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二度目の召喚
50 自覚
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カスアン神に見つからないように、一番手っ取り早い方法は結婚だ。やっぱり、私はガレンと結婚すべきだろうか。
そんなことを考えていると、ガレンが私の部屋を訪ねてきた。いったいどうしたのだろう。
「今日は早く仕事が終わったので。よろしければ、美香、一緒に散策でもしませんか?」
歩けば考えもまとまるかもしれないと、頷くと、ガレンは手を差し出した。今までは、ガレンにエスコートされることは何とも思っていなかったはずなのに、どうしても意識してしまって、頬が赤くなる。赤くなりながら、ガレンの手をとると、ガレンは嬉しそうに笑った。
その後は他愛もない話をしながら、中庭を散策する。魔王の手によって育てられた花はとても美しかった。きっと、魔王が丹精込めて育てているからだろう。
そういえば、本当にガレンは私と結婚するつもりなのだろうか? 私は、王族になれるような教養はないのだけれど。
「美香にはまだいっていませんでしたか。私はすでに臣籍に下っているのですよ。ですから、美香の身一つで嫁いでいただければと思います」
そう言うと、ガレンは本当に嬉しそうに笑った。
「いえ、美香は真剣に私とのことを考えてくださっているのですね」
「じょっ、冗談だったの!?」
「いいえ、本気です。ですから、美香が真剣に考えてくださること、嬉しく思います」
それから、ふと、ガレンは真剣な顔をした。
「美香、私と結婚するということは、貴方の世界と別れるということでもあります。美香から奪う以上に、美香を幸せにすると約束します。ですから、私の傍にいてくださいませんか」
「……ガレン」
「……申し訳ありません。返事を焦らせるつもりはないのです。けれど、それだけ覚えていて欲しいのです」
「うん」
そうだよね。当たり前のことを忘れていた。ガレンは本当に私と結婚したいと思ってくれているんだ。カスアン神から逃れるためでも、魔王たちに迷惑をかけないようにでもなく、ちゃんと考えよう。私が、ガレンとどうなりたいのか。
■ □ ■
ごろん、とベッドに横になって考える。
結婚するって、どういうことだろう。少なくとも、お母さんやお父さん、梓ちゃんをはじめといった友達には会えなくなる。その代わりに、ガレンと家族という関係性を築いていく。いつか、子供を持ったり育てたりもするんだろう。お父さんとお母さんが、私を育ててくれたように。
ううん、その前に、ガレンの奥さんになることを考えなきゃ。ガレンのことは大切に思っている。好きか、嫌いでいったら好きの分類に入る。でも、ガレンに恋をしているわけではない。だけど、よくテレビで結婚は恋でするものではないと言っていた。じゃあ、何でするんだろう。
魔王は、結婚してから愛を育むのも一つの考え方だといっていた。
恋と愛って、何が違うの。
難しいなぁ。
結局、その夜はそんなことばかり、考えていて一睡もできなかった。
■ □ ■
「ミカ、眠れなかったのか?」
書類整理の休憩時間に、魔王が心配そうに顔を覗き込んだ。
「……はい。考え事をしていて」
カスアン神とは関係ないことで、眠れず心配をかけてしまった。
「それは、私では力になれないことだろうか」
「オドウェル様は、恋とは何だと思いますか?」
魔王は暫く考えたのちに、口を開いた。
「本で得た知識だが……、その人の力になりたいと思ったり、視線が合うと動悸がしたり、笑顔が見たくなったり、触れたくなったり──」
魔王の話にはまだ、続きがありそうだが、魔王は続きをいうかわりに、ぼそぼそと、ユーリンがいっていたのは、とか、私はまさか、とか、とりとめのないこといった。
「オドウェル様?」
どうしたんだろう? と思って、魔王の顔を覗き込むと、魔王はびくりと体を揺らした。
「いっ、いや、何でもない」
それにしては、心なしか目尻が赤いような……
「ほっ、本当に何でもないのだ。気にするな、ミカ」
魔王がそういうので、頷いておく。けれど、その後も魔王は視線を合わせてくれずいや、それはいつものことだが、口数も少なくなってしまった。
一体どうしたんだろう?
そんなことを考えていると、ガレンが私の部屋を訪ねてきた。いったいどうしたのだろう。
「今日は早く仕事が終わったので。よろしければ、美香、一緒に散策でもしませんか?」
歩けば考えもまとまるかもしれないと、頷くと、ガレンは手を差し出した。今までは、ガレンにエスコートされることは何とも思っていなかったはずなのに、どうしても意識してしまって、頬が赤くなる。赤くなりながら、ガレンの手をとると、ガレンは嬉しそうに笑った。
その後は他愛もない話をしながら、中庭を散策する。魔王の手によって育てられた花はとても美しかった。きっと、魔王が丹精込めて育てているからだろう。
そういえば、本当にガレンは私と結婚するつもりなのだろうか? 私は、王族になれるような教養はないのだけれど。
「美香にはまだいっていませんでしたか。私はすでに臣籍に下っているのですよ。ですから、美香の身一つで嫁いでいただければと思います」
そう言うと、ガレンは本当に嬉しそうに笑った。
「いえ、美香は真剣に私とのことを考えてくださっているのですね」
「じょっ、冗談だったの!?」
「いいえ、本気です。ですから、美香が真剣に考えてくださること、嬉しく思います」
それから、ふと、ガレンは真剣な顔をした。
「美香、私と結婚するということは、貴方の世界と別れるということでもあります。美香から奪う以上に、美香を幸せにすると約束します。ですから、私の傍にいてくださいませんか」
「……ガレン」
「……申し訳ありません。返事を焦らせるつもりはないのです。けれど、それだけ覚えていて欲しいのです」
「うん」
そうだよね。当たり前のことを忘れていた。ガレンは本当に私と結婚したいと思ってくれているんだ。カスアン神から逃れるためでも、魔王たちに迷惑をかけないようにでもなく、ちゃんと考えよう。私が、ガレンとどうなりたいのか。
■ □ ■
ごろん、とベッドに横になって考える。
結婚するって、どういうことだろう。少なくとも、お母さんやお父さん、梓ちゃんをはじめといった友達には会えなくなる。その代わりに、ガレンと家族という関係性を築いていく。いつか、子供を持ったり育てたりもするんだろう。お父さんとお母さんが、私を育ててくれたように。
ううん、その前に、ガレンの奥さんになることを考えなきゃ。ガレンのことは大切に思っている。好きか、嫌いでいったら好きの分類に入る。でも、ガレンに恋をしているわけではない。だけど、よくテレビで結婚は恋でするものではないと言っていた。じゃあ、何でするんだろう。
魔王は、結婚してから愛を育むのも一つの考え方だといっていた。
恋と愛って、何が違うの。
難しいなぁ。
結局、その夜はそんなことばかり、考えていて一睡もできなかった。
■ □ ■
「ミカ、眠れなかったのか?」
書類整理の休憩時間に、魔王が心配そうに顔を覗き込んだ。
「……はい。考え事をしていて」
カスアン神とは関係ないことで、眠れず心配をかけてしまった。
「それは、私では力になれないことだろうか」
「オドウェル様は、恋とは何だと思いますか?」
魔王は暫く考えたのちに、口を開いた。
「本で得た知識だが……、その人の力になりたいと思ったり、視線が合うと動悸がしたり、笑顔が見たくなったり、触れたくなったり──」
魔王の話にはまだ、続きがありそうだが、魔王は続きをいうかわりに、ぼそぼそと、ユーリンがいっていたのは、とか、私はまさか、とか、とりとめのないこといった。
「オドウェル様?」
どうしたんだろう? と思って、魔王の顔を覗き込むと、魔王はびくりと体を揺らした。
「いっ、いや、何でもない」
それにしては、心なしか目尻が赤いような……
「ほっ、本当に何でもないのだ。気にするな、ミカ」
魔王がそういうので、頷いておく。けれど、その後も魔王は視線を合わせてくれずいや、それはいつものことだが、口数も少なくなってしまった。
一体どうしたんだろう?
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