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本編
01話
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辛くなったら、誰かを頼ればいい。
そんな簡単なことが、僕にはできなくて。
すべて、自分で解決しなくてはいけないような気さえしたんだ。
―――いつか、自分が壊れてしまうことも考えないで……
要領よく、生きるなんてできっこない。
人間は不器用ながらも、必死に生きることを選んでる。
つまり、僕らは上手くなんて生きられない。
ドゥーユーらいくティーチャー?
――あいらいくティーチャー。
***
「恋愛なんて、勘違いってことがよくあるぞ」
「それでも、先生がいい!」
…もし教え子に惚れられたら、あなたはどうしますか?
俺は、絶対に断ります!
「はぁー何回も言わせるな。お子様はお断りだ」
「せ、先生~ひどい。すっごく好きなのに」
好きだから? それが、どうした。
そんなもん一時の感情でしかないんだろ?
「相変わらず、冷たいね。柳瀬はさぁ」
「…雨森……」
「僕なんか喜んで付き合うけどね?」
「お前と一緒にするな!」
生物の先生、雨森 陽一がからかうように言った。
確か、コイツは生徒と一緒に住んでいるとかいないとか。
それが、親の再婚相手の娘だとか……
「教師のくせに、たるんでるよな、お前」
「ありがとーう」
「褒めてねえーよ!」
「…あの、先生? 私の事嫌いなんですか?」
「あ゛? 嫌いだよ!」
「え…」
今さらながら一時の感情でものを言ってはならない、と教訓した。
「ほんと、不器用だよね~柳瀬は」
「余計なお世話だ…」
教え子には、好きだとか嫌いだとか…個人の感情を表には出してはならない。
だから、先程の状況はまずかったと思う。
―――あの後。
「…嫌いでも、いいです…それでも、諦めませんからっ…」
と、涙を目にいっぱい溜めて言う生徒を見る羽目になってしまった。
教師失格だと、自虐になってしまう。
「榎戸さんは良い子だよ」
「……お前、何が言いたい?」
「んー…いや、柳瀬って全く人を頼らないでしょ。疲れない?」
「………」
的を得ているのか、いないのか…よく分からない雨森の言葉に首を傾げてしまう。
「だーかーら、柳瀬はたまには人を頼りなさい!」
「…それと、榎戸はどう関係があるんだ?」
「あの子が、柳瀬の支えになってくれるといいなぁーていう、僕の願いだよ」
「は?んなことあり得ない」
「そうかなぁ?」
おどけた様子で雨森は笑った。
「…何がそんなに面白いんだ」
「いや~あの子が柳瀬にとって大事な人になったら楽しいなぁてね」
そう考えると笑えるんだ、と雨森は言った。
この時の言葉が実現するなんて誰か考えただろうか。
少なくとも、俺には思いもしなかったわけだが。
そんな簡単なことが、僕にはできなくて。
すべて、自分で解決しなくてはいけないような気さえしたんだ。
―――いつか、自分が壊れてしまうことも考えないで……
要領よく、生きるなんてできっこない。
人間は不器用ながらも、必死に生きることを選んでる。
つまり、僕らは上手くなんて生きられない。
ドゥーユーらいくティーチャー?
――あいらいくティーチャー。
***
「恋愛なんて、勘違いってことがよくあるぞ」
「それでも、先生がいい!」
…もし教え子に惚れられたら、あなたはどうしますか?
俺は、絶対に断ります!
「はぁー何回も言わせるな。お子様はお断りだ」
「せ、先生~ひどい。すっごく好きなのに」
好きだから? それが、どうした。
そんなもん一時の感情でしかないんだろ?
「相変わらず、冷たいね。柳瀬はさぁ」
「…雨森……」
「僕なんか喜んで付き合うけどね?」
「お前と一緒にするな!」
生物の先生、雨森 陽一がからかうように言った。
確か、コイツは生徒と一緒に住んでいるとかいないとか。
それが、親の再婚相手の娘だとか……
「教師のくせに、たるんでるよな、お前」
「ありがとーう」
「褒めてねえーよ!」
「…あの、先生? 私の事嫌いなんですか?」
「あ゛? 嫌いだよ!」
「え…」
今さらながら一時の感情でものを言ってはならない、と教訓した。
「ほんと、不器用だよね~柳瀬は」
「余計なお世話だ…」
教え子には、好きだとか嫌いだとか…個人の感情を表には出してはならない。
だから、先程の状況はまずかったと思う。
―――あの後。
「…嫌いでも、いいです…それでも、諦めませんからっ…」
と、涙を目にいっぱい溜めて言う生徒を見る羽目になってしまった。
教師失格だと、自虐になってしまう。
「榎戸さんは良い子だよ」
「……お前、何が言いたい?」
「んー…いや、柳瀬って全く人を頼らないでしょ。疲れない?」
「………」
的を得ているのか、いないのか…よく分からない雨森の言葉に首を傾げてしまう。
「だーかーら、柳瀬はたまには人を頼りなさい!」
「…それと、榎戸はどう関係があるんだ?」
「あの子が、柳瀬の支えになってくれるといいなぁーていう、僕の願いだよ」
「は?んなことあり得ない」
「そうかなぁ?」
おどけた様子で雨森は笑った。
「…何がそんなに面白いんだ」
「いや~あの子が柳瀬にとって大事な人になったら楽しいなぁてね」
そう考えると笑えるんだ、と雨森は言った。
この時の言葉が実現するなんて誰か考えただろうか。
少なくとも、俺には思いもしなかったわけだが。
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