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第一章

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 止めて~~

 そんなにグルグル振り回されたら、目が回って気持ち悪くなる。

「姉さん!?落ち着いてください。このままでは彼女の体調が悪くなってしまうよ」

「あら?ごめんなさいね。こんなに私好みの子に出会うの久しぶりだから、思わず興奮してしまったわ」

 本心で反省してるみたいだから、今回は許してあげよう。

 また同じことをしたら絶対に許さないけど

「お姉さんは誰ですか?」

「私はカリストの姉のカルティエよ。普段は人間に関心がない弟にお気に入りが出来たって知って、様子を見に来たのよ。我が弟ながらセンスが良いわ」

「貴女も神様ってことですか?神様って1つの世界に複数人居るものなんですね」

 勝手な想像だけど、1つの世界に1人神様が居て、他は天使とかが居るだけだと思ってた。

「それは世界の規模によって変わってくるわね。貴女が元々居た地球では神は1人しかいないけど、この世界では複数人居るわよ。今はどれぐらい居たかしら?忘れちゃったけど、トップは弟のカリストなのよ」

 地球では1人だけなんだ。

 神話とかあるから沢山居るイメージがあるんだよね。

 ファンタジーとかでは1人しか居ないことが多いから、勝手にこの世界では1人しか居ないって思い込んでいた。

「弟の自慢をしたいのは理解しましたけど、今は時間がないから色々と説明してもらいたいです。時間が掛かりすぎるとミリーを不安させるから、何で私があの親じゃないといけなかったのか知りたいです」

「時間は気にしないで良いわよ。この空間で1時間はあちらでは1秒だから心配ないわ」

 それなら心配ないかも

 ここに来て多分まだ5分ぐらいしか経ってないよね。

 5分しか経ってないのに、とても濃い時間になってるけどね。

「ミリーが心配しないで済むなら良かった」

「君の関心はあの子にしかないんだね。君の乳母はとても人格者だから当たり前かな?それにあんな親が相手なら仕方ないか」

「そうですね。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんと伯父さん達は良い人達みたいだけど、まだよく知らない人だからね。それで何で私の親は今回もハズレなの?」

 私は今回の人生は幸せになるために転生したんじゃなかったの?

 魂の回復をしながら、この世界で暮らしていくって聞いてたのに、あの親が相手では、また傷付く未来しか想像できないんだけど?

「私が説明するわ。あの親じゃないと駄目だったのかって質問だけど、結果的にあの親じゃないと駄目だったのよ。愛し子になるだけなら、あの人達じゃなくても問題はないんだけどね」

 ???

 意味がわからない。

 愛し子になるだけならあの親じゃなくても良いってこと?

 私は普通の愛し子じゃないって事なの?

「ちゃんと説明してください。私は愛し子としか説明されてません。何であの親じゃないと駄目だったの?」

「貴女は愛し子って存在をどの程度把握してるかしら?」

「全然知りません。王族の中に愛し子が誕生するって聞いてはいますけど、愛し子がどんな役割で、普通の人とどう違うのか聞いてないです」

「うーん、そこから説明しないといけないのね。愛し子って言うのは言葉の通りで、神が愛する存在なのは理解してるわよね?」

「それは一応は理解してるつもりです。私はカリスト様のお気に入りなんですよね?」

 本人がそう言ってたから間違いはないはず。

 前世での私の生い立ちに同情してって気持ちが大半だろうけど、私を気に掛けてくれる存在が居るだけでありがたいよね。

「愛し子は神から加護を貰ったものをそう呼んでるわ。人間たちもそう認識してるわね」

「加護ですか?」

「神によって与えられる加護が変わってくるの。私なら美貌と魅了の加護を与えられるわ。カリストは健康と耐呪の加護なんだけど、カリストの加護はとても強いから、それに耐えられる器が必要なの」

「器って体のことですか?」

「そうよ。加護は神だけではなく、天使や精霊の加護を与えることが出来るわ。その2種の加護なら普通の人間でも耐えられるけど、神の加護は聖属性と神の血が流れてる体じゃないと耐えられないのよ」

 話を聞けば聞くほど現実味が離れていく。

 神様の加護とかも現実味がないのに、私が神様の子孫だなんて信じられない話だよね。

「それで私は何であの親じゃないといけないんですか?」

「それはカリストの力が強すぎるからよ。神には能力の強さによって地位が変わってくるわ。この世界のトップであるカリストの加護は、生半可な器では耐えられなくて壊れてしまうの。それに私も加護を与えたいし、これからもそんな人が増えるだろうから、最強の体を作る必要があったのよ」

 そんな凄い人から加護を貰ったり、複数人の神から加護を貰ったりして大丈夫なの?

 人外にはなりたくないんだけどな。
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