上 下
28 / 147
2章.冒険者編

25話.告白

しおりを挟む
「こんな言葉でいいのかわからないけど…… ありがとな」

「どういたしまして?」

 クロムの感謝の言葉に笑いながら答えるアキナ。
 クロムは話が脱線してしまったことを詫びた上で、説明を再開した。

 従属に至った経緯を説明し終えたクロムは、続いて自分の秘密を話し始めた。
 自分がカオスという神の手でこの世界に転生された異世界人であること。
 その際に特別な能力を数個もらっていること。
 そして、自分が持っている特別な能力についても説明を始めた。

「能力に関しては俺も把握しきれてないところはあるし、まだまだ発展途中でもあるんだ」

「普通なら冗談として流すしかないような話だけど……
 クロムの場合は逆にその強さを説明できることになるから意外とすんなりと受け入れれるかもね」

「あはは…… 
 あとはこの世界に辿り着いたときにカオスに埋め込まれたナビという眷属が俺の頭の中? にいるんだ」

「え??」

「たぶんナビの存在も従属関係にある今なら共有できると思う」

そう言うとクロムはナビの存在をアキナと共有することを願った。

「ナビ、なんかしゃべってみて」

『なんかって……』

「!!!!???
 声が聞こえた!!!!
 …… この声がナビさん???」

『本当に声が聞こえるようになったのね……
 自己紹介しておくわね、僕の名前はナビ。 
 空間を司る神であるカオス様の眷属よ。
 とはいっても実体はなくて、クロムの頭の中に住み着いているような存在になるわね。
 あと、ナビでいいわよ』

「あはは…… 
 話のスケールが大きすぎてよくわかんないけど……
 まぁクロムだしなぁ……」

「それで納得されるのはどうなのよ……
 で、今いるこの場所だけど、ルームと言われる空間術で使った亜空間内の部屋…… ってことになるかな。
 そだそだ、ついでだからあいつらも紹介しておくわ、ちょっと待っててな」

 クロムはそういうと席を立ち、どこかへ出て行った。
 しばらくして戻ったクロムの背後には、なんとゴブリンや狼たちがいたのである。

「!!!!!!!
 クロム! 後ろに魔物が!!!!!!」

「落ち着いてくれ、こいつらは俺に従属している魔物だよ。
 んで、こいつがこのゴブリンたちのリーダーのゴブ太だ」

「先ほど主様よりお話は伺いました、ゴブ太と申します。
 あなた様がアキナ様ですか? どうぞお見知りおきを」

「ど、どうも…… こちらこそよろしくです……
 …… ゴブリンって人族の言葉を操れるんだっけ……?」

「名前を付けたらしゃべれるようになったな、色々と戸惑うことも多いとは思うけど、こんな奴もいるってことでよろしくな。
 たぶん秘密はこんなもんだと思うよ」

 クロムは今まで秘密にして嘘で誤魔化してたことを謝罪した上で、これが全てだと告げたのであった。
 アキナは想像をはるかに超える内容に戸惑うことしかできなかったが、最後には納得してそのすべてを受け入れるのであった。

『クロムの順応の速さにも驚いたけど、アキナも相当なもんだね』

「あはは、クロムの強さを知ったうえでこれを聞けば、クロムだもんそういうこともあるよねって納得しちゃうというか……」

『言いたいことはなんとなくわかるわね』

「…… おまえらなぁ……
 腹減ったし飯でも食いたいところだけど……
 街って騒ぎになってるか?」

『あんたが氷の彫像にした男のことで騒ぎになってなければ問題ないんじゃない?』

「あーあいつか、氷像になった直後に粉雪になってたし誰も気づいてないんじゃないか?」

「なんかとんでもないことをサラっと言わなかった…… ?」

「まぁ気にするなって!」
「騒ぎになってても証拠も何もないし、ルーナのところに飯食いにいこうぜ!」

「もぉ…… わかったわよ」

 アキナはクロムの言動に呆れと戸惑いを感じつつもクロムと共にルーナのお店に向かうのであった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ
ファンタジー
僅か5歳の若さで「用済み」という理不尽な理由で殺された子供の「霧崎 雛」次に目覚めるとそこは自分の知る世界とは異なる「世界」であり、おおきく戸惑う。まるでRPGを想像させる様々な種族が入り乱れた世界観であり、同時に種族間の対立が非常に激しかった。 人間(ヒューマン)、森人族(エルフ)、獸人族(ビースト)、巨人族(ジャイアント)、人魚族(マーメイド)、そしてかつては世界征服を成し遂げた魔族(デーモン)。 これは現実世界の記憶が持つ「雛」がハーフエルフの「レノ」として生きて行き、様々な種族との交流を深めていく物語である。

異世界はモフモフチートでモフモフパラダイス!

マイきぃ
ファンタジー
池波柔人は中学2年生。14歳の誕生日を迎える直前に交通事故に遭遇し、モフモフだらけの異世界へと転生してしまった。柔人は転生先で【モフった相手の能力を手に入れることのできる】特殊能力を手に入れた。柔人は、この能力を使ってモフモフハーレムを作ることができるのだろうか! ※主人公が突然モヒカンにされたり(一時的)、毛を刈られる表現があります。苦手な方はご注意ください。 モフモフな時に更新します。(更新不定期) ※この作品はフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 カバーイラストのキャラクターは 萌えキャラアバター作成サービス「きゃらふと」で作成しています。  きゃらふとhttp://charaft.com/ 背景 つくx2工房 多重投稿有

婚約破棄のその後に

五珠 izumi
恋愛
目の前で婚約破棄が告げられていた。 「真実の愛を見つけた」と告げたあと… 婚約破棄後のお話です。

気がついたら、世界最強戦力になってました。~天才(天災?)の異世界英雄譚~

アクア
ファンタジー
普通に生きて、普通に過ごしてた中学生、円慧寺源哉(えんけいじ げんや)。しかし、不慮の事故により命を落す。 気がつくとそこは、真っ白の世界。目の前に土下座をする神。どうやら手違いがあったようで、神(ポンコツ)の全力サポート(やりすぎ)と最強能力付きで、転生(正しくは転移)することとなった。持ち前の知識と技術で国家を世界一の国家とし、世界統一を目指す。天才(天災)による、快進撃が今始まる!

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

推しの死亡フラグを折りたい!

綾里 ハスミ
ファンタジー
美桜は気づくと、大好きなゲーム『ケムプフェンエーレ』の世界に転生していた。こうなったら、大好きな推しであるシメオン第二王王子の死亡フラグを折るしかない!! 【学習技能】と言うチートスキルを所持して、果たして美桜は無事に、シメオン王子の死亡フラグを折れるのか!? ■こちらの作品は、恋愛要素2割:戦闘要素8割の作品です。戦争と恋愛が同時進行して行くお話が好きな方にオススメします(・∀・)

カイ~魔法の使えない王子~

愛野進
ファンタジー
魔法の使えない王子カイが出会ったのは、想いを武器に変える少女イデアだった。 Boy Meets Girlから始まる、世界を変える王道ファンタジー開幕。 カイ「イデア、俺達の力見せてやろうぜ!」 イデア「うん!」 ???「俺達のとか言って、結局イデア様の力ですよね? 自分のじゃないですよね? よくもまぁそんな大それたことを言えたもんですね」 カイ「っ、いやエイラお前侍女じゃん!? 俺王子じゃん!? 何でそんなに強く当たれるんだよ!」 エイラ「イデア様も人を選んだ方がいいですよ?あのポンコツンじゃなくて」 イデア「ポンコツでもカイがいいのです」 カイ「いや無視するな、ていうかポンコツンって何だよ、っていうかイデアも俺の事ポンコツだと思ってね!?」 エイラ「ポンコツンの意味分かってるじゃないですか(^▽^)」 ……シリアスとおふざけを反復横跳びする王道ファンタジー開幕。

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

処理中です...