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二度目の生
37 邪教の使徒
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「そうか。ならば、私も前線にでよう」
そういって、魔王が転移魔法を使おうとした瞬間、魔王のコートの裾をなんとか掴む。
むせかえるような、血と肉が焦げる匂いに、ああ、私は戦場に立っているのかと認識した。
「どうして着いてきた!」
私の存在に気付いた魔王が怒声をあげる。
「私だって、力になれます!」
祈りを捧げる。私の願いは、聖女に対抗する力を持つことだ。強く願うと、体から熱が奪われたような感覚があり、代わりに何かが満ちるような気がした。
聖女が以前していたように、右手を前に出すと、光弾が放たれる。
「本当に巫女の力を、使ったのか」
魔王が驚いた顔をしたが、当たり前だ。そのために私はここに立っているのだから。
そんなことよりも、聖女はどこに? 砂ぼこりにむせかえりながら、聖女を探す。聖女は、魔法を使って、次々に魔物の軍を滅ぼしていた。
「はやく、行かないと」
そうでないと、巻き戻る前と同じ結果になってしまう。
「待て、巫女──」
聖女のもとへ、と念じると転移魔法のようなもので、移動した。聖女は、やはり以前と同じ少女だった。
聖女の近くに移動したは良いものの、どうすれば、いざ目の前にすると、彼女を傷つけるのは躊躇われた。そうしている間に、聖女から光弾が放たれる。
──よけきれない!
ぎゅっと目を閉じる。けれど、一向に痛みはやってこなかった。
「……?」
疑問に思い、目を開けると、再び聖女から光弾が放たれるが、私に確かに当たっているのに、痛みは全く感じられなかった。
聖女が魔物特化に強いように、私も聖女特化に強くなったのかもしれない。それか、聖女は、他人の願いを叶えし者。人間の願いのなかに人間を傷つけることは含まれていないだろう。私は、人間だ。だから、聖女は私を傷つけられなかったのかもしれない。
「どうしてっ!?」
聖女が戸惑ったように、再度光弾を放つ。けれど、全く痛くない。私が、聖女を捕まえてと念じると左手から、縄のようなものが飛び出し、聖女に巻き付いた。
「何なのっ……!? 私はカスアン神の使者なのに!」
縄はしっかりと聖女に絡み付いて離れない。
「巫女!」
「陛下、聖女を捕まえました!」
移動してきた魔王の手をとり、転移魔法で城に戻る。
「私を放しなさい!邪教の使徒が!」
聖女はその後、地下牢にいれられた。地下牢には魔法封じの石が使われているので、逃げられることはない。
「邪教?」
そういえば、さっき、カスアン神の使者と言っていたような……。魔王を見上げると、魔王が、解説してくれた。
「アストリアでは、創造神は、女神カスアンただ一柱だけだ。クリスタリアでは、創造神として、女神カスアンの他に、男神ガレイオスも信仰している」
なるほど、それで邪教と。もしかして、この戦争、ただの戦争ではなく、代理戦争なのだろうか。
「聖女を騙った貴方がまさか、巫女だったなんて……! 穢らわしい」
聖女を騙った──? でも、私が今世で彼女にあったのは、これが初めてだ。まさか、聖女にも記憶が──……。
「たっ、大変です!兄上!」
「どうした?」
ユーリンが、息を切らしながら、地下牢へとやってきた。何だか、このパターン嫌な予感がするぞ。
「カスアン神が天界より降りてきました!」
そういって、魔王が転移魔法を使おうとした瞬間、魔王のコートの裾をなんとか掴む。
むせかえるような、血と肉が焦げる匂いに、ああ、私は戦場に立っているのかと認識した。
「どうして着いてきた!」
私の存在に気付いた魔王が怒声をあげる。
「私だって、力になれます!」
祈りを捧げる。私の願いは、聖女に対抗する力を持つことだ。強く願うと、体から熱が奪われたような感覚があり、代わりに何かが満ちるような気がした。
聖女が以前していたように、右手を前に出すと、光弾が放たれる。
「本当に巫女の力を、使ったのか」
魔王が驚いた顔をしたが、当たり前だ。そのために私はここに立っているのだから。
そんなことよりも、聖女はどこに? 砂ぼこりにむせかえりながら、聖女を探す。聖女は、魔法を使って、次々に魔物の軍を滅ぼしていた。
「はやく、行かないと」
そうでないと、巻き戻る前と同じ結果になってしまう。
「待て、巫女──」
聖女のもとへ、と念じると転移魔法のようなもので、移動した。聖女は、やはり以前と同じ少女だった。
聖女の近くに移動したは良いものの、どうすれば、いざ目の前にすると、彼女を傷つけるのは躊躇われた。そうしている間に、聖女から光弾が放たれる。
──よけきれない!
ぎゅっと目を閉じる。けれど、一向に痛みはやってこなかった。
「……?」
疑問に思い、目を開けると、再び聖女から光弾が放たれるが、私に確かに当たっているのに、痛みは全く感じられなかった。
聖女が魔物特化に強いように、私も聖女特化に強くなったのかもしれない。それか、聖女は、他人の願いを叶えし者。人間の願いのなかに人間を傷つけることは含まれていないだろう。私は、人間だ。だから、聖女は私を傷つけられなかったのかもしれない。
「どうしてっ!?」
聖女が戸惑ったように、再度光弾を放つ。けれど、全く痛くない。私が、聖女を捕まえてと念じると左手から、縄のようなものが飛び出し、聖女に巻き付いた。
「何なのっ……!? 私はカスアン神の使者なのに!」
縄はしっかりと聖女に絡み付いて離れない。
「巫女!」
「陛下、聖女を捕まえました!」
移動してきた魔王の手をとり、転移魔法で城に戻る。
「私を放しなさい!邪教の使徒が!」
聖女はその後、地下牢にいれられた。地下牢には魔法封じの石が使われているので、逃げられることはない。
「邪教?」
そういえば、さっき、カスアン神の使者と言っていたような……。魔王を見上げると、魔王が、解説してくれた。
「アストリアでは、創造神は、女神カスアンただ一柱だけだ。クリスタリアでは、創造神として、女神カスアンの他に、男神ガレイオスも信仰している」
なるほど、それで邪教と。もしかして、この戦争、ただの戦争ではなく、代理戦争なのだろうか。
「聖女を騙った貴方がまさか、巫女だったなんて……! 穢らわしい」
聖女を騙った──? でも、私が今世で彼女にあったのは、これが初めてだ。まさか、聖女にも記憶が──……。
「たっ、大変です!兄上!」
「どうした?」
ユーリンが、息を切らしながら、地下牢へとやってきた。何だか、このパターン嫌な予感がするぞ。
「カスアン神が天界より降りてきました!」
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