上 下
20 / 40

スカイウォーク

しおりを挟む
「うん、今日は伊豆に行こうと思ってるよ」
「伊豆?」

 しばらく東京を走ったあと、小鳥遊の車は首都高へと入った。東京タワーを過ぎ、スカイツリーも通過して、車はいつしか緑深い山の中へと入っていく。
「さやかは、こっちの方はあまり来たことがないんじゃないかとおもってね」
「そうですね。南の方は、全然……」
 東京までが、さやかの知っている限界だった。
「雪が降らないからね、冬の車旅行は、南の方がらくだよ」
 その言葉に、さやかは全力で同意した。
「そうですね。冬なんて、雪を見ない方がいいに決まってます」
「わぁ、実感のこもった言葉。やっぱ雪かきとかさせられるの?」
 さやかの実家は、もうすでに雪に包まれているだろう。初雪の写真を、だいぶ前に母がスマホで送ってきたくらいだから。
「毎日毎日かいても降ってきますからね、ほんとうんざりしますよ」
 小鳥遊はただ、さやかが雪の悪口を言うのをニコニコ聞いている。
(小鳥遊さんてーー私にいっぱいしゃべらせるけど、自分のこと、あんまりしゃべってくれないよね)
 元カノの事も、誕生日苦手の件についてもーーなんだか、さやかから聞くのははばかられた。
(いや待って、そんな重大な事じゃなくて、どうでもいい事から聞けばいいんじゃないか?) 
 むしろどうでもいいところから、その人の人物って掴めるんじゃないだろうか。
 たとえば、朝は紅茶かコーヒーか。目玉焼きには、ソースか塩か。
 ピンときたさやかは、おもむろに聞いてみた。
「小鳥遊さんは、猫派ですか。犬派ですか」
「え、どうしたのいきなり」
「小鳥遊さん、あまり自分自身のこと、喋らないなって思って。聞いてみました」
 すると小鳥遊は、呆気に取られたような顔をした後、くしゃっと笑った。
「そうか……そうだなぁ、うーん……どっちも可愛いから、選べないなぁ」
「さては動物好きですか」
「そうだね。飼ったことないけど。さやかは?」
「うーん……たしかに悩みますね……でも強いていえば、犬でしょうか。昔飼っていたので」
「そうなの? いいなぁ」
「小鳥遊さんは、自分が飼いたいって思わないんですか?」
「思うよ。茶色い柴犬とか、飼ってみたい。でも、仕事が忙しいからなぁ」
「あぁー、柴犬、かわいいですよねぇ」
 犬に猫、スイカの塩、そして酢豚のパイナップルは許せるか許せないかーー。
 そんなどうでもいい話をしているうちに、車は高速道路を伊豆で降りた。
 富士山が近くに見える。そのことにさやかは興奮した。
「富士山だ! 大きいですねぇ。実物を見るには初めてです」
 冬の富士山は、雪をかぶっていて、よくテレビなどで見る、見事な青富士になっていた。小鳥遊も富士山を横目で見つつ、うなずいた。
「うそ。東京からでも見えるよ?」
「高い場所からは見えるかもしれませんが、そんなところ行かないので……」
 なるほど、と納得した様子で、小鳥遊は時計を見た。
「そっか……それにしてももう着いちゃったよ。早かったね」
「2時間ちょっとかかりましたね。これって早い方なんですか?」
 さやかが聞くと、小鳥遊は前を見つめたまま笑った。
「いや、体感的に一瞬だったってこと。すごいなぁ」
 なにがすごいのかさやかはよくわからなかったが、小鳥遊が嬉しそうなので、つっこまないでおいた。
「そうだ、富士山はじめてなら、もっと綺麗に見える場所行こうか」

 ーー足の下で、吊り橋が揺れている。
「ひ、ひぇぇ、高い」
「大丈夫? 手を繋いで行こうか?」
「だ、大丈夫です、お気遣いなく」
 峡谷にかかった長い吊り橋の上に、さやかは居た。
 さやかはきりきりしているが、小鳥遊は余裕で歩いていた。今日は会社と違ってスーツではなく、シンプルな紺色のセーターに、チャコールグレイのロングコートを羽織っている。背の高い彼が、コートの裾を翻しながらすたすた橋の上を歩いていくのは、まるで映画のワンシーンのように見えた。
(ううーん、朝ドラ……いや、月9の俳優みがある……)
 そして一方のさやかは、ひゅおおおと風が当たり、思わず橋の欄干を掴んだ。
(ひっ、橋揺れた! 風つめた!でも…… なんだろう)
 広大な山々を渡ってきた風からは、山の清浄な香気と冬の森の匂いがした。足元から目を上げると、峡谷のその向こうに、富士山が聳え立っている。
(富士山から送られてきた風……って思うと、なんだかご利益ありそうな気がする)
 空気の冷たさも、体の芯までこごえてしまいそうな容赦ないものではなく、どこかお日様の光をあびて温められたような、のどかな寒さだった。
「さやか? 平気?」
 景色を眺めていると、月9俳優が隣から覗き込んできた。
 いつもよりふわっと崩した茶色い髪が、彼を幼く見せている。見ているこちらもついつられてしまうような、はちみつみたいに甘く柔らかな休日の笑顔。
 ーーピシッとしたスーツを脱いだら脱いだで、別の顔を見せてくるのだから、油断ならない。
「へ、平気です。そこまで寒くないので。いい場所ですね、伊豆って」
「でしょう。夏は涼しくて、冬は温泉もあるし」
 橋のむこうで、なにか美味しいもの食べようよ、と小鳥遊が手を差し出した。
 ーー男の子と、いや、誰かと手を繋ぐなんて、何年ぶりだろう。
 ためらいながら、さやかはその手を握った。
 すると、小鳥遊はちょっとほっとしたような顔をした。
「よかった、つないでくれて」
「そりゃあ、まぁ」
 ここで恥ずかしいからといって拒否するのはさすがに子供っぽいし、さやかとて、手を繋ぎたくないわけじゃないーー。
「冷たいね、さやかの手」
 手を繋ぐと、小鳥遊は急いで歩き始めた。
「冷えちゃったかな。早く暖かいところに行かないと」
 さやかは雪国育ちである。手が冷たいのはただの体質で、こんな寒さはどうということもない。けど。
(なんだろう、嬉しいような、くすぐったいような)
 大事にされるのって、こんな感じなんだーー。
 さやかは少し頬を赤くしながら、黙ってついていく。
 その間も、小鳥遊は心配そうに言っていた。
「そうだ、このあとは温泉に行こうか。貸切のいい場所知ってるんだ。海が綺麗に見えてるんだ。それからーー」



 海の見える温泉、クリスマスマーケット、それにイルミネーション……
 たった1日だったが、さやかは一生分の経験をしたような気持ちで、夕方車に揺られていた。車は、誰もいない山の中を走っていた。
「ついた、今日泊まるのはここ」
 小鳥遊が車を停めた先は、そこだけ暖かなオレンジ色の灯りに染まっていた。
「ここは……? お宿…… ですか?」
 小鳥遊が車を降り、すべての荷物を持ってさやかを誘導した。
「いや、ウチの別荘。コテージっていうのかな?」
 さくさく落ち葉を踏みながら小鳥遊についていくと、その先には、まるでフェアリーテイルに出てくるような可愛らしいお家があった。
 煙突のついた屋根に、煉瓦の石畳。窓の中は暖かそうな灯りに満たされてーー。
(す、すごい。おとぎ話の中に入っちゃうみたいな)
 キィ、と扉を開けて中へ入ると、玄関を入ってすぐに、居心地の良い居間が広がっていた。ひろびろとした吹き抜けの空間を、暖かなライトが照らし出している。
 至る所にキャンドルが置かれ、部屋の中央には、オーナメントがどっさり飾られたクリスマスツリーが立っていた。
「わぁ……」
 サンタさんの家みたい、とさやかが感動する中、 勝手知ったる、という感じで、小鳥遊はふかふかの絨毯を横切り、暖房のスイッチを入れた。
「とりあえず、飲み物入れるよ。ここに座ってて」
「私も荷解きとか手伝いますよ」
「まず温まるのが、今のさやかのすることだよ」
 小鳥遊はアイランドキッチンへと向かい、さやかはすみません、おかまいなく、とつぶやきながら暖房の前のソファに座った。
(わぁ、これって暖炉?)
 目の前のモノリスのような立派な黒い暖房の中でーーあかあかと炎が燃えていた。暖炉というと、薪をくべるイメージがあったが、これスイッチ一つで起動する家電の暖炉、らしい。
(ああでも、火って暖かいな……)
 暖炉の前に手を差し出して温まっていると、小鳥遊がマグカップを二つ持って隣に座った。
「どうぞ、ココアだよ」
 チョコレートのいい匂い。真ん中には、ふわっとした星の形のマシュマロが溶けかけている。
「わ、美味しそう。小鳥遊さんが作って……?」
 すると、小鳥遊は種明かしをするように、からの包み紙を見せた。英語で「ポーラスター」と書かれた下に、星のマシュマロが浮いたココアが描かれている。
「インスタントだよ。どこのかな……輸入品っぽいね」
「美味しそう……それに、可愛いです」
 さやかはじっとマグカップをのぞいた。星が、チョコレート色の空の中に溶けていく。
「キッチンにいっぱいあるから、好きなだけ作ってあげるよ。ケータリングを頼んでおいたから、冷蔵庫のものは好きに食べてね」
 ーーこんなにたくさん、さやかのためにいろいろしてもらった。今日一日のそれらが身に沁みて、さやかは頭をさげた。
「今日はありがとうございました、小鳥遊さん」
「ん? どうしたの、改まって」
「イルミネーション、綺麗でした。温泉も……。私、あんまり旅行とか行ったことなくて。だから、楽しかったです」
 すると小鳥遊は嬉しげにさやかを見た。
「ふふ、本当? 嬉しいな。俺もすごく楽しかったよ。イルミネーションも、それを見てるさやかも、綺麗だった」
 ーーもう、そんなこと言って。
 とは、さすがにさやかももう、言えなかった。
 だって、小鳥遊にそう思って欲しくて、さやかは今までしてこなかった服選びやメイクを、今朝頑張ってきたのだから。
 だから、勇気を出して。
「あ……ありがとうございます。小鳥遊さんも、その、かっこよかっ……たです」
 かなりつっかえながら、さやかが言うと、小鳥遊はじっとさやかの顔を覗き込んできた。
「ありがと。嬉しいな……でも、ねぇ、そろそろ苗字じゃなくて、名前で呼んでほしいな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エリート魔術師様に嫌われてると思ったら、好き避けされてるだけでした!

小達出みかん
恋愛
治療院の魔術師助手として働くイリスには、苦手な上司がいる。エリート魔術師のサイラス・スノウだ。クールな彼は、なぜかイリスにだけ冷たい。しかしある日、体調不良で病欠したサイラスに荷物を届けに行くと、発情期を迎えた彼に「なぜあなたがここに? そうか、これは夢なんですね」と押し倒されてしまう! 実はサイラスは、この世界にただ一人の「淫魔」の生き残りであった。 発情期には、人間とセックスしないと飢えてしまう彼のために、イリスは仕方なしに、月一の発情期に付き合う取引を結ぶが、彼はなぜか恋人のように溺愛してきて――。 ※普段はクールな天才魔術師…のはずが、実はじっとり執着系で愛が激重、そんなヒーローを、ヒロインがビビりつつもよしよし…と受け入れてあげるラブコメ、です。 ※病院みたいな施設を舞台にした、なんちゃってファンタジー世界です、設定などゆるふわです…

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。 待ってましたッ! 喜んで! なんなら物理的な距離でも良いですよ? 乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。  あれ? どうしてこうなった?  頑張って断罪劇から逃げたつもりだったけど、先に待ち構えていた隣りの家のお兄さんにあっさり捕まってでろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。 ××× 取扱説明事項〜▲▲▲ 作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想、動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+ 皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。 9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ⁠(⁠*゚⁠ー゚⁠*⁠)⁠ノ

物語のようにはいかない

わらびもち
恋愛
 転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。  そう、言われる方ではなく『言う』方。  しかも言ってしまってから一年は経過している。  そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。  え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?  いや、そもそも修復可能なの?   発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?  せめて失言『前』に転生していればよかったのに!  自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。  夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

「王子と恋する物語」-婚約解消されて一夜限りと甘えた彼と、再会しました-✨奨励賞受賞✨

悠里
恋愛
第17回 恋愛小説大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございました(2024/3/29) 週末実家に結婚の挨拶に行くタイミングで振られた主人公が泣いているところに、王子様みたいな人が現れた。一人で泣くか、甘えるか、と聞かれる。夢みたいな一晩を過ごした翌日、職場で再会して……。 詳しく↓ ◇ ◇ ◇ ◇ 清水 琉生(しみず るい)♡中川琴葉(なかがわ ことは) 強がって頑張りすぎて、空回り。よく男の人に「可愛くない」って言われてきた。 二十歳で初めて付き合っていよいよ結婚という時に、婚約者に、好きな人が出来たと振られた夜。 王子様みたいな人に愛された。 自分にそんなことができるなんて思わなかった、一度限りの、夢みたいな夜。 ところが、その王子様・琉生と職場で再会。 元婚約者も、その浮気相手も、同じ職場。 私と琉生が接してると、元婚約者が私を気にしてくるし、さらに浮気相手は琉生のことも気になるみたい。 もうこんなの……カオスだ。

たしかに私は『聞き上手令嬢』ですが、何でも言うことを聞くだなんて誤解ですわよ?

来住野つかさ
恋愛
シンシアは静かに怒っていた。目の前の男が、『自分と婚約した暁には浮気を了承し、婚姻後、伯爵家の仕事は全て君に任せたい』などとふざけたことを言ってきたからだ。たしかに私は『聞き上手令嬢』と呼ばれ、人の話をよく聞きますが、何でも言うことを聞くとは言ってませんけど? 反論しようにも、先に話すのは僕だ、と言って悦に入った顔で滔々と戯言を述べている男は止まらない。次のターンでは絶対反撃してやる! あの方が来る前に······。

別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが

リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!? ※ご都合主義展開 ※全7話  

処理中です...