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婚約者を探そう!

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「……セレス」
「はい、何でしょう、お兄様!」
 お兄様を見上げると、お兄様は困った顔をしていた。

「こんなに僕にべったりくっついていたら、お友達もできないよ?」
 パーティーで宣言通り、私はお兄様にべったりとくっついていた。
「私は、お友達はいりません」

 だって、だって、お兄様が闇落ちしちゃったら、最後は自殺してしまう。
「でも……セレスは、この世界で生きていかなきゃいけないでしょう。だから、お義父様が言うように、お友達は作っておいで」
「!」

 そっか。私はお兄様が死なないために、自分が王子様に恋に落ちなかったらいいと思っていたけど。私がべったりくっついていたら、お兄様にもだれも友人ができない。

 お兄様は公爵家次期当主としてこの貴族世界でずっと生きていく。だから、お兄様には友人や婚約者だって必要だ。

 それに、そもそも物語のお兄様が私のせいで闇落ちしたのは、シスコンなお兄様が義妹を王子にとられた挙句に、そんなお兄様を慰めてくれる婚約者がいなかったから。
 だったら……。
「わかりました! お兄様にぴったりの女性と友人になって、お兄様に紹介いたしますね」

「……セレス? それは、いったい――」
 そうと決まったら、善は急げだ。
 私はぱっとお兄様から離れ、子供たちが集まっている場所をめがけて、歩き出した。

 んー、お兄様とお似合いの子かぁ。
 
 お兄様は私よりも二つ年上だから、私と同じ年ごろだと、幼すぎるかなぁ。

 ……でも、年の差は、大きくなったら気にならなくなるともいうし。
 どうしよっかなー。
 そう思いながら輪の中央から少し離れたところで、立ち止まる。

「うーん、難しい」
「何が難しいのですか?」
 澄んだ声に、振り向くと、そこにはさらさらな金髪に青い瞳をしたいかにも王子様っぽい人が……。
「!!!」
 そうだ、油断をしていた。
「か、かかかか」
 このパーティーには王子様……カイト殿下がいるのをすっかり忘れていた。

「? か?」
「いえ、なんでもありません! 失礼いたします」
 恋に落ちる前に、急いで逃げるのよ。さぁ、早く。

 優雅に礼をして、その場を後にする。遠くのほうで、何か聞こえたような気もしたけれど、無視無視!!

 私は、お兄様の婚約者を探さなきゃいけないんだから――。

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