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新婚旅行

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私たちが結婚してレイが本格的に侯爵領のテコ入れをしてくれたおかげで、侯爵領の評判も、税収もうなぎ登り。

ミスボス商会は少し早いが、オスカーに全てを譲り、私は脚本と企画に専念することにした。  

レイもサザーランド商会を引継ぎしながら、ミスボス商会とも連携をとっており、上手い具合に商売を回していた。

あのイザベラとエリアルが荒らした侯爵家の立て直しも最終段階に差し掛かり、ローナンが侯爵家でも筆頭執事として活躍していた。

使用人一同は、イザベラの息がかかっていた人物は解雇し、新たに孤児院、公爵家からも迎え入れた。

もちろん、私付きの侍女はマリア、後はエマ。
それと、ダイエルだ。

「新婚旅行、楽しみだなー」

立て直しの最終確認を兼ねて、今日から侯爵領と公爵領を回り、最終的には公爵家でしばらく滞在する予定だ。

マリアが荷造りをしながら、私の支度をしているエマに指示を出していた。

「久しぶりに、ワンランク上な町娘風?」

さすがに単なる町娘はまずい、とのことで、ワンランク上な町娘スタイルに仕上がっていた。

「このワンピースも、次回作品で主人公が着る予定のものだしねっ!」

綿100%の淡い水色の生地に、大胆な百合の花がプリントされていて、サラッと着れるがかなりゴージャスに見える高見えファッションなワンピースだ。

「そろそろ出発のようですので、馬車に荷物を積み込みます」

トランクにすると、10個以上になる荷物だ。

(まあ、一ヶ月近いから仕方ないか…)

マリアもエマもダニエルももちろん同行する。
ローナンはお留守番だ。

レイはというと、これまたかなりラフな格好ではあるものの、私のコーディネートに合わせた薄い水色のジャケットに、真っ白なシャツ、白の細みのパンツとこれまた素敵だった。

 「では、出発するとしようか?リリー。後は頼んだ、ローナン」

馬車3台が連なり新婚旅行が幕開けた。

そして、この新婚旅行で忘れていたあの方に出会うことになるなんてこの時は知る由もない。
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