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第二十六話 対面
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「それでは皆さま、お食事の準備が整いましたのでご案内いたします」
王城の一室で休んでいると、執事のハリーが案内のために部屋を訪ねてきた。
「おぉ~!俺は腹ペコだぜぇ~!」
「ん、わたしも。」
ニアとケントは、待ってましたと言わんばかりにソファから立ち上がる。
今から自分の国の王と顔合わせだというのに、二人は緊張していないのだろうか……
「よろしくお願いします」
俺は少し固くなった体をぎこちなく動かして、ハリーの後に続いた。
数分後、王城の広間に到着する。
「こちらへどうぞ」
ハリーに促されるまま、俺たちは着席する。
「うっわ~!すげえな!」
「ん、キラキラしてる……!」
王族の食事とは豪華なものだな……
テーブルの上には王国の様々な素材を使った食事が並んでいる。
「おっラルフ君~、来てくれたんだね~」
「ナイジェル!傷は大丈夫なのか!?」
テーブルの上の食事に目を奪われていると、ナイジェルが入室してきた。
「あぁ、傷ならこの通り。うちの治療班はすごいんだ」
メキラとの戦いで負った、ナイジェルの傷は全て完治していた。
「あんたは本当に……私が治療班を呼んであげなかったら、危なかったんだからね?」
「分かってるよ姉上。ありがとう」
ナイジェルに続いて、アンリも入室してきた。
俺と分かれた後、アンリはナイジェルの部屋にも治療班を呼んでくれた。
部屋に入るとナイジェルがボロボロの状態で床に座り込んでいたので、かなり驚かされたらしい。
もちろん悪い意味でだ。
それにしても、あれほどの傷を数時間で完治させるとは……
王城の治療班は確かな腕を持っているという話は、間違いないようだな。
俺が治療班の腕に感服していると、白髪の執事の後に二人の男女が続いてきた。
二人の男女はテーブルに着席すると、おもむろに口を開いた。
「君たちが例の客人か!この度は危険な目に遭わせてしまい申し訳無かった!」
「本当にごめんなさいね……」
突然の事に俺たちが呆気に取られていると、二人は話し続ける。
「おっとすまない、まだ名乗っていなかったね。わたしはアルベルト=グランハイム。一応、この国の王をやらせてもらっている」
「私はイメルダ=グランハイムよ。この人の妻で王妃っていう立場になるわね」
「は……はじめまして、ラルフ=ユーフレットと申します」
どんな人物が来るのかと身構えていたら、とても真面目そうで少し拍子抜けしてしまった。
俺に続いてニアとケントも名乗っていく。
「ご丁寧にありがとう。改めて、今回は本当に申し訳なかった。多数の兵士が出払っている状況とはいえ、そんな事は言い訳にできん。今後は、警備体制の見直し、強化をして二度と同じような被害のないよう徹底させて頂く」
一国の王ともあろう人物が、ただの一人の国民に頭を下げるなんてと、普通だったら言われるかもしれない。
だが、俺はアルベルトさんに対してそんな事を思いはしない。
むしろ、グランハイム王国はこの人が王で良かったと思った。
人を思いやれる優しい人なんだろう。
「とんでもないです。自分たちも含めて、全員が無事でしたので!」
「そう言ってもらえてありがたいよ」
アルベルトはホッとした表情を見せる。
「さぁ、それでは食事にしよう!みんな待たせてすまないね」
「はい、それではありがたく頂きます」
かくして、王との初顔合わせは意外とすんなり終了した。
王城の一室で休んでいると、執事のハリーが案内のために部屋を訪ねてきた。
「おぉ~!俺は腹ペコだぜぇ~!」
「ん、わたしも。」
ニアとケントは、待ってましたと言わんばかりにソファから立ち上がる。
今から自分の国の王と顔合わせだというのに、二人は緊張していないのだろうか……
「よろしくお願いします」
俺は少し固くなった体をぎこちなく動かして、ハリーの後に続いた。
数分後、王城の広間に到着する。
「こちらへどうぞ」
ハリーに促されるまま、俺たちは着席する。
「うっわ~!すげえな!」
「ん、キラキラしてる……!」
王族の食事とは豪華なものだな……
テーブルの上には王国の様々な素材を使った食事が並んでいる。
「おっラルフ君~、来てくれたんだね~」
「ナイジェル!傷は大丈夫なのか!?」
テーブルの上の食事に目を奪われていると、ナイジェルが入室してきた。
「あぁ、傷ならこの通り。うちの治療班はすごいんだ」
メキラとの戦いで負った、ナイジェルの傷は全て完治していた。
「あんたは本当に……私が治療班を呼んであげなかったら、危なかったんだからね?」
「分かってるよ姉上。ありがとう」
ナイジェルに続いて、アンリも入室してきた。
俺と分かれた後、アンリはナイジェルの部屋にも治療班を呼んでくれた。
部屋に入るとナイジェルがボロボロの状態で床に座り込んでいたので、かなり驚かされたらしい。
もちろん悪い意味でだ。
それにしても、あれほどの傷を数時間で完治させるとは……
王城の治療班は確かな腕を持っているという話は、間違いないようだな。
俺が治療班の腕に感服していると、白髪の執事の後に二人の男女が続いてきた。
二人の男女はテーブルに着席すると、おもむろに口を開いた。
「君たちが例の客人か!この度は危険な目に遭わせてしまい申し訳無かった!」
「本当にごめんなさいね……」
突然の事に俺たちが呆気に取られていると、二人は話し続ける。
「おっとすまない、まだ名乗っていなかったね。わたしはアルベルト=グランハイム。一応、この国の王をやらせてもらっている」
「私はイメルダ=グランハイムよ。この人の妻で王妃っていう立場になるわね」
「は……はじめまして、ラルフ=ユーフレットと申します」
どんな人物が来るのかと身構えていたら、とても真面目そうで少し拍子抜けしてしまった。
俺に続いてニアとケントも名乗っていく。
「ご丁寧にありがとう。改めて、今回は本当に申し訳なかった。多数の兵士が出払っている状況とはいえ、そんな事は言い訳にできん。今後は、警備体制の見直し、強化をして二度と同じような被害のないよう徹底させて頂く」
一国の王ともあろう人物が、ただの一人の国民に頭を下げるなんてと、普通だったら言われるかもしれない。
だが、俺はアルベルトさんに対してそんな事を思いはしない。
むしろ、グランハイム王国はこの人が王で良かったと思った。
人を思いやれる優しい人なんだろう。
「とんでもないです。自分たちも含めて、全員が無事でしたので!」
「そう言ってもらえてありがたいよ」
アルベルトはホッとした表情を見せる。
「さぁ、それでは食事にしよう!みんな待たせてすまないね」
「はい、それではありがたく頂きます」
かくして、王との初顔合わせは意外とすんなり終了した。
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