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第十五話 謁見

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「あら!三人とも学園の試験に合格できたのね!すごいじゃない!」


「まぁな~!」


「ふふふ、なんと私は首席。」


「えぇ~!?ニアちゃん凄いじゃな~い!」


 お茶会が始まって三十分ほどが経った。


 アンリと別れた後の話から始まり、ちょうど入学試験の話が始まったところだ。


 ニアは首席の意味をあまり分かっていないが、ドヤドヤしながらアンリに自慢している。


「ふふふ、アンリになら私の必殺技をみせてあげてもいい。」


「えぇ~!なになに!どんな技なの~!?」


 ニアの必殺技?


 それは俺も気になるな。


「一回だけだよ、ふっ!」


「えぇ!?ニアちゃん……!?ラルフ大変!ニアちゃんが!」


 ニアが声に力を込めるとニアの姿が段々と薄くなっていき、最後には消えてしまった。


 俺も初めてみる技だ。


「ただい~まっ。」


 俺たちが驚いていると、ニアが満足げな表情で再び現れた。


「おいニア!必殺技があるなんて聞いたこと無かったぜ!?今何したんだ!?」


「ふふふ、奥の手は隠しておくもの。」


「ニアちゃん!どんな魔法を使ったの!?」


 アンリとケントがニアに何をしたのか問い詰めると意外と簡単に答えてくれた。


「これはね、私の影を薄くする魔法。」


「ん~?影を薄くぅ~?」


「本当に消えてる訳じゃないって事か」


「そそそ、ラルフさすが。」


 なるほど、ニアは闇属性に適性がある。


 影を自分の存在と定義すれば、こういう使い方も可能って訳か……


 やはりニアのセンスはすごい。


「でもニアちゃん、なんでこの技を覚えたの?」


「ん、それは……ハッ」


 危ない危ないと口を手で塞ぐニア。


 それを見て、はは~んとニヤニヤするアンリ。


「ニアちゃんそういう事なのね~?」


「うぅ~、何の事かさっぱり!」


「ニア~!つまりどういう事なんだ?!俺にも教えてくれ~!」


 俺にもどういう事なのか、さっぱり分からない。


 女同士で通ずるものがあったのだろう。


 そんな賑やかな茶会の中、扉をノックする音が部屋に響く。


「失礼いたします。ナイジェル様のご準備が整いましたので、お迎えに上がりました」


 俺たちをアンリの部屋まで案内した後、ナイジェルの元へ向かっていたハリーが戻ってきた。


「あら、もう終わり?せっかく盛り上がってきたところだったのに~」


 先程まで、とても楽しそうにしていたアンリは残念そうに呟く。


 確かに、俺もあんなに楽しそうなニアやケントを見るのは久々だ。
 

「アンリ殿下、ナイジェル殿下との謁見は自分一人で大丈夫です。ですので、もうしばらくニアとケントとお話して頂けましたら幸いです。こんなに楽しそうな二人を見るのは久しぶりなものでして」


「えっでも……二人ともいいの?」


 アンリは上目遣いでニアとケントに伺う。


 美女の上目遣いは破壊力が凄い……


「ん、私もまだアンリとお話したい。」


「俺もアンリ様ともっと話したいぜ~!ところで好きな男性のタイプは……!?」


 どうやら、二人もまだ茶会を続けたいみたいだな。


「ではラルフ様、ご案内いたします」


「よろしくお願いします」


 俺はニアとケントに、謁見が終わったら戻ってくることを伝えてアンリの部屋を出た。





「到着いたしました」


「ありがとうございます」


 俺はハリーさんの案内の元、ナイジェルの部屋の前に到着した。


 それにしても王城というものは、こんなに広いものなのか……


 ハリーさんの案内が無ければ、確実に迷子に なっているな。


「ナイジェル様、ラルフ様をお連れいたしました」


 ハリーが扉越しに俺の到着を伝える。


 するとやはりアンリの時と同じように、部屋の中からメイドが扉を開いて俺を招き入れた。


「やぁラルフ君、すぐ会えただろ?」


「はい、ナイジェル殿下のおっしゃる通りでした」


 部屋の中には、入学試験ぶりに会う飄々とした男がいた。


 それとどうやら試験の時みたいに、取り巻きの女のような存在は居ないようだ。


 その代わりにメイドが一名いるくらいだった。


「え、何その言葉遣い……変な感じがするからやめてほしいかな」


「しかし……知らなかったとはいえ、無礼を働いてしまい大変申し訳ありません」


「いいっていいって!もう!わざとやってるでしょ!」


 困っているナイジェルを見るのはおもしろいな。


 だが、からかうのもこの辺にしておこう。


「ははは、わるいわるい。今日は時間を作ってくれてありがとうナイジェル」


「まっ、他ならぬラルフ君の頼みだからね。それに、姉さんが世話になったみたいだし」


「あぁ、それについてもだが色々と話したい事がある」


「うん、試験の時にも言ってたよね。それじゃあゆっくり話そうか」


 ナイジェルはメイドに目配せをすると、メイドは頭を下げて部屋から退室した。


 俺としても話を聞かれたく無かったので、その対応はありがたい。


 ナイジェルは大きなソファにドカッと座り込むと、君も座りなよと俺にジェスチャーする。


「それで、何から聞きたい?」


 ナイジェルは、俺の方を見て少し微笑む。


「聞きたいことは山ほどある」


 ようやくナイジェルとの対話が始まった。


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