146 / 147
8章.神々の黄昏編
138.クロムの決断
しおりを挟む
はじけ飛んだ光の玉。
その閃光が収まると、そこには創造神メテオライトがいた。
「はい、おかえりなさい」
『なっ……!!』
違う次元へと逃避したはずのメテオライト。
それが何故かクロムに召喚されたような状態でクロムの目の前にいた。
当然ながら何が起こっているのか、それを理解できずに困惑するメテオライト。
クロムは、そんなメテオライトの状況を完全に無視して、左手を天にかざす。
すると、メテオライトの左足のひざ下が消えさった。
「うんうん、ちゃんと想定通りになっているね」
『どういうこと…… だ』
「チェックメイトってことだよ、創造神メテオライトさん」
『馬鹿なことを―――』
メテオライトが発し始めたその言葉は、最後まで声になることはなかった。
なぜなら、途中でメテオライトの下半身が消滅したため、顔面から地面に激突してしまったのだ。
「こうなっちまうと創造神さまも無様だな……
ただ明確に敵対しちまった以上、どっちかが滅ぶしかないよな」
そう言ってメテオライトを消滅させようとしたとき、クロムはメテオライトの表情が気になった。
何かこのまま消滅させてしまうとマズイ、そんな直感がクロムを思いとどまらせる。
「このまま消滅させると……
お前の思うツボって感じが何故かする。
カオスに相談しようにもあれ以来返事ないしな……」
上半身のみの姿となったメテオライト。
腕を使ってなんとか起き上がったものの、何かを言うわけでもなく、ただ静かにクロムのことを眺めた。
そして、不敵な笑みを浮かべながら話しかけてきた。
『どうした、我を滅ぼすのではなかったのか?』
「そのつもりだったが……、嫌な予感がよぎったんだよ
この世界の神は、必ず何かを司る存在だ。
そしてその神がいなくなるということは、世界からその司るものがなくなるということを意味するとカオスから聞いたことがある。
世界を創造した神が消滅した場合、世界の存在そのものが危うくなる、そんな予感がするんだよ」
『ほほぉ、そうかもしれないし、そうでもないかもしれない。
さて、お前はどうする?』
「……」
『悩む時間はないぞ?
こうしている間にも世界は消滅に向かって進んでいる』
メテオライトはこのような状態であっても世界の消滅をあきらめていなかった。
そしてそれはクロムにも知覚できており、それが真実であることがわかるだけに余計に焦るのだった。
「お前から創造神の座を奪う術もわからない上に、そもそも時間もほとんどない……」
『さぁ、どうする?
我を滅ぼさぬのか?』
「滅ぼすことのリスクが否定できない以上、残念だけど今ここで消滅させるわけにはいかない。
ただ、何もしなければ世界が消滅してしまう……」
悩みぬいたクロムは両手を胸の前で合わせて祈るような姿勢で魔力を今いる次元そのものに満たし始めた。
すると、メテオライトが創りだした王座の間にいたはずのクロムとメテオライトが、いつの間にか真っ白な空間の部屋の中にいた。
『何が起きた……』
「俺とお前しかいないそんな空間に変化させた。
もちろんこの空間はいかなる空間や次元ともつながっていない」
『初めてきた次元に対してこの短時間でそのようなことできるはずがない!!』
「普通にするならその通りだろうな、でも元々仕込んでたものを流用しただけだからな。
別次元に逃避したお前を目の前に召喚するなんてことがなぜできたと思ってる?」
『……』
「お前が存在する次元、それのすべて内包する空間を俺の空間術<ルーム>で生成して包み込んだ」
『先ほどの茶番劇の間にしてたことがそれか……
しかし、それほどのことをしていれば魔力の流れで我が気付かないわけがない!!』
「バレないために、ほぼ効果はないだろうと思ってた魔術の連続攻撃をあれだけハデにやったんだよ。
あれだけ場の魔力も俺の魔力も暴れまわっている状態なら、俺が何かしてたとしても気が付くわけはない」
『まんまとしてやられたわけか……』
「この空間はこれからもっと小さくなる、お前ひとりがギリギリ存在できる程度までな。
自分と虚無しか存在しない空間となり、あらゆる次元から隔離もされている。
つまりは、この空間にお前を封印する!
封印することで滅ぼすことによって発生するリスクを回避しつつ、お前から創造神の座を奪う算段がつくまでの時間を稼がせてもらうよ」
クロムはそのままメテオライトの前から姿を消した。
『……絶対に許さヌ』
その閃光が収まると、そこには創造神メテオライトがいた。
「はい、おかえりなさい」
『なっ……!!』
違う次元へと逃避したはずのメテオライト。
それが何故かクロムに召喚されたような状態でクロムの目の前にいた。
当然ながら何が起こっているのか、それを理解できずに困惑するメテオライト。
クロムは、そんなメテオライトの状況を完全に無視して、左手を天にかざす。
すると、メテオライトの左足のひざ下が消えさった。
「うんうん、ちゃんと想定通りになっているね」
『どういうこと…… だ』
「チェックメイトってことだよ、創造神メテオライトさん」
『馬鹿なことを―――』
メテオライトが発し始めたその言葉は、最後まで声になることはなかった。
なぜなら、途中でメテオライトの下半身が消滅したため、顔面から地面に激突してしまったのだ。
「こうなっちまうと創造神さまも無様だな……
ただ明確に敵対しちまった以上、どっちかが滅ぶしかないよな」
そう言ってメテオライトを消滅させようとしたとき、クロムはメテオライトの表情が気になった。
何かこのまま消滅させてしまうとマズイ、そんな直感がクロムを思いとどまらせる。
「このまま消滅させると……
お前の思うツボって感じが何故かする。
カオスに相談しようにもあれ以来返事ないしな……」
上半身のみの姿となったメテオライト。
腕を使ってなんとか起き上がったものの、何かを言うわけでもなく、ただ静かにクロムのことを眺めた。
そして、不敵な笑みを浮かべながら話しかけてきた。
『どうした、我を滅ぼすのではなかったのか?』
「そのつもりだったが……、嫌な予感がよぎったんだよ
この世界の神は、必ず何かを司る存在だ。
そしてその神がいなくなるということは、世界からその司るものがなくなるということを意味するとカオスから聞いたことがある。
世界を創造した神が消滅した場合、世界の存在そのものが危うくなる、そんな予感がするんだよ」
『ほほぉ、そうかもしれないし、そうでもないかもしれない。
さて、お前はどうする?』
「……」
『悩む時間はないぞ?
こうしている間にも世界は消滅に向かって進んでいる』
メテオライトはこのような状態であっても世界の消滅をあきらめていなかった。
そしてそれはクロムにも知覚できており、それが真実であることがわかるだけに余計に焦るのだった。
「お前から創造神の座を奪う術もわからない上に、そもそも時間もほとんどない……」
『さぁ、どうする?
我を滅ぼさぬのか?』
「滅ぼすことのリスクが否定できない以上、残念だけど今ここで消滅させるわけにはいかない。
ただ、何もしなければ世界が消滅してしまう……」
悩みぬいたクロムは両手を胸の前で合わせて祈るような姿勢で魔力を今いる次元そのものに満たし始めた。
すると、メテオライトが創りだした王座の間にいたはずのクロムとメテオライトが、いつの間にか真っ白な空間の部屋の中にいた。
『何が起きた……』
「俺とお前しかいないそんな空間に変化させた。
もちろんこの空間はいかなる空間や次元ともつながっていない」
『初めてきた次元に対してこの短時間でそのようなことできるはずがない!!』
「普通にするならその通りだろうな、でも元々仕込んでたものを流用しただけだからな。
別次元に逃避したお前を目の前に召喚するなんてことがなぜできたと思ってる?」
『……』
「お前が存在する次元、それのすべて内包する空間を俺の空間術<ルーム>で生成して包み込んだ」
『先ほどの茶番劇の間にしてたことがそれか……
しかし、それほどのことをしていれば魔力の流れで我が気付かないわけがない!!』
「バレないために、ほぼ効果はないだろうと思ってた魔術の連続攻撃をあれだけハデにやったんだよ。
あれだけ場の魔力も俺の魔力も暴れまわっている状態なら、俺が何かしてたとしても気が付くわけはない」
『まんまとしてやられたわけか……』
「この空間はこれからもっと小さくなる、お前ひとりがギリギリ存在できる程度までな。
自分と虚無しか存在しない空間となり、あらゆる次元から隔離もされている。
つまりは、この空間にお前を封印する!
封印することで滅ぼすことによって発生するリスクを回避しつつ、お前から創造神の座を奪う算段がつくまでの時間を稼がせてもらうよ」
クロムはそのままメテオライトの前から姿を消した。
『……絶対に許さヌ』
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
魔物の装蹄師はモフモフに囲まれて暮らしたい ~捨てられた狼を育てたら最強のフェンリルに。それでも俺は甘やかします~
うみ
ファンタジー
馬の装蹄師だった俺は火災事故から馬を救おうとして、命を落とした。
錬金術屋の息子として異世界に転生した俺は、「装蹄師」のスキルを授かる。
スキルを使えば、いつでもどこでも装蹄を作ることができたのだが……使い勝手が悪くお金も稼げないため、冒険者になった。
冒険者となった俺は、カメレオンに似たペットリザードと共に実家へ素材を納品しつつ、夢への資金をためていた。
俺の夢とは街の郊外に牧場を作り、動物や人に懐くモンスターに囲まれて暮らすこと。
ついに資金が集まる目途が立ち意気揚々と街へ向かっていた時、金髪のテイマーに蹴飛ばされ罵られた狼に似たモンスター「ワイルドウルフ」と出会う。
居ても立ってもいられなくなった俺は、金髪のテイマーからワイルドウルフを守り彼を新たな相棒に加える。
爪の欠けていたワイルドウルフのために装蹄師スキルで爪を作ったところ……途端にワイルドウルフが覚醒したんだ!
一週間の修行をするだけで、Eランクのワイルドウルフは最強のフェンリルにまで成長していたのだった。
でも、どれだけ獣魔が強くなろうが俺の夢は変わらない。
そう、モフモフたちに囲まれて暮らす牧場を作るんだ!
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
移住先に人がいないので、異世界へ行ってクローン用のDNAを集めてくる仕事 ~俺だけに出来るテレポート業~
こまの ととと
ファンタジー
宇宙開拓が盛んな惑星『プレイスティア』に生まれた主人公本人も気づいていなかった重大な秘密。
新惑星へ飛び立つ移民艦、そのコールドスリープから目覚めた直後に思い出したのは前世の記憶だった。
不慮の事故で命を落とした衝撃の記憶と共に超能力『テレポーテーション』にも目覚めた彼は、たどり着いた無人の新惑星においてある役目を買って出る。
クローン製作の為に異世界を渡り歩く男。
振り回したり振り回されたり、その場のノリにつき動かされて空回りして、それでもなんやかんや頑張っていく。
…………のかもしれない。
*この作品はカクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
自重ゼロのハイエルフ転生記 ~転生しました。今度こそ僕は自由に生きます~
月見 伊織
ファンタジー
現代日本で死んだ少年、神無月恭弥。
彼は女神と邂逅し、転生することとなる。
そして魔法チートを貰い、種族ランダムで転生した結果、エルフ系最高位種族・ハイエルフに転生する。
そこではハイエルフ達は傲慢で、自分達以外の種族を見下す性格だった。
恭夜はアルフィーと言う名を与えられ、洗脳教育を受けてしまう。
だが、(元)完璧人間のアルフィーはそんな見下すことはしない。
と言うわけで、アルフィーの自重しない物語、開幕。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜
えんじょい
ファンタジー
ある日、いつものように幼なじみと学校から帰宅している時に、交通事故に遭い幼なじみと共に死んでしまった…
気がつくとそこは異世界だった。
俺は転生してしまったらしい。
俺が転生してきた世界は、職というものがあり、その職によって人生が決まるという。
俺は職受礼の儀式という神々から職をもらう儀式で、無職という職を貰う。
どうやら無職というのは最弱の職らしい。
その職により俺は村から追放された。
それから修行を重ね数年後、初めてダンジョンをクリアした時に俺の職に変化が起きる。
俺の職がついに覚醒した。
俺は無職だけど最強になった。
無職で無双してやる!
初心者ですが、いい作品を書けるように頑張ります!
感想などコメント頂けると嬉しいです!
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる