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ロマンス小説

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ふー、疲れたー!

 そりゃあ、疲れるはず。だって。学院から徒歩で帰宅したら、5時間もかかったよ……。
 本当に私は淑女じゃないわ(笑)足がむくむわ、ぱんばんだしっ。

 自室のある侯爵家の使用人棟の一室にようやく帰るとベッドにダイブした。昔のベッドは、スプリングも素晴らしかったけど今は単なる板。でも、もう二年もいるから気にしない、気にしない。

 継母が侯爵家に来てから昔の使用人がほぼ解雇されて、残された数名のメイドが唯一の知り合い。でも、私と仲良くするとすぐにとばっちりを受けるから、今では一定の距離を保ってもらってる。

 私はメイドというか使用人の一人、という認識になって毎日掃除や洗濯やら、買い出しにみんなと一緒に精を出す。それがなんやかんやで楽しかった。

 そして、幸か不幸か使用人棟に馴染みすぎて?ほぼ自由な存在になり?(放置とも言う。が監視はされてると思う)母が残したお金でこっそりと家庭教師を雇って勉強してる。

 メイドは24時間のシフト制だから、月に数日ある休みの日に別宅に行き、家庭教師から教えを乞う。科目は、普通の淑女教育以外に、領主としてしるべきこと。経済や、貿易、経理や語学など多岐に渡る。学び始めたのは使用人棟に行ってから。

 正直、貴族学院に行かなくても全然問題ないレベルに仕上がりつつあるとは思うものの、唯一学院に通わないと出来ないのが人脈作り。

(それが出来ないのは痛いわ……)

 とりあえずは手続き上すぐに入学するのは難しそうらしく、使用人しながら勉強しながらプランBである副業をスタートさせることにしなくては。

 まずはお金を稼ぐ!

 で、私が最初に目をつけたのが、そう。
 ウフフっ。

 小説を書くこと。それもロマンス小説!

 これなら、資金0でも問題ないし、時間の拘束もない。

 で、何でロマンス小説かって?

 何せメイドや使用人の情報網は凄くて。あの噂話を何とかして活かせないかなーと思い付いたわけ。

 私は今まで休憩室で仕入れた噂話をメモし、きちーんと保管してあったりする。

 まずは、来月締め切りのコンテストに応募する。

 タイトルは、ずばり

『婚約破棄された令嬢は、救国の騎士に溺愛される』

 …………モデルは、某伯爵令嬢であることは秘密。
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