65 / 147
5章.遭遇編
59話.作戦前の束の間
しおりを挟む
この世界に転生後最大の屈辱を味わった相手へのリベンジを行うことを決めたクロムたちは、主要メンバーを集めて作戦を考えることになった。
クロムたちが把握している情報は、王都全体が制圧されており、王都陥落後に数人の人型の何者かが王城入りしたということ。
王都の住人たちはほぼ全滅しており、一部生き残った人もいるらしいが、具体的な消息は不明であること。
王族の安否も不明であること。
陥落そのものは魔物のスタンピードによって行われたということのみである。
本当はじっくり偵察をして作戦を練り上げたいところではあったが、あまり時間をかけているとダンたちと鉢合わせしてしまう恐れがあるためにクロムたちは急襲作戦を選択することになった。
その作戦内容は至ってシンプルである。
幹部たち全てにルームの出入り口を作る権限をもたせた上で、カルロたち竜人族、ゴランたち鬼族、ギンたち魔物軍団にて一斉に王都を襲撃させる。
そして王城に到達したものがルームの出入り口を設置し、その後ルーム内で待機していたクロムとアキナが王城を強襲するという流れである。
「私たちはなんか楽させてもらうみたいで心苦しいわね……」
「兄貴とアキナはうちの大将なんだからさ、元気な状態で相手の大将にぶつけたいだけさ。
それに俺たちの相手は所詮雑魚、本当に大変なのは二人だから気にしなさんな!」
カルロが笑ってそう言うと、ゴランも同じく笑いながら、
「お前たちが早々負けるとは思えないが……
あんまりグズグズしていると雑魚の処分を終えたワシらがお前たちの見せ場を奪うからのぉ!」
ゴランの豪胆すぎる発破にみんなが笑い声を上げる。
クロムは心強い仲間たちと出会えたことに感謝しつつ、だからこそ余計に必ずリベンジを果たさなければならないと改めて心に誓うのであった。
「悪いが見せ場を譲る気はないからな?
じゃあ、今から1時間ほど休息をとったのち、そのまま作戦を開始する!
時間になったら声をかけるからそれまでゆっくりしていてくれ」
クロムはそう言ってみんなにしばしの休息の時間を与えたのち、自分はアキナを連れて自室へと姿を消した。
そして、それからの時間はそれぞれが思い思いに過ごすことになる。
武器の手入れを始める竜人族たち。
軽く手合わせを始める鬼族たち。
ギンの元に集結し、力を静かに溜め込み始める魔物軍団。
そんななか、クロムとアキナは二人だけでしばしの休息を楽しんでいた。
「いつものことではあるが…… なんかドタバタばっかりでごめんな」
「クスクス、何言ってるのよ、私は結構楽しんでるわよ?
クロムと出会えて、従属できて本当に良かったと思ってるの。
出会う前まででは想像もできないくらい毎日が充実していて楽しいよ」
「そう言ってもらえると嬉しいけどさ。
危険な目にあわせちゃうのはさすがに心苦しいんだよね……」
「私のことを十分強いといつも言ってる人が何言ってるのよ……
それに私以外には危険なことも普通に指示するくせに……
私って…… そんなに頼りないのかな??」
「そんなわけない!!!!
アキナは俺がもっとも信頼している人だよ!!!
危険な目に合わせたくないのは……
ただアキナのことが大切すぎるからだけだよ……」
「クロム……
……嬉しいんだけどさ、そこはちゃんと私を信じて欲しいかな。
私はいつでも、いつまでもクロムの隣に立ち続けるつもりなんだからね!!!!!」
クロムとアキナが毎度のようにいちゃつき始めると、どこからか声が聞こえるのであった。
『僕には全部聞かれてることわかってるはずだよね?
聞きなれたとはいえ……
さすがに小っ恥ずかしい…… というのは忘れないでよね?』
ナビの声で急に恥ずかしくなった二人は、揃って顔を赤らめることになるのであった。
そしていつかナビという人格に肉体を持たせて、自分のプライベートを確立させなければと強く思う作戦実行直前のクロムであった。
クロムたちが把握している情報は、王都全体が制圧されており、王都陥落後に数人の人型の何者かが王城入りしたということ。
王都の住人たちはほぼ全滅しており、一部生き残った人もいるらしいが、具体的な消息は不明であること。
王族の安否も不明であること。
陥落そのものは魔物のスタンピードによって行われたということのみである。
本当はじっくり偵察をして作戦を練り上げたいところではあったが、あまり時間をかけているとダンたちと鉢合わせしてしまう恐れがあるためにクロムたちは急襲作戦を選択することになった。
その作戦内容は至ってシンプルである。
幹部たち全てにルームの出入り口を作る権限をもたせた上で、カルロたち竜人族、ゴランたち鬼族、ギンたち魔物軍団にて一斉に王都を襲撃させる。
そして王城に到達したものがルームの出入り口を設置し、その後ルーム内で待機していたクロムとアキナが王城を強襲するという流れである。
「私たちはなんか楽させてもらうみたいで心苦しいわね……」
「兄貴とアキナはうちの大将なんだからさ、元気な状態で相手の大将にぶつけたいだけさ。
それに俺たちの相手は所詮雑魚、本当に大変なのは二人だから気にしなさんな!」
カルロが笑ってそう言うと、ゴランも同じく笑いながら、
「お前たちが早々負けるとは思えないが……
あんまりグズグズしていると雑魚の処分を終えたワシらがお前たちの見せ場を奪うからのぉ!」
ゴランの豪胆すぎる発破にみんなが笑い声を上げる。
クロムは心強い仲間たちと出会えたことに感謝しつつ、だからこそ余計に必ずリベンジを果たさなければならないと改めて心に誓うのであった。
「悪いが見せ場を譲る気はないからな?
じゃあ、今から1時間ほど休息をとったのち、そのまま作戦を開始する!
時間になったら声をかけるからそれまでゆっくりしていてくれ」
クロムはそう言ってみんなにしばしの休息の時間を与えたのち、自分はアキナを連れて自室へと姿を消した。
そして、それからの時間はそれぞれが思い思いに過ごすことになる。
武器の手入れを始める竜人族たち。
軽く手合わせを始める鬼族たち。
ギンの元に集結し、力を静かに溜め込み始める魔物軍団。
そんななか、クロムとアキナは二人だけでしばしの休息を楽しんでいた。
「いつものことではあるが…… なんかドタバタばっかりでごめんな」
「クスクス、何言ってるのよ、私は結構楽しんでるわよ?
クロムと出会えて、従属できて本当に良かったと思ってるの。
出会う前まででは想像もできないくらい毎日が充実していて楽しいよ」
「そう言ってもらえると嬉しいけどさ。
危険な目にあわせちゃうのはさすがに心苦しいんだよね……」
「私のことを十分強いといつも言ってる人が何言ってるのよ……
それに私以外には危険なことも普通に指示するくせに……
私って…… そんなに頼りないのかな??」
「そんなわけない!!!!
アキナは俺がもっとも信頼している人だよ!!!
危険な目に合わせたくないのは……
ただアキナのことが大切すぎるからだけだよ……」
「クロム……
……嬉しいんだけどさ、そこはちゃんと私を信じて欲しいかな。
私はいつでも、いつまでもクロムの隣に立ち続けるつもりなんだからね!!!!!」
クロムとアキナが毎度のようにいちゃつき始めると、どこからか声が聞こえるのであった。
『僕には全部聞かれてることわかってるはずだよね?
聞きなれたとはいえ……
さすがに小っ恥ずかしい…… というのは忘れないでよね?』
ナビの声で急に恥ずかしくなった二人は、揃って顔を赤らめることになるのであった。
そしていつかナビという人格に肉体を持たせて、自分のプライベートを確立させなければと強く思う作戦実行直前のクロムであった。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話
もち
ファンタジー
なんと、なんと、世にも珍しい事に、トラックにはねられて死んでしまった男子高校生『閃(セン)』。気付いたら、びっくり仰天、驚くべき事に、異世界なるものへと転生していて、
だから、冒険者になって、ゴブリンを倒して、オーガを倒して、ドラゴンを倒して、なんやかんやでレベル300くらいの時、寿命を迎えて死んだ。
で、目を覚ましたら、記憶と能力を継いだまま、魔物に転生していた。サクっと魔王になって世界を統治して、なんやかんやしていたら、レベル700くらいの時、寿命を迎えて死んだ。
で、目を覚ましたら……というのを100回くりかえした主人公の話。
「もういい! 異世界転生、もう飽きた! 何なんだよ、この、死んでも死んでも転生し続ける、精神的にも肉体的にもハンパなくキツい拷問! えっぐい地獄なんですけど!」
これは、なんやかんやでレベル(存在値)が十兆を超えて、神よりも遥かに強くなった摩訶不思議アドベンチャーな主人公が、
「もういい! もう終わりたい! 終わってくれ! 俺、すでにカンストしてんだよ! 俺、本気出したら、最強神より強いんだぞ! これ以上、やる事ねぇんだよ! もう、マジで、飽きてんの! だから、終わってくれ!」
などと喚きながら、その百回目に転生した、
『それまでの99回とは、ちょいと様子が違う異世界』で、
『神様として、日本人を召喚してチートを与えて』みたり、
『さらに輪をかけて強くなって』しまったり――などと、色々、楽しそうな事をはじめる物語です。
『世界が進化(アップデート)しました』
「え? できる事が増えるの? まさかの上限解放? ちょっと、それなら話が違うんですけど」
――みたいな事もあるお話です。
しょうせつかになろうで、毎日2話のペースで投稿をしています。
2019年1月時点で、120日以上、毎日2話投稿していますw
投稿ペースだけなら、自信があります!
ちなみに、全1000話以上をめざしています!
来訪神に転生させてもらえました。石長姫には不老長寿、宇迦之御魂神には豊穣を授かりました。
克全
ファンタジー
ほのぼのスローライフを目指します。賽銭泥棒を取り押さえようとした氏子の田中一郎は、事もあろうに神域である境内の、それも神殿前で殺されてしまった。情けなく申し訳なく思った氏神様は、田中一郎を異世界に転生させて第二の人生を生きられるようにした。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる