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6章.ダイン獣王国編
93話.遭遇
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クロムが出した指示の内容に動揺しているアキナ。
クロムはそんなアキナのことをそっと抱きしめて頭を撫でるのだった。
「そんな心配しなくてもいいよ、ちゃんと全てうまくいくよ」
言葉の根拠が理解できないクロムの言葉ではあったが、アキナにとっては一番の励ましともなる言葉でもあった。
そしてアキナはそんなクロムの言葉と温もりで次第に落ち着きを取り戻していくのだった。
「ありがとね、クロム。
クロムがそういうなら大丈夫だね」
「ああ、安心してくれていいよ。
それに俺たちが今からしないといけないことは悪魔たちをなんとかすることだしね」
悪魔退治についての話を二人が始めると、二人の前にある者が姿を現した。
「主、お待たせしました」
「いや、むしろ早いな。
ナビから伝言を聞いてすぐに…… という感じっぽいな」
「無論でございます」
久しぶりに顔を合わせたギンの忠臣(忠犬?)っぷりに若干引き気味のクロムではあったが、できるだけ表情には出さないようにしつつ呼び出した理由を伝え始めた。
「…… さっそくで悪いけど西にある港街まで俺たちを乗せてくれ」
「最速で向かいます!」
乗り心地を重視してほしいなと思うクロムとアキナであったが、それを口にすることはなくギンの背中に乗るのだった。
さっそく西に向かい走り出すギン。
ギンの宣言通り、周りの風景が歪んでしまうほどの速度で走っているにもかかわらず、乗り心地はかなり安定して快適であった。
「こんなスピードだしているのに……
ほとんど揺れないんだね」
「ホントだよ……
俺も知らなかった……」
「主の配下になった時より、いつお乗せしてもいいように訓練しておりました」
ギンの高い忠誠心と隠れた努力を知れてしまったクロムとアキナは戸惑いながらも顔を見合わせて苦笑した。
しかしその気持ちは純粋に嬉しいと思ったクロムは感謝をギンに伝えるのであった。
ギンの上で流れていく景色をゆっくりと眺め続けること数時間、急にギンが足を止めた。
「主、あそこに見えるのが……
おそらく、ミレストンと呼ばれる港街かと思います」
ギンが立ち止まった場所は小高い丘の上であり、そこから見下ろした先には海とその付近に広がる港街があった。
街は悪魔に占拠されていると聞いているクロムたちは、ギンに乗ったまま街に突入をすることにした。
クロムの指示の元、一気に街の中まで突入したギンはそのまま街の中央部と思わしき噴水が設置されている広場まで進んでゆくのだが……
急にその歩みをとめることになった。
「この気配は……
主、申し訳ございません…… 我にはこれ以上進むことができません……」
申し訳なさそうな声でクロムに謝罪するギン。
その真意を察しているクロムは特に責めることもなく、むしろここまでの感謝を告げた上でルームに避難するように指示をした。
「これは……
想像以上のバケモノだったみたいだな……」
「うん……
クロムでもこれはマズイ…… んじゃない?」
「ん~、それは問題ないよ」
クロムたちの前には5体の悪魔による宴会が繰り広げられており、その周りでは獣人や魔物たちが余興を強要されているのだった。
その余興を見ている5体の悪魔が放つ存在力は圧倒的であり、魔物でもあるギンが本能的におびえてしまうのは仕方のないことであった。
「おや、これはこれは……
新しいお客さんですね? あなたは……
愚者ですか? 強者ですか??」
悪魔たちの中心に位置とっているリーダーと思わしき者が声をかけてきた。
「名乗り忘れていましたね、私は悪魔王サタン様にお仕えしているバロンという者であります。
男爵という爵位を拝命してもおります」
バロンと名乗った悪魔は丁寧すぎるほどの口調で自己紹介を始めるのだった。
「そして、周りにいる者たちは私の守護騎士をしている者たちになります」
そこまで自己紹介をしたバロンはおもむろにクロムの顔をまっすぐ見つめ、改めて問い始めるのだった。
「…… 君たちは誰なのかな?」
完全に主導権を悪魔たちに奪われてしまい呆気に取られていたクロムであったが、バロンのこの言葉でやっと言葉を発するタイミングを掴めるのだった。
「はじめまして、バロン閣下。
俺は冒険者のクロムと申します」
最初に発したクロムの言葉は意外なほど無難な言葉であった。
クロムはそんなアキナのことをそっと抱きしめて頭を撫でるのだった。
「そんな心配しなくてもいいよ、ちゃんと全てうまくいくよ」
言葉の根拠が理解できないクロムの言葉ではあったが、アキナにとっては一番の励ましともなる言葉でもあった。
そしてアキナはそんなクロムの言葉と温もりで次第に落ち着きを取り戻していくのだった。
「ありがとね、クロム。
クロムがそういうなら大丈夫だね」
「ああ、安心してくれていいよ。
それに俺たちが今からしないといけないことは悪魔たちをなんとかすることだしね」
悪魔退治についての話を二人が始めると、二人の前にある者が姿を現した。
「主、お待たせしました」
「いや、むしろ早いな。
ナビから伝言を聞いてすぐに…… という感じっぽいな」
「無論でございます」
久しぶりに顔を合わせたギンの忠臣(忠犬?)っぷりに若干引き気味のクロムではあったが、できるだけ表情には出さないようにしつつ呼び出した理由を伝え始めた。
「…… さっそくで悪いけど西にある港街まで俺たちを乗せてくれ」
「最速で向かいます!」
乗り心地を重視してほしいなと思うクロムとアキナであったが、それを口にすることはなくギンの背中に乗るのだった。
さっそく西に向かい走り出すギン。
ギンの宣言通り、周りの風景が歪んでしまうほどの速度で走っているにもかかわらず、乗り心地はかなり安定して快適であった。
「こんなスピードだしているのに……
ほとんど揺れないんだね」
「ホントだよ……
俺も知らなかった……」
「主の配下になった時より、いつお乗せしてもいいように訓練しておりました」
ギンの高い忠誠心と隠れた努力を知れてしまったクロムとアキナは戸惑いながらも顔を見合わせて苦笑した。
しかしその気持ちは純粋に嬉しいと思ったクロムは感謝をギンに伝えるのであった。
ギンの上で流れていく景色をゆっくりと眺め続けること数時間、急にギンが足を止めた。
「主、あそこに見えるのが……
おそらく、ミレストンと呼ばれる港街かと思います」
ギンが立ち止まった場所は小高い丘の上であり、そこから見下ろした先には海とその付近に広がる港街があった。
街は悪魔に占拠されていると聞いているクロムたちは、ギンに乗ったまま街に突入をすることにした。
クロムの指示の元、一気に街の中まで突入したギンはそのまま街の中央部と思わしき噴水が設置されている広場まで進んでゆくのだが……
急にその歩みをとめることになった。
「この気配は……
主、申し訳ございません…… 我にはこれ以上進むことができません……」
申し訳なさそうな声でクロムに謝罪するギン。
その真意を察しているクロムは特に責めることもなく、むしろここまでの感謝を告げた上でルームに避難するように指示をした。
「これは……
想像以上のバケモノだったみたいだな……」
「うん……
クロムでもこれはマズイ…… んじゃない?」
「ん~、それは問題ないよ」
クロムたちの前には5体の悪魔による宴会が繰り広げられており、その周りでは獣人や魔物たちが余興を強要されているのだった。
その余興を見ている5体の悪魔が放つ存在力は圧倒的であり、魔物でもあるギンが本能的におびえてしまうのは仕方のないことであった。
「おや、これはこれは……
新しいお客さんですね? あなたは……
愚者ですか? 強者ですか??」
悪魔たちの中心に位置とっているリーダーと思わしき者が声をかけてきた。
「名乗り忘れていましたね、私は悪魔王サタン様にお仕えしているバロンという者であります。
男爵という爵位を拝命してもおります」
バロンと名乗った悪魔は丁寧すぎるほどの口調で自己紹介を始めるのだった。
「そして、周りにいる者たちは私の守護騎士をしている者たちになります」
そこまで自己紹介をしたバロンはおもむろにクロムの顔をまっすぐ見つめ、改めて問い始めるのだった。
「…… 君たちは誰なのかな?」
完全に主導権を悪魔たちに奪われてしまい呆気に取られていたクロムであったが、バロンのこの言葉でやっと言葉を発するタイミングを掴めるのだった。
「はじめまして、バロン閣下。
俺は冒険者のクロムと申します」
最初に発したクロムの言葉は意外なほど無難な言葉であった。
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