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思い出した前世の記憶
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物語にはかっこいいヒーローがいて、その傍らには、可愛らしいヒロインがいる。
最後は、ヒーローとヒロインがくっついてハッピーエンド。いやぁ、めでたしめでたし、よかったね。
物語を外から眺めているときの私は、その影で泣いている登場たちに目もくれなかった。
だから、これは、そんな私への罰かもしれない。
「あぁ……そんな」
この世界での15歳の誕生日、私は、突然、前世の記憶を思い出した。
「よりにもよって……、とどほしの世界とか」
『君に祈りを、星に届くように。』は、冒険系RPGに恋愛要素を足したゲームだ。
どハマりしたというほどでもないけれど、そこそこはハマったゲーム。
私はどうやら、そんなゲームのヒロインになれなかったヒロイン……負けヒロインに転生してしまった、らしい。
そんなゲームの負けヒロインこと、ナタリア・サンダブルク第二王女は、回復魔法の使い手で、聖女の役職についていた。
序盤は重宝するものの、後半は攻撃と回復が両方使える、魔法騎士や賢者の役割の仲間に出番を奪われる。
そして、ついでにずっと好きだった幼馴染の主人公の気持ちもぽっと出に仲間になった、魔法騎士に奪われるのだ。
それだけなら、別にいい。
ナタリアは、恋の鞘当てやパーティー選抜で敗れるだけでなく……最後は死ぬ。
そう、死ぬのだ!
後半空気だったナタリアが、なぜか強制的にパーティーに組み込まれたラスボス戦。
ラスボスを封じるための生贄となって死ぬ。
って、いやすぎるー!!!!!
恋に敗れるのはいい。
いや、よくないけれど。ずっと好きだった、リズルに選ばれないの辛すぎるけど。
でも、死ぬよりずっといい。
でもでも、私のせいで他の誰かが生贄になるのは、嫌だし。
……だったら。
徹底的に自分を鍛えて生贄にならなくても、世界が救えるようにしよう!
できるかな……。
いいえ、やるのよ、ナタリア!
それに、ついでに、ヒーローであるリズルのことも嫌いになっとこう。
そしたら、恋で敗れても、そんなに傷つかないですむし。
うんうん。この方向でいきましょう。
最後は、ヒーローとヒロインがくっついてハッピーエンド。いやぁ、めでたしめでたし、よかったね。
物語を外から眺めているときの私は、その影で泣いている登場たちに目もくれなかった。
だから、これは、そんな私への罰かもしれない。
「あぁ……そんな」
この世界での15歳の誕生日、私は、突然、前世の記憶を思い出した。
「よりにもよって……、とどほしの世界とか」
『君に祈りを、星に届くように。』は、冒険系RPGに恋愛要素を足したゲームだ。
どハマりしたというほどでもないけれど、そこそこはハマったゲーム。
私はどうやら、そんなゲームのヒロインになれなかったヒロイン……負けヒロインに転生してしまった、らしい。
そんなゲームの負けヒロインこと、ナタリア・サンダブルク第二王女は、回復魔法の使い手で、聖女の役職についていた。
序盤は重宝するものの、後半は攻撃と回復が両方使える、魔法騎士や賢者の役割の仲間に出番を奪われる。
そして、ついでにずっと好きだった幼馴染の主人公の気持ちもぽっと出に仲間になった、魔法騎士に奪われるのだ。
それだけなら、別にいい。
ナタリアは、恋の鞘当てやパーティー選抜で敗れるだけでなく……最後は死ぬ。
そう、死ぬのだ!
後半空気だったナタリアが、なぜか強制的にパーティーに組み込まれたラスボス戦。
ラスボスを封じるための生贄となって死ぬ。
って、いやすぎるー!!!!!
恋に敗れるのはいい。
いや、よくないけれど。ずっと好きだった、リズルに選ばれないの辛すぎるけど。
でも、死ぬよりずっといい。
でもでも、私のせいで他の誰かが生贄になるのは、嫌だし。
……だったら。
徹底的に自分を鍛えて生贄にならなくても、世界が救えるようにしよう!
できるかな……。
いいえ、やるのよ、ナタリア!
それに、ついでに、ヒーローであるリズルのことも嫌いになっとこう。
そしたら、恋で敗れても、そんなに傷つかないですむし。
うんうん。この方向でいきましょう。
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