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第一章

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 私の激しい拒絶に周りはどうしたら良いのか分からず、困ってるのは理解はしてるけど、まだ死にたくない私は拒絶を止めない。

 私の拒絶を見た人達は私に同情してるけど、お父さんとお母さんは面倒臭そうに私を見ている。

 普通は親であるお前達が私を守るんだからね!!

 慰めもしないで、煩いって距離を置くなんてあり得ないんだから!!

「もう良いんじゃないですか?これは神の愛し子か確認する儀式なんでしょ?愛し子なんて滅多に現れないって言われてますよね?こんなに嫌がってるんだから、この子が愛し子なわけありませんよ。可哀想だから名前をさっさと決めて、残りの時間は皆でお茶をしましょうよ~」

 お母さんは交流を深めるいい機会だと、クリス伯父さんとリチャード伯父さんに猫なで声で提案をする。

 …………人妻が何をしてるの?

 リチャード伯父さんの奥さんとお祖母ちゃんの顔が怖いことになってる。

 こんな人が親なんて恥ずかしいけど、今回は泉に入れられないなら良いかな?

【駄目ですよ。その子は絶対に泉に入れなさい。幼子よ安心してください。貴女の安全を保証をします。幼子を抱いてる者よ、幼子をそっと泉に入れなさい】

 急に何処からか不思議な声が聞こえてビックリしてると、私とミリー以外は何故かひざまずいている。

 何が起きてるの?

 ミリーは恐る恐る泉に近付いていく。

 えっ!?

 やっぱり泉に入るの?

 泉に入れられた私の体は泉の底に向かって沈んでいく。

 一瞬パニックになるけど、普通に息が出来ることに気がつく。

 あれ?

 私の体は水に濡れてない?

 服も触ってみるけど、全く水は染み込んでなかった。

 泉の底に着くと、眩しい光に包まれて目が開けられなくなり、光がおさまり目を開けるとさっきとは違う空間に居て、目の前には私をこの世界に転生をさせてくれた神様が立っていた。

「久しぶりだね。小さい君も可愛くて良いね」

「お久しぶりです」

 この空間では普通に話すことが出来る。

 ここは何処でどうなってるのかな?

 この空間では何故か歩けることが本能的に分かったので、無言で神様の目の前まで歩いていくと、神様は何か勘違いしたみたいで、私に両手を開いてハグをする準備をしてるけど、私はそれを無視して思いっきり神様の向こう脛を蹴りつける。

 今の身体ではちょっと力が弱いけど、全くダメージがないわけではないみたいで、神様は足を抱えてしゃがみ込む。

「感動の再会なのに酷くないかい!?」

「再開した時に一番最初にこうするって決めてたの。理由は言わなくてもわかるよね?」

 これで分からないんて吐かしたら、もう一度同じ場所を蹴ってやる。

 私が本気で怒ってることが分かったのか、神様は一瞬で土下座の体勢になる。

 神様が一般人に土下座って良いのかな?

「ごめんなさい!!でもあれは仕方なかったんだ。君を愛し子として誕生させるには、神の血が流れてる王族と聖属性の人物の間に生まれないと、体が耐えられないんだよ。愛し子として生まれたのに幼少期の間に亡くなるなんて嫌だろ?」

 確かに転生したのにすぐに亡くなるのは嫌かも。

 でもあの親の元に生まれるのも複雑。

 今はミリーが居るから問題ないけど、もしもミリーが居なかったら、私ってネグレクトで亡くなってるんじゃないの?

「私はあの2人の子供じゃないと駄目だったの?聖属性がどれだけ貴重な存在か知らないけど、王族はそれなりに人数が居そうだよね?」

 私の質問に神様は目を逸らす。

 絶対に何か隠してるよね?

 神様をガン見して続きを急かすけど、神様は中々口を割らない。

「あらあら~、カリストがこんなに困ってるの初めて見るわね。仕方ないから私が直接教えてあげるわ」

 急に後ろから誰かに抱き上げられる。

 神様の他にも誰か居たの!?

「カルティエ姉さん何でここに居るんだよ」

「可愛い弟がちゃんと説明出来るか心配だったのよ。それに弟のお気に入りを直接見たかったの。この子が寝てる間に何度も見に来たことがあるけど………、やっぱり可愛すぎるわ!!」

 綺麗なお姉さんにぎゅ~~~っと抱きしめられる。

 えっ!?

 神様のお姉さん?

 てか……、何で抱きしめられてるの?

「困った顔も可愛いわ。私も絶対に加護をあげるわ。こんなに魂が綺麗なんだから、この子を気に入る神はこれからもっと増えるわよ」

 お姉さんはテンションが上がり、私を抱きしめたままぐるぐる回る。
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