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8章.神々の黄昏編

137話.目論見

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 倒れ込むクロムの横腹には、拳ほどの大きさの穴が空いており、そこからも血が噴き出しふきだしていた。

「ぐ、ぐぅうう……
 油断しちまったよ……
 しかし、横腹に穴とか人のトラウマをえぐりたかったのか?」

 クロムは、治療魔術で傷を癒やしながらも苦笑いを浮かべていた。
奇しくもくしくも、穴を開けられたその場所は、以前のスタンピードの際にカイリに穴を開けられた場所でもあった。

「しかも、あいつよりも少し大きめの穴とか色々と当てつけすぎるだろ」

『中々面白い攻撃ではあったからな、褒美としてトラウマを少し撫でさせてもらったというわけだ。
 趣向としては悪くないだろ?』

 土煙の中から登場したメテオライトは、右腕を炭化させながらも不敵な笑みを浮かべて登場した。
そして、クロムを煽るあおるようなことを言ったのち、一瞬で炭化した右腕を元に戻した。

「大したダメージではないか……
 ま、想定内だし完全な無傷ではなくてよかったよ」

『それも演出…… といったらどうだ?』

「その時はその時としか言えないな……」

 クロムの煮え切らない言葉を聞いたメテオライトは、満足そうな笑みを浮かべ、そして高笑いを始めた。

『ハハハハハハ!!!!
 お前ごときが我に楯突き、我を不快にさせたその罪を存分に味わい、そして後悔しながら滅ぶといいわ!!』

 クロムの表情がさらに苦悶の表情になるのを見たメテオライトは、満足げな表情を浮かべてクロムを下卑げひするように見下ろすのだった。

『我を楽しませた褒美として、我自らの手で滅ぼしてやろう』

 静かにクロムの元まで歩き始めるメテオライト。
メテオライトの右手は漆黒を纏いまとい、クロムの隣に到着したメテオライトはその漆黒でクロムを包みこんだ。
そして、その漆黒は徐々に圧縮を始めて、やがて消え去った。

『ではな、クロム。 そしてカオス』

 メテオライトが静かに勝利を宣言をする。
そして、クロムが炭化させたものと同じ王座を再び創造し、それに鎮座した。
満足そうな表情を浮かべるメテオライトが一息ついていると……

「またその形の王座かよ、お前その王座が好きなんだな」

 自分の頭上より聞こえるはずのない声が響く。
そのことを理解できないメテオライトは言葉を失った。

「まさかあれで勝ったとでも思ったのか?
 全知全能が聞いて呆れるね」

『お前は完全に消滅したはず……』

「覚えてないのか、前にも言ったはずだぜ?
 俺の空間術は、おまえのものより上だとな。
 カオスが練り上げ、俺が昇華することによって俺の空間術はお前を超えた」

『ありえぬ……』

「なら、どう説明するんだい?
 俺が今ここにいることをな、創造神さま??」

『……』

「そして、空間術の使い手同士の戦いは、空間術が上回るのものが必勝である。
 いつかお前がカオスに放った言葉だ。
 その言葉がこうして返ってきたってわけだよ!!!」

『認めぬ……』

「信じる必要も認める必要もない、ただの事実だ。
 じゃあ、本気で神殺しをさせていただくよ!!!!」

 クロムが一歩踏み出そうとした瞬間、メテオライトは弾けるように動き出し、そのまま違う次元へと転移した。

「創造神さまが逃げの一手とは惨めですなぁ」

『好きに言えば良い、お前に我を捕らえることなどできぬのだからな』

「……俺が扉を開いてから今に至るまでの一連の出来事、言ってしまえば茶番であったわけだが、この時間のない状況で何故そのようなことをしたと思う?」

『……何か別の目的があったとでも言いたいのか?』

「不測の事態が起こらないようにするための仕込みがどうしても必要でね。
 大規模な仕掛けだったから少々時間がかかっちまったけどな。
 それも無事に終わった…… というわけさ」

 クロムが右手を前にかざし魔力を込めると、そこには光の玉が現れた。
そしてその玉は徐々に大きさを増し、やがて炸裂し周りに閃光を放った。
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