ヤンデレお兄様から、逃げられません!

夕立悠理

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そのろく

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さて。夜会の日がやって来た。きらきらのシャンデリアに豪華な食事。そして、極めつけはホールでダンス。という、好きなものがたくさんある夜会だけれども。

 「……はぁ」
「どうしたの、ため息なんてついて」
お兄様が心配そうに、私を見た。
「いいえ、なんでも」
あるけどね。お兄様にこうもべったりくっつかれたら、食欲もわかない。

「そう? じゃあ、俺と踊らない? 愛しい婚約者殿」
そういって、お兄様が手を差し出した。そういえば、お兄様と踊ったことって片手で数えるほどしかない。お兄様ってば、本当に私に触れないように細心の注意を払ってたんだなぁ。

 「よろんで」
ダンスは大好きだ。お兄様のあつーいまなざしが気にならないこともないけれど。ダンスが始まると、そんなもの吹き飛んだ。楽しい。めちゃくちゃ楽しい。お兄様のエスコートはとっても踊りやすい。本当に背中に羽が生えたみたいだ。思わず笑みが零れる。

 「……エルシー」
「?」
お兄様に名前を呼ばれお兄様と目を合わせる。お兄様の菫色の瞳には私だけが映っていた。思わずときめいてしまう。って、ときめいてどうする! いや、ときめいていいのか。私の婚約者は、お兄様なのだし。お兄様を好きになれるなら、それに越したことはない。

 「いい忘れていたけれど、今日のエルシーもとっても綺麗だよ」
「! ……ありがとう、お兄様」
柔らかい声で囁かれ、顔が熱くなるのを感じる。

 「──だから、エルシーが他の男に誘われないように、ずっと俺と踊ろうね」
「……えっ?」
私、ご飯を食べに行ったりしたいんですけど! けれど、そんな私の主張もむなしく、お兄様と踊り明かすことになったのだった。
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