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第ニ章
12
しおりを挟む不安になりながらメイドの様子を確認してると、ドンドンと傷が塞がっていき、頭から血を流してたのに血が止まり、血も綺麗に洗い流されている。
「アクア凄い!!アクアが側に居てくれたら、どんな怪我でも怖くないね」
「出来れば怪我をして欲しくないんですけど…………、どんな怪我でも治す自信はありますけど、シエル様が傷付いてる姿は見たくないですからね」
「は~~い」
アクアって過保護なんだよね。
赤ちゃんの頃からミリーと一緒に私のお世話をしてくれてたから、私を自分の子供のように思ってるみたいだけど、私の精神年齢は16歳だから違和感を感じる。
実際に今の私は小さい子供だけど、心は当時のままだから複雑に感じてしまう。
それにアクアは見た目は20代半ばくらいの見た目だから、そんな人に我が子みたいに世話をされるのは複雑。
メイドの怪我が完全に治ったところで目を覚ましたけど、水に包まれてる状況に混乱して暴れ始める。
「治療してるだけだから暴れないで、息も出来るはずだよ」
私は確認するようにアクアを見ると、アクアは無言で頷く。
良かった~
アクアならそれぐらいの配慮をすると思ってたけど、私以外にもちゃんと配慮するか不安だったんだよね。
ミリーが相手なら絶対に配慮すると思うけど、今回の相手は私に良い感情がない人だからね。
私の言葉にメイドの動きが止まる。
「完全に治りました。これでシエル様と会話しても問題ないでしょう」
「ありがとう」
メイドが水の膜から解放されたのを確認して、メイドに向き直り話しかける。
「貴女はお母さんのところのメイドだよね?」
「はい。奥様付きのシシリーです。助けていただきありがとうございます」
「貴女に話を聞きたかったから、怪我を治しただけだよ。それでお母さんとカヤに何があったの?あの状況では本人達に確認するのは危険だから、貴女が教えてくれると助かる」
お母さん達の方に顔を向けると、今も髪を引っ張り合って、顔にも引っ掻き傷が出来ている。
女性の爪って武器になるんだよね。
「奥様がお出掛けから帰ってきた時に、留守番をしていたメイドから、奥様が居ない間にカヤ様が来て、旦那様に言い寄っていたと報告されたんです。その時にカヤ様が旦那様の元愛人の1人だったと知らされてこうなりました」
あぁ~、本邸に行っていたのは想像してたけど、まさか言い寄っていたとは思わなかった。
お母さん以外は全く相手にしてないって聞いてたから、絶対に断られるって分かってるのに、プライドの高いカヤが行動に移すとは、全く想像してなかったんだよね。
それとお母さんは知らなかったんだ。
私でもカヤがお父さんの元愛人だと知っている。
よく考えたら凄いよね。
自分の元愛人を娘のメイドにするなんて、普通なら絶対に選ばないよね?
お互いに割り切った関係なら?
いや………、それでも無理だな。
自分の妻にバレるかもしれないのに、元愛人を近くに置くなんてあり得ない。
お母さんとお父さんが付き合う前の話みたいだけど、それでも相手が知ったら良い気がしないのは、普通なら分かりそうなことだよね?
お父さんってスリルがあることが好きなの?
「あれはどうしたら良いのかな?近付いたら私達も怪我をするよね?」
特に私は危険だよね?
大人と比べたら体が小さいから、簡単に壁まで吹っ飛んでいくよね?
アクアが居るから怪我しても大丈夫かもしれないけど、怪我したら痛いことには変わりないよね?
「そうですね。止めようとして近付いたら、この方の二の舞でしょうね」
ですよね~
アクアに止めてもらう?
でもそんな事を精霊王に頼むのもな。
私に命の危険があるなら、率先して止めさせてくれるだろうけど、お母さんとカヤが傷付くだけだからね。
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