになってしまった。
公爵夫妻の喜び様はすごかった。
私にどんどん産んでちょうだい、とプレッシャーをかけられる始末。なぜなら、ラインハルト様とマリーベル様との間に子供が産まれなければ、養子にもらうから、だそうだ。
(まあ、何となく言いたいことも分かるけど……)
あのマリーベル様だ。
何とかするだろうが。
もちろんマリーベル様には正式に通達をしてもらい、無事出産するまでは私とレイに接近することを禁じてもらった。
(ふぅ。何だかすごい展開で頭が追いつかないし……)
ともあれ、侯爵家の後継ぎは出来た。
だから、無事出産するまで頑張るのみだった。
レイが責めたてるように医師に近寄る。
「い、いえ……。ご安心下さい。転倒した際に打ち付けた箇所はしばらく痛むと思いますが、見たところ頭部への影響もないようです。それより……」
「それより?」
「今、触診と脈診させて頂き、ほぼ間違いないかと思いますが……。奥様はご懐妊されていらっしゃいます」
うん?
解任?
いやいや……。
懐妊?!
レイも私も一瞬何をか言われているか分からず、ポカンとしていた。
「先生、えっと……私は妊娠している、と言うことですよね?」
医師は頷いた。
「れ、レイ?聞いてた?」
「もちろん聞いていたが……。突然すぎて……。ぁあ、ぁあ………!リリー!ありがとう!本当にありがとう!」
レイの瞳からは涙が溢れていた。
「ご主人様、父親になるんですよっ!リリーはママに!おめでとうございます!」
エマの明るいテンションにまだついていけなかった。
「あ、あの先生?私、転倒してしまいましたが、大丈夫でしょうか?」
「マリーベル奴……もし侯爵家の跡継ぎに問題が起こったらタダじゃおかない……!」
医師からは念のため病院で精密検査を受けるように言われ、私は手配をお願いした。
「とにかくまだ妊娠初期ですので、くれぐれも無理されませんよう」
医師はそう言い残し部屋を後にした。
この私の妊娠の知らせは瞬く間に公爵家に広がり、到着早々ものすごい騒ぎになってしまった。
公爵夫妻の喜び様はすごかった。
私にどんどん産んでちょうだい、とプレッシャーをかけられる始末。なぜなら、ラインハルト様とマリーベル様との間に子供が産まれなければ、養子にもらうから、だそうだ。
(まあ、何となく言いたいことも分かるけど……)
あのマリーベル様だ。
何とかするだろうが。
もちろんマリーベル様には正式に通達をしてもらい、無事出産するまでは私とレイに接近することを禁じてもらった。
(ふぅ。何だかすごい展開で頭が追いつかないし……)
ともあれ、侯爵家の後継ぎは出来た。
だから、無事出産するまで頑張るのみだった。
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