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7章.神々の思惑編
114話.カオスの願い
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いつもとは全く違う空気を放つカオスは、まっすぐとクロムの顔を見ていた。
「ふぅ…… そんならしくもない表情で見るなよ。
なんとなく想像はつくけど……」
『……』
「わかったよ、聞かせてくれ」
クロムはこの重苦しい空気を少しでも打開しようとしたのだが、カオスのあまりの真剣さに話をそのまま続けることにした。
『この方法はかなり特別な条件を満たしてる者にしかできないことなんだよ。
だから、本来はこの世界に存在する者には不可能なことでもあるんだ』
カオスが言う特別な条件とは<かなり高いレベルで空間術を扱えること>と<ここ以外の世界、次元が存在していることを理解していること>である。
そして、この世界で最高の空間術の使い手はあのバロンであったことを告げられるのだった。
「バロンが?? 弱いやつではなかったが……
空間を捻じ曲げる程度までの空間術しか使えないやつだったぞ?」
『そうだね、でもそんな彼が本来のこの世界最高の空間術の使い手だったんだよ。
君が現れたことで最高ではなくなったけどね』
異世界から転生したクロムは当然ながら異世界つまりは、この世界とは違う世界や次元が存在していることを知っているし理解もしている。
そして空間神の加護を受けているおり、空間術を極めつつあるというほどの空間術の使い手でもあった。
『そういうことで、今この世界に存在している者のうち、君だけが前提条件をクリアしているということは理解してもらえたかな』
カオスは先ほどまでの真剣な表情を少しだけ崩すと、ゆっくりと笑顔を作る。
しかしクロムはその笑顔からなぜだか悲しみしか感じることができなかった。
『さて、本題に戻るよ。
方法は…… 君が想像している通りだよ。
自分を全ての次元に同時に存在させて、君自身が神へとなることだよ』
カオスから発せられた内容はクロムの想像通りの内容であった。
ゆえにクロムにとっては特に驚くこともない言葉であったが、それに続いた<神になる方法>はクロムにとって受け入れがたい内容だった。
「ふざけるな!!!!
俺はそんなことをしてまで神なんかになるつもりはない!!!」
『そういうとは思ったけどね、冷静に考えてみなよ。
君が、君たちが、魔導王に勝てる唯一の方法だよ。
それとも魔導王によって滅ぼされることを選ぶのかい?』
「っ……」
『僕はいつも通り何も強制はしないよ。
僕はいつでも君の選択を尊重する』
いつの間にかいつも通りの雰囲気を纏ったカオスはお道化てそういうのだった。
「…… 最初からずっとお前はそういう奴だったな、忘れてたよ。
いつも一方的で俺には選択肢があるようでない」
『そうかもね♪』
「…… わかった、お前の提案を受け入れる。
だが…… その前に一つ教えろ!
お前は俺に何をさせたいんだ??
お前はずっと何かさせたいことがあるということだけ匂わせ続けてきた、いい加減それを教えてくれ。
それを伝えれないほど…… 俺はまだ頼りないままなのか?」
『あははは、そういえば見透かされてるんだったね。
…… 僕はこの世界が生まれた瞬間からこの世界をみていたんだ、創造神の隣でね。
それ以来僕はこの世界をずっと傍観し続けてきた、そしてこの世界がこの世界に住む者たちのことが好きになったんだ。
そして思うようになったんだよ、もっと自由にさせてあげたいなとね』
「ん? つまりどういうことだ?」
『<創造神や神々のおもちゃにならない世界にしてほしい>、これが僕が君に望んでいることだよ』
「人間にそんな大それたことできるのか?」
『これから神になることを受け入れたんじゃなかったっけ?
人じゃ不可能でも神なら…… 神となった君なら…… 君となら…… 可能性はあると信じているさ』
クロムはその言葉にただ黙り込むことしかできなかった。
傍観主義者のカオスはこの世界に無頓着だと思っていたが、現実は真逆であった。
そして、自分が望まれていること、<託された願い>の大きさや重さがクロムを無言にさせた。
そんなクロムをただ優しい笑顔で眺めるだけのカオス。
「はぁ…… わかった。
お前の全てとともに俺が全部背負うわ」
クロムはカオスの前で両手を広げて立ち、目を閉じた。
膨大な魔力が二人を包みこみ、空間が激しく捻じれていく中……
激しい発光が全てを包み込んだ。
そして、光が収まったその場所にはクロムのみが佇むのであった。
「ふぅ…… そんならしくもない表情で見るなよ。
なんとなく想像はつくけど……」
『……』
「わかったよ、聞かせてくれ」
クロムはこの重苦しい空気を少しでも打開しようとしたのだが、カオスのあまりの真剣さに話をそのまま続けることにした。
『この方法はかなり特別な条件を満たしてる者にしかできないことなんだよ。
だから、本来はこの世界に存在する者には不可能なことでもあるんだ』
カオスが言う特別な条件とは<かなり高いレベルで空間術を扱えること>と<ここ以外の世界、次元が存在していることを理解していること>である。
そして、この世界で最高の空間術の使い手はあのバロンであったことを告げられるのだった。
「バロンが?? 弱いやつではなかったが……
空間を捻じ曲げる程度までの空間術しか使えないやつだったぞ?」
『そうだね、でもそんな彼が本来のこの世界最高の空間術の使い手だったんだよ。
君が現れたことで最高ではなくなったけどね』
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そして空間神の加護を受けているおり、空間術を極めつつあるというほどの空間術の使い手でもあった。
『そういうことで、今この世界に存在している者のうち、君だけが前提条件をクリアしているということは理解してもらえたかな』
カオスは先ほどまでの真剣な表情を少しだけ崩すと、ゆっくりと笑顔を作る。
しかしクロムはその笑顔からなぜだか悲しみしか感じることができなかった。
『さて、本題に戻るよ。
方法は…… 君が想像している通りだよ。
自分を全ての次元に同時に存在させて、君自身が神へとなることだよ』
カオスから発せられた内容はクロムの想像通りの内容であった。
ゆえにクロムにとっては特に驚くこともない言葉であったが、それに続いた<神になる方法>はクロムにとって受け入れがたい内容だった。
「ふざけるな!!!!
俺はそんなことをしてまで神なんかになるつもりはない!!!」
『そういうとは思ったけどね、冷静に考えてみなよ。
君が、君たちが、魔導王に勝てる唯一の方法だよ。
それとも魔導王によって滅ぼされることを選ぶのかい?』
「っ……」
『僕はいつも通り何も強制はしないよ。
僕はいつでも君の選択を尊重する』
いつの間にかいつも通りの雰囲気を纏ったカオスはお道化てそういうのだった。
「…… 最初からずっとお前はそういう奴だったな、忘れてたよ。
いつも一方的で俺には選択肢があるようでない」
『そうかもね♪』
「…… わかった、お前の提案を受け入れる。
だが…… その前に一つ教えろ!
お前は俺に何をさせたいんだ??
お前はずっと何かさせたいことがあるということだけ匂わせ続けてきた、いい加減それを教えてくれ。
それを伝えれないほど…… 俺はまだ頼りないままなのか?」
『あははは、そういえば見透かされてるんだったね。
…… 僕はこの世界が生まれた瞬間からこの世界をみていたんだ、創造神の隣でね。
それ以来僕はこの世界をずっと傍観し続けてきた、そしてこの世界がこの世界に住む者たちのことが好きになったんだ。
そして思うようになったんだよ、もっと自由にさせてあげたいなとね』
「ん? つまりどういうことだ?」
『<創造神や神々のおもちゃにならない世界にしてほしい>、これが僕が君に望んでいることだよ』
「人間にそんな大それたことできるのか?」
『これから神になることを受け入れたんじゃなかったっけ?
人じゃ不可能でも神なら…… 神となった君なら…… 君となら…… 可能性はあると信じているさ』
クロムはその言葉にただ黙り込むことしかできなかった。
傍観主義者のカオスはこの世界に無頓着だと思っていたが、現実は真逆であった。
そして、自分が望まれていること、<託された願い>の大きさや重さがクロムを無言にさせた。
そんなクロムをただ優しい笑顔で眺めるだけのカオス。
「はぁ…… わかった。
お前の全てとともに俺が全部背負うわ」
クロムはカオスの前で両手を広げて立ち、目を閉じた。
膨大な魔力が二人を包みこみ、空間が激しく捻じれていく中……
激しい発光が全てを包み込んだ。
そして、光が収まったその場所にはクロムのみが佇むのであった。
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