49 / 59
中学生編
49
しおりを挟む
※本日二度目の更新です
バレンタインデーと言えば、ホワイトデー。期末テストを控えているのに、またもや鳳海学園の生徒たちは浮足立っていた。
「……チョコ、ありがとう。その、うまかった。それでその、お、俺と付き合って下さい」
なーんていう光景がちらほら見られたりする。まぁ、私には全く関係ない世界だけどね!
私が席に座っていると、ようやくお返しをくばり終えたらしい、前川と赤田がふらふらしながら教室に入ってきた。前川達は意外と律義に毎年お返しをするのだ。そのせいで、よけい人気がでて、貰うチョコレートの数は右肩上がりなのだが、本人たちはそのことに気づいていない。
「お疲れ様です、前川様、赤田様」
「ああ、ありがとう道脇さん」
「……疲れた」
前川に至っては、零子ちゃん宛の物も大量に貰っていたから、例年よりかなり多いのお返しが必要だったのだろう。
――と。
「その、トリュフうまかった。……ありがとう」
そう言って、私の机に小瓶を置いた。品の良い小瓶の中にはカラフルな飴が詰まっている。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか。
「こちらこそ、ありがとうございます」
正直言って私に、前川からお返しがあると思っていなかったので、少し嬉しい。私がそういうと、前川はああ、と生返事をしながらふらふらと赤田と共に自分の席に戻っていった。あれは、かなり疲れているな。大丈夫だろうか?
■ □ ■
さて、そろそろ期末テストも近いが、そうなると、終業式や卒業式も近いわけで。生徒会は大忙しである。
「三年生に送る造花の用意できた!?」
「まだあと40個足りません」
「急いで作って!」
みたいな感じだ。私と赤田はまだ一年生なので、造花を作る係だ。ちなみに前川は、不器用すぎて速攻で造花を作る係から別の係にとばされた。
そんな感じで、放課後は過ぎていった。
■ □ ■
家に帰ると、自室の前で淳お兄様待っていた。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか? なーんて、自分に都合のいいことを考えながら自室に向かう。
私に気づくと、淳お兄様はお帰り、と挨拶をしてくれたので、それにただいまと答える。
「これ、ホワイトデーのお返し」
やっぱりそうだった! わーい。飴が入った瓶は小物入れに使おう。後に残るものがあるから嬉しいな、と私がひそかに喜んでいると、
「……飴」
「え?」
私がもう片方の手に持っている飴の入った小瓶に気づいた淳お兄様は微妙そうな顔をした。
「ああ、これは前川様から貰ったんですよ」
友チョコのお返しだけどね! けれど、私がそういうと、淳お兄様はもっと微妙そうな顔をした。一体どうしたんだろう。もしかして、前川と被ったのを気にしているのだろうか。私は、淳お兄様から貰えるだけですごく嬉しいんだけど。
「淳お兄様……?」
「……ううん、何でもないよ」
何でもない、という割にはとても元気がない。どうしたんですか、と追及したかったんだけど、淳お兄様は
そのまま隣の自室に戻ってしまった。
「???」
一体どうしたんだろう。
バレンタインデーと言えば、ホワイトデー。期末テストを控えているのに、またもや鳳海学園の生徒たちは浮足立っていた。
「……チョコ、ありがとう。その、うまかった。それでその、お、俺と付き合って下さい」
なーんていう光景がちらほら見られたりする。まぁ、私には全く関係ない世界だけどね!
私が席に座っていると、ようやくお返しをくばり終えたらしい、前川と赤田がふらふらしながら教室に入ってきた。前川達は意外と律義に毎年お返しをするのだ。そのせいで、よけい人気がでて、貰うチョコレートの数は右肩上がりなのだが、本人たちはそのことに気づいていない。
「お疲れ様です、前川様、赤田様」
「ああ、ありがとう道脇さん」
「……疲れた」
前川に至っては、零子ちゃん宛の物も大量に貰っていたから、例年よりかなり多いのお返しが必要だったのだろう。
――と。
「その、トリュフうまかった。……ありがとう」
そう言って、私の机に小瓶を置いた。品の良い小瓶の中にはカラフルな飴が詰まっている。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか。
「こちらこそ、ありがとうございます」
正直言って私に、前川からお返しがあると思っていなかったので、少し嬉しい。私がそういうと、前川はああ、と生返事をしながらふらふらと赤田と共に自分の席に戻っていった。あれは、かなり疲れているな。大丈夫だろうか?
■ □ ■
さて、そろそろ期末テストも近いが、そうなると、終業式や卒業式も近いわけで。生徒会は大忙しである。
「三年生に送る造花の用意できた!?」
「まだあと40個足りません」
「急いで作って!」
みたいな感じだ。私と赤田はまだ一年生なので、造花を作る係だ。ちなみに前川は、不器用すぎて速攻で造花を作る係から別の係にとばされた。
そんな感じで、放課後は過ぎていった。
■ □ ■
家に帰ると、自室の前で淳お兄様待っていた。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか? なーんて、自分に都合のいいことを考えながら自室に向かう。
私に気づくと、淳お兄様はお帰り、と挨拶をしてくれたので、それにただいまと答える。
「これ、ホワイトデーのお返し」
やっぱりそうだった! わーい。飴が入った瓶は小物入れに使おう。後に残るものがあるから嬉しいな、と私がひそかに喜んでいると、
「……飴」
「え?」
私がもう片方の手に持っている飴の入った小瓶に気づいた淳お兄様は微妙そうな顔をした。
「ああ、これは前川様から貰ったんですよ」
友チョコのお返しだけどね! けれど、私がそういうと、淳お兄様はもっと微妙そうな顔をした。一体どうしたんだろう。もしかして、前川と被ったのを気にしているのだろうか。私は、淳お兄様から貰えるだけですごく嬉しいんだけど。
「淳お兄様……?」
「……ううん、何でもないよ」
何でもない、という割にはとても元気がない。どうしたんですか、と追及したかったんだけど、淳お兄様は
そのまま隣の自室に戻ってしまった。
「???」
一体どうしたんだろう。
0
お気に入りに追加
2,986
あなたにおすすめの小説
婚約者は私より親友を選ぶようです。親友の身代わりに精霊王の生贄になった私は幸せになり、国は滅ぶようです。
亜綺羅もも
恋愛
ルビア・エクスレーンには親友のレイ・フォルグスがいた。
彼女は精霊王と呼ばれる者の生贄に選ばれる。
その話を聞いたルビアは、婚約者であるラース・ボルタージュ王子に相談を持ち掛けた。
生贄の事に関してはどうしようもないと答えるラース。
だがそれから一月ほど経った頃のこと。
突然ラースに呼び出されるルビア。
なんとラースは、レイを妃にすることを決断し、ルビアに婚約破棄を言い渡す。
ルビアはレイの身代わりに、精霊王の生贄とされてしまう。
ルビアは精霊王であるイクス・ストウィックのもとへと行き、彼のもとで死ぬことを覚悟する。
だがそんな覚悟に意味はなく、イクスとの幸せな日々が待っていたのであった。
そして精霊たちの怒りを買ったラースたちの運命は……
ヒロインだからって私のモノを攻略しようだなんて断固拒否!
キぼうのキ
恋愛
ヒロインと攻略対象である見目麗しい男達。ヒロインに敵対する悪役令嬢。......と敵対する悪役令嬢。それが私。
従者をヒロインに奪われる、そんなただの当て馬。
ゲームのレールなんてさっさと脱線してしまおう、そう思っていた。
天使のような私の従者に出会うまでは。
ヒロインなどにやるものか。これは、私のだ。
前公開していて、大幅な修正を入れて再度投稿です。
異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件【改訂版】
ぽて
ファンタジー
異世界にクラスごと召喚された龍司だったが、職業はただの『旅人』?
案の定、異世界の王族貴族たちに疎まれて冷遇されていたのだが、本当の職業は神様!? でも一般人より弱いぞ、どゆこと?
そんな折に暗殺されかけた挙句、どさくさに紛れてダンジョンマスターのシータにプロポーズされる。彼女とともに国を出奔した龍司は、元の世界に戻る方法を探すための旅をはじめた。……草刈りに精を出しながら。
「小説家になろう」と「ノベルバ」にも改定前版を掲載中です。
「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。
そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。
それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。
ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。
スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます
銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。
死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。
そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。
そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。
※10万文字が超えそうなので、長編にしました。
お姉様に婚約者を奪われましたが、私は彼と結婚したくなかったので、とても助かりました【完結】
小平ニコ
恋愛
「イザベル。私はお前の姉が気に入った。だから、お前との婚約は破棄する。文句はないな?」
私の婚約者であるメレデール公爵は、興味のなくなった玩具を見るような目でこちらを見て、そう言いました。彼の言う通り、私には、文句はありませんでした。……だって、メレデール公爵との婚約は、脅されて結ばされたものであり、私は彼に対して、恐怖すら抱いていたのです。
少したってから、公爵の心変わりの原因が、私の姉――ヴァネッサお姉様の行動によるものだとわかりました。お姉様は私を、『実の姉に婚約者を寝取られた、無様で間抜けな妹』と嘲ります。
そして、お姉様はついに、念願の公爵夫人となりました。
盛大な結婚式を終えて迎える、夫婦として初めての夜。
お姉様は知ることになるのです。『美しき公爵』と呼ばれたメレデール公爵の、おぞましい正体を……
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる