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第ニ章

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 不安になりながらメイドの様子を確認してると、ドンドンと傷が塞がっていき、頭から血を流してたのに血が止まり、血も綺麗に洗い流されている。

「アクア凄い!!アクアが側に居てくれたら、どんな怪我でも怖くないね」

「出来れば怪我をして欲しくないんですけど…………、どんな怪我でも治す自信はありますけど、シエル様が傷付いてる姿は見たくないですからね」

「は~~い」

 アクアって過保護なんだよね。

 赤ちゃんの頃からミリーと一緒に私のお世話をしてくれてたから、私を自分の子供のように思ってるみたいだけど、私の精神年齢は16歳だから違和感を感じる。

 実際に今の私は小さい子供だけど、心は当時のままだから複雑に感じてしまう。

 それにアクアは見た目は20代半ばくらいの見た目だから、そんな人に我が子みたいに世話をされるのは複雑。

 メイドの怪我が完全に治ったところで目を覚ましたけど、水に包まれてる状況に混乱して暴れ始める。

「治療してるだけだから暴れないで、息も出来るはずだよ」

 私は確認するようにアクアを見ると、アクアは無言で頷く。

 良かった~

 アクアならそれぐらいの配慮をすると思ってたけど、私以外にもちゃんと配慮するか不安だったんだよね。

 ミリーが相手なら絶対に配慮すると思うけど、今回の相手は私に良い感情がない人だからね。

 私の言葉にメイドの動きが止まる。

「完全に治りました。これでシエル様と会話しても問題ないでしょう」

「ありがとう」

 メイドが水の膜から解放されたのを確認して、メイドに向き直り話しかける。

「貴女はお母さんのところのメイドだよね?」

「はい。奥様付きのシシリーです。助けていただきありがとうございます」

「貴女に話を聞きたかったから、怪我を治しただけだよ。それでお母さんとカヤに何があったの?あの状況では本人達に確認するのは危険だから、貴女が教えてくれると助かる」

 お母さん達の方に顔を向けると、今も髪を引っ張り合って、顔にも引っ掻き傷が出来ている。

 女性の爪って武器になるんだよね。

「奥様がお出掛けから帰ってきた時に、留守番をしていたメイドから、奥様が居ない間にカヤ様が来て、旦那様に言い寄っていたと報告されたんです。その時にカヤ様が旦那様の元愛人の1人だったと知らされてこうなりました」

 あぁ~、本邸に行っていたのは想像してたけど、まさか言い寄っていたとは思わなかった。

 お母さん以外は全く相手にしてないって聞いてたから、絶対に断られるって分かってるのに、プライドの高いカヤが行動に移すとは、全く想像してなかったんだよね。

 それとお母さんは知らなかったんだ。

 私でもカヤがお父さんの元愛人だと知っている。

 よく考えたら凄いよね。

 自分の元愛人を娘のメイドにするなんて、普通なら絶対に選ばないよね?

 お互いに割り切った関係なら?

 いや………、それでも無理だな。

 自分の妻にバレるかもしれないのに、元愛人を近くに置くなんてあり得ない。

 お母さんとお父さんが付き合う前の話みたいだけど、それでも相手が知ったら良い気がしないのは、普通なら分かりそうなことだよね?

 お父さんってスリルがあることが好きなの?

「あれはどうしたら良いのかな?近付いたら私達も怪我をするよね?」

 特に私は危険だよね?

 大人と比べたら体が小さいから、簡単に壁まで吹っ飛んでいくよね?

 アクアが居るから怪我しても大丈夫かもしれないけど、怪我したら痛いことには変わりないよね?

「そうですね。止めようとして近付いたら、この方の二の舞でしょうね」

 ですよね~

 アクアに止めてもらう?

 でもそんな事を精霊王に頼むのもな。

 私に命の危険があるなら、率先して止めさせてくれるだろうけど、お母さんとカヤが傷付くだけだからね。

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