15 / 39
第十五話 謁見
しおりを挟む
「あら!三人とも学園の試験に合格できたのね!すごいじゃない!」
「まぁな~!」
「ふふふ、なんと私は首席。」
「えぇ~!?ニアちゃん凄いじゃな~い!」
お茶会が始まって三十分ほどが経った。
アンリと別れた後の話から始まり、ちょうど入学試験の話が始まったところだ。
ニアは首席の意味をあまり分かっていないが、ドヤドヤしながらアンリに自慢している。
「ふふふ、アンリになら私の必殺技をみせてあげてもいい。」
「えぇ~!なになに!どんな技なの~!?」
ニアの必殺技?
それは俺も気になるな。
「一回だけだよ、ふっ!」
「えぇ!?ニアちゃん……!?ラルフ大変!ニアちゃんが!」
ニアが声に力を込めるとニアの姿が段々と薄くなっていき、最後には消えてしまった。
俺も初めてみる技だ。
「ただい~まっ。」
俺たちが驚いていると、ニアが満足げな表情で再び現れた。
「おいニア!必殺技があるなんて聞いたこと無かったぜ!?今何したんだ!?」
「ふふふ、奥の手は隠しておくもの。」
「ニアちゃん!どんな魔法を使ったの!?」
アンリとケントがニアに何をしたのか問い詰めると意外と簡単に答えてくれた。
「これはね、私の影を薄くする魔法。」
「ん~?影を薄くぅ~?」
「本当に消えてる訳じゃないって事か」
「そそそ、ラルフさすが。」
なるほど、ニアは闇属性に適性がある。
影を自分の存在と定義すれば、こういう使い方も可能って訳か……
やはりニアのセンスはすごい。
「でもニアちゃん、なんでこの技を覚えたの?」
「ん、それは……ハッ」
危ない危ないと口を手で塞ぐニア。
それを見て、はは~んとニヤニヤするアンリ。
「ニアちゃんそういう事なのね~?」
「うぅ~、何の事かさっぱり!」
「ニア~!つまりどういう事なんだ?!俺にも教えてくれ~!」
俺にもどういう事なのか、さっぱり分からない。
女同士で通ずるものがあったのだろう。
そんな賑やかな茶会の中、扉をノックする音が部屋に響く。
「失礼いたします。ナイジェル様のご準備が整いましたので、お迎えに上がりました」
俺たちをアンリの部屋まで案内した後、ナイジェルの元へ向かっていたハリーが戻ってきた。
「あら、もう終わり?せっかく盛り上がってきたところだったのに~」
先程まで、とても楽しそうにしていたアンリは残念そうに呟く。
確かに、俺もあんなに楽しそうなニアやケントを見るのは久々だ。
「アンリ殿下、ナイジェル殿下との謁見は自分一人で大丈夫です。ですので、もうしばらくニアとケントとお話して頂けましたら幸いです。こんなに楽しそうな二人を見るのは久しぶりなものでして」
「えっでも……二人ともいいの?」
アンリは上目遣いでニアとケントに伺う。
美女の上目遣いは破壊力が凄い……
「ん、私もまだアンリとお話したい。」
「俺もアンリ様ともっと話したいぜ~!ところで好きな男性のタイプは……!?」
どうやら、二人もまだ茶会を続けたいみたいだな。
「ではラルフ様、ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
俺はニアとケントに、謁見が終わったら戻ってくることを伝えてアンリの部屋を出た。
▼
「到着いたしました」
「ありがとうございます」
俺はハリーさんの案内の元、ナイジェルの部屋の前に到着した。
それにしても王城というものは、こんなに広いものなのか……
ハリーさんの案内が無ければ、確実に迷子に なっているな。
「ナイジェル様、ラルフ様をお連れいたしました」
ハリーが扉越しに俺の到着を伝える。
するとやはりアンリの時と同じように、部屋の中からメイドが扉を開いて俺を招き入れた。
「やぁラルフ君、すぐ会えただろ?」
「はい、ナイジェル殿下のおっしゃる通りでした」
部屋の中には、入学試験ぶりに会う飄々とした男がいた。
それとどうやら試験の時みたいに、取り巻きの女のような存在は居ないようだ。
その代わりにメイドが一名いるくらいだった。
「え、何その言葉遣い……変な感じがするからやめてほしいかな」
「しかし……知らなかったとはいえ、無礼を働いてしまい大変申し訳ありません」
「いいっていいって!もう!わざとやってるでしょ!」
困っているナイジェルを見るのはおもしろいな。
だが、からかうのもこの辺にしておこう。
「ははは、わるいわるい。今日は時間を作ってくれてありがとうナイジェル」
「まっ、他ならぬラルフ君の頼みだからね。それに、姉さんが世話になったみたいだし」
「あぁ、それについてもだが色々と話したい事がある」
「うん、試験の時にも言ってたよね。それじゃあゆっくり話そうか」
ナイジェルはメイドに目配せをすると、メイドは頭を下げて部屋から退室した。
俺としても話を聞かれたく無かったので、その対応はありがたい。
ナイジェルは大きなソファにドカッと座り込むと、君も座りなよと俺にジェスチャーする。
「それで、何から聞きたい?」
ナイジェルは、俺の方を見て少し微笑む。
「聞きたいことは山ほどある」
ようやくナイジェルとの対話が始まった。
「まぁな~!」
「ふふふ、なんと私は首席。」
「えぇ~!?ニアちゃん凄いじゃな~い!」
お茶会が始まって三十分ほどが経った。
アンリと別れた後の話から始まり、ちょうど入学試験の話が始まったところだ。
ニアは首席の意味をあまり分かっていないが、ドヤドヤしながらアンリに自慢している。
「ふふふ、アンリになら私の必殺技をみせてあげてもいい。」
「えぇ~!なになに!どんな技なの~!?」
ニアの必殺技?
それは俺も気になるな。
「一回だけだよ、ふっ!」
「えぇ!?ニアちゃん……!?ラルフ大変!ニアちゃんが!」
ニアが声に力を込めるとニアの姿が段々と薄くなっていき、最後には消えてしまった。
俺も初めてみる技だ。
「ただい~まっ。」
俺たちが驚いていると、ニアが満足げな表情で再び現れた。
「おいニア!必殺技があるなんて聞いたこと無かったぜ!?今何したんだ!?」
「ふふふ、奥の手は隠しておくもの。」
「ニアちゃん!どんな魔法を使ったの!?」
アンリとケントがニアに何をしたのか問い詰めると意外と簡単に答えてくれた。
「これはね、私の影を薄くする魔法。」
「ん~?影を薄くぅ~?」
「本当に消えてる訳じゃないって事か」
「そそそ、ラルフさすが。」
なるほど、ニアは闇属性に適性がある。
影を自分の存在と定義すれば、こういう使い方も可能って訳か……
やはりニアのセンスはすごい。
「でもニアちゃん、なんでこの技を覚えたの?」
「ん、それは……ハッ」
危ない危ないと口を手で塞ぐニア。
それを見て、はは~んとニヤニヤするアンリ。
「ニアちゃんそういう事なのね~?」
「うぅ~、何の事かさっぱり!」
「ニア~!つまりどういう事なんだ?!俺にも教えてくれ~!」
俺にもどういう事なのか、さっぱり分からない。
女同士で通ずるものがあったのだろう。
そんな賑やかな茶会の中、扉をノックする音が部屋に響く。
「失礼いたします。ナイジェル様のご準備が整いましたので、お迎えに上がりました」
俺たちをアンリの部屋まで案内した後、ナイジェルの元へ向かっていたハリーが戻ってきた。
「あら、もう終わり?せっかく盛り上がってきたところだったのに~」
先程まで、とても楽しそうにしていたアンリは残念そうに呟く。
確かに、俺もあんなに楽しそうなニアやケントを見るのは久々だ。
「アンリ殿下、ナイジェル殿下との謁見は自分一人で大丈夫です。ですので、もうしばらくニアとケントとお話して頂けましたら幸いです。こんなに楽しそうな二人を見るのは久しぶりなものでして」
「えっでも……二人ともいいの?」
アンリは上目遣いでニアとケントに伺う。
美女の上目遣いは破壊力が凄い……
「ん、私もまだアンリとお話したい。」
「俺もアンリ様ともっと話したいぜ~!ところで好きな男性のタイプは……!?」
どうやら、二人もまだ茶会を続けたいみたいだな。
「ではラルフ様、ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
俺はニアとケントに、謁見が終わったら戻ってくることを伝えてアンリの部屋を出た。
▼
「到着いたしました」
「ありがとうございます」
俺はハリーさんの案内の元、ナイジェルの部屋の前に到着した。
それにしても王城というものは、こんなに広いものなのか……
ハリーさんの案内が無ければ、確実に迷子に なっているな。
「ナイジェル様、ラルフ様をお連れいたしました」
ハリーが扉越しに俺の到着を伝える。
するとやはりアンリの時と同じように、部屋の中からメイドが扉を開いて俺を招き入れた。
「やぁラルフ君、すぐ会えただろ?」
「はい、ナイジェル殿下のおっしゃる通りでした」
部屋の中には、入学試験ぶりに会う飄々とした男がいた。
それとどうやら試験の時みたいに、取り巻きの女のような存在は居ないようだ。
その代わりにメイドが一名いるくらいだった。
「え、何その言葉遣い……変な感じがするからやめてほしいかな」
「しかし……知らなかったとはいえ、無礼を働いてしまい大変申し訳ありません」
「いいっていいって!もう!わざとやってるでしょ!」
困っているナイジェルを見るのはおもしろいな。
だが、からかうのもこの辺にしておこう。
「ははは、わるいわるい。今日は時間を作ってくれてありがとうナイジェル」
「まっ、他ならぬラルフ君の頼みだからね。それに、姉さんが世話になったみたいだし」
「あぁ、それについてもだが色々と話したい事がある」
「うん、試験の時にも言ってたよね。それじゃあゆっくり話そうか」
ナイジェルはメイドに目配せをすると、メイドは頭を下げて部屋から退室した。
俺としても話を聞かれたく無かったので、その対応はありがたい。
ナイジェルは大きなソファにドカッと座り込むと、君も座りなよと俺にジェスチャーする。
「それで、何から聞きたい?」
ナイジェルは、俺の方を見て少し微笑む。
「聞きたいことは山ほどある」
ようやくナイジェルとの対話が始まった。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
迷宮の魔王物語
兎屋亀吉
ファンタジー
事故で死んだはずの俺の前に現れたのは、前世と来世の渡し守カンダタと名乗る男。
このままでは前世の記憶を持ったままチンパンジーに転生すると言われ、狼狽する俺。
なんやかんやで一か八かの異世界転生に賭けることに。
目を覚ました俺が転生したのは、迷宮の魔王でした。
このお話は、魔王に転生した俺がフェンリルをモフモフしたり、氷上で釣りをしたり、人間の国を侵略したりするお話です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る
Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される
・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。
実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。
※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。
召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -
花京院 光
ファンタジー
魔物討伐を生業とする冒険者に憧れる俺は、十五歳の誕生日を迎えた日、一流の冒険者になる事を決意して旅に出た。
旅の最中に「魔物を自在に召喚する力」に目覚めた主人公が、次々と強力な魔物を召喚し、騎士団を作りながら地域を守り続け、最高の冒険者を目指します。
主人公最強、村人の成り上がりファンタジー。
※小説家になろうにて、990万PV達成しました。
※以前アルファポリスで投稿していた作品を大幅に加筆修正したものです。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる