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出会い
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ぱっちりとした目に、艶やかな唇。そして何より、真っ直ぐ伸びた黒髪。
うん、可愛い。間違いなく美少女だ。
「ちょっと朱里ー、なんで窓の外を見つめてるの?」
「しっ! 彩月ちゃん、今大事なところだから!」
慌てて彩月ちゃんの口をふさいで、外に視線をやる。
すっと通った鼻に、切れ長の目。そして、色素の薄い髪。間違いない、お兄ちゃんだ。
そんな、美少女とお兄ちゃんがぶつかり、美少女はお弁当箱を落としてしまった。
──ここまで見れば、もういいかな。
彩月ちゃんの口をふさいでいた手を解放し、視線を外から中に戻す。
今さっき見た光景は、漫画内のヒロインとヒーローが初めて出会う場面だった。
「朱里、どうしたの?」
「ごめん、彩月ちゃん。苦しかったよね」
「それは、別にいいけど。──そんなことより、顔!」
「顔? 何かついてる?」
慌てて顔をぺたぺたさわると、さっきまで食べていたお弁当のご飯粒がついていた。
「あっ、ご飯粒! ありがとう」
「いや、それもあるけど。……大丈夫? 泣きそうな顔をしてるよ」
そういって、彩月ちゃんが私の顔を覗きこむ。
「そ、そんなことないよ!」
「そう? ならいいけど」
慌ててぶんぶんと首を振り、表情を切り替える。私には、泣く理由がない。お兄ちゃんのことはもう諦めたんだから。だから、私はお兄ちゃんとヒロインがくっついたとき、一番に祝福できる人間になろう。
それに、これでヒロインと出会ったから、お兄ちゃんも私と登下校しようだなんてもう思わないだろうな。
その日の放課後は、彩月ちゃんと部活動見学をして、過ごした。
「色んな部活があるね」
「どれにしようか、迷っちゃうね」
料理部とか文化系の部活にしようかと思ったけれど、運動系の部活も捨てがたい。
「そういえば、野球部、マネージャー募集中っていってたね」
彩月ちゃんの言葉に、ふと、亮くんのことを思い出した。亮くんは、あのまま野球部にはいるのかな?
「彩月ちゃんは、マネージャーに興味があるの?」
意外だ。彩月ちゃんはどちらかというと、サポートするよりも、自分が運動したい側だと思っていた。
「いや、私じゃなくて、朱里にどうかなって」
「うーん、マネージャーかぁ」
想像してみる。とても忙しそうだけれども、気が紛れていいかもしれない。
「マネージャーに興味あるなら、生徒会も補佐を探してるよ」
「おおお、お兄ちゃん! なんで」
「なんでって、朱里の姿が見えたから」
彩月ちゃんと話していると、突然目の前にお兄ちゃんが現れたのでびっくりする。お兄ちゃんって、神出鬼没だったっけ。
私がびっくりしている間に、彩月ちゃんは、
「あっ、今日私、塾だから。でも、小鳥遊先輩が一緒なら安心だね」
といって、帰ってしまった。
「藤堂さんに朱里を任せられたことだし、今日は一緒に帰ろうか」
「う、うん」
ここで断るのも何なので、結局その日は下校も一緒になったのだった。
うん、可愛い。間違いなく美少女だ。
「ちょっと朱里ー、なんで窓の外を見つめてるの?」
「しっ! 彩月ちゃん、今大事なところだから!」
慌てて彩月ちゃんの口をふさいで、外に視線をやる。
すっと通った鼻に、切れ長の目。そして、色素の薄い髪。間違いない、お兄ちゃんだ。
そんな、美少女とお兄ちゃんがぶつかり、美少女はお弁当箱を落としてしまった。
──ここまで見れば、もういいかな。
彩月ちゃんの口をふさいでいた手を解放し、視線を外から中に戻す。
今さっき見た光景は、漫画内のヒロインとヒーローが初めて出会う場面だった。
「朱里、どうしたの?」
「ごめん、彩月ちゃん。苦しかったよね」
「それは、別にいいけど。──そんなことより、顔!」
「顔? 何かついてる?」
慌てて顔をぺたぺたさわると、さっきまで食べていたお弁当のご飯粒がついていた。
「あっ、ご飯粒! ありがとう」
「いや、それもあるけど。……大丈夫? 泣きそうな顔をしてるよ」
そういって、彩月ちゃんが私の顔を覗きこむ。
「そ、そんなことないよ!」
「そう? ならいいけど」
慌ててぶんぶんと首を振り、表情を切り替える。私には、泣く理由がない。お兄ちゃんのことはもう諦めたんだから。だから、私はお兄ちゃんとヒロインがくっついたとき、一番に祝福できる人間になろう。
それに、これでヒロインと出会ったから、お兄ちゃんも私と登下校しようだなんてもう思わないだろうな。
その日の放課後は、彩月ちゃんと部活動見学をして、過ごした。
「色んな部活があるね」
「どれにしようか、迷っちゃうね」
料理部とか文化系の部活にしようかと思ったけれど、運動系の部活も捨てがたい。
「そういえば、野球部、マネージャー募集中っていってたね」
彩月ちゃんの言葉に、ふと、亮くんのことを思い出した。亮くんは、あのまま野球部にはいるのかな?
「彩月ちゃんは、マネージャーに興味があるの?」
意外だ。彩月ちゃんはどちらかというと、サポートするよりも、自分が運動したい側だと思っていた。
「いや、私じゃなくて、朱里にどうかなって」
「うーん、マネージャーかぁ」
想像してみる。とても忙しそうだけれども、気が紛れていいかもしれない。
「マネージャーに興味あるなら、生徒会も補佐を探してるよ」
「おおお、お兄ちゃん! なんで」
「なんでって、朱里の姿が見えたから」
彩月ちゃんと話していると、突然目の前にお兄ちゃんが現れたのでびっくりする。お兄ちゃんって、神出鬼没だったっけ。
私がびっくりしている間に、彩月ちゃんは、
「あっ、今日私、塾だから。でも、小鳥遊先輩が一緒なら安心だね」
といって、帰ってしまった。
「藤堂さんに朱里を任せられたことだし、今日は一緒に帰ろうか」
「う、うん」
ここで断るのも何なので、結局その日は下校も一緒になったのだった。
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