上 下
47 / 302
第二章 クラン街の悪夢

第44話 結婚式の準備

しおりを挟む
 オレとシルビアさんは、バルベロの提案により明後日に結婚式をする事になった。
費用はどうしようかと考えていると、バルベロが費用を出し、すべてを取り仕切ってくれるという。日頃の感謝のお礼だそうだ。

日頃は、自宅でゴロゴロ寝ていたり、コンビニや古本屋で立ち読みしているオレだけど、素直に嬉しかった。

これからは子供のためにも、バルベロのためにも週に一回くらいはまともに働こうと考えている。

実際には、異世界の様子を観察するのが仕事だから、一ヶ月に数日は働いている計算になるが、やる気があるかないかの差は大きかった。

特にすることも変わらないけど、報告書の書く内容が多くなったり、定期的にメールを返信したりする。
おかしなモノだ。

仕事をあまりしていないと感じていた時は、メ―ルの返信も消極的になってしまうのに対し、仕事をしているんだという自覚があると積極的に人に関わろうとする。
している事は変わらなくても、気持ち一つで全く生き方が変わっているようだ。

会社の上司も、部下がだらしないと感じた時は、それなりに誉めてあげよう。
五回ほど連続で誉めてあげれば、部下も積極的に仕事ができるようになるはずだ。

ただ、その過程で部下が消極的になった原因を知る事になるかもしれないけど、必要以上に怒らないようにね。

ほとんどの場合は誤解が原因だろうけど、まれに大切な機械を壊したという場合もあるからね。
オレの場合は、ただのめんどくさがりが原因だけど……。

式の前日に、バルベロの用意した結婚式の衣装を着る。
さすがにバルベロが優秀な機械であり、信頼のできる機械だとしても、実際に着てみなければサイズが合っているかなどは分からない。

データというのは、信頼や説得力がある反面、思わぬ落とし穴もあるモノなのだ。
例えば、サイズを全世界で統一化していても、必ずしも同じとは限らないのだ。
作り手の技量、気温による変化、材質などにより変わってしまうこともあるのだ。

実際に、試着してみる事はとても大切な事なんだ。
女性の場合は特にそう言える。

ブラのサイズやウエストが合っていても、全体の大きさが違うというのは好くあることなのだ。
それに女性の場合、こういう準備も大切な結婚の過程の一つといえる。

お金が無く、結婚式があげられないというカップルでも、場所と服を用意し、少人数で良いから結婚式を挙げて欲しいモノだ。

確かに商業界からしてみたら、お金をふんだんに使って盛大に結婚式を挙げて欲しいと願うモノだが、その反面、結婚式しないカップルも増えている。
これでは少子化を食い止める事は出来ない。

どうか、カップル同士でプランを決めて、小規模な結婚式を挙げる計画も立てて欲しい。
そこからまた、新たなビジネスのチャンスが生まれるのだから……。
オレがそんな事を考えていると、全ての準備が整ったようだ。

ホテルもバルベロが用意してくれており、オレの両親やシルビアさんの両親もここに集まっていた。
バルベロはどうしてここまでオレに良くしてくれるのか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...