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第一章
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しおりを挟む『お前は友梨奈に尽くしてればいい』
『女は2人も要らなかったのよね。男の子が欲しくてもう一人産んだのに、何で貴女だったのかしら。貴女なんかを産んだせいで、私はもう子供が作れなくなったのよ!!』
『零子は愛されなくて可哀想だよね~、零子の名前って要らない子って意味で付けられたのよ~。だから零子の零は0って意味のその漢字を使ってるんだよ~。知ってた?』
『お前は高校に行かせるつもりはない。これからは俺達に恩返しをしてもらうぞ』
『パパ~、零子は見た目は良いんだから、私達のために風俗で働いて貰おうよ~、見た目だけは大人っぽいんだから、18歳って言っても疑われないよ~』
『それは良いな!!友梨奈は頭が良いな~、傷が出来たら価値が下がってしまうから、これからは暴力は駄目だな』
『大金のためなら仕方ないわね。この子を甚振るだけがストレス発散だったんだけど』
全部思い出した。
私の人生って本当に不幸しかなかったんだ。
親から一切愛情が貰えずに、同じ親から生まれたのに、2歳上の姉が溺愛されてるのを見る日々だった。
このままあの家族に搾取される生活が嫌で、中学を卒業するのと同時にこの家から出て行こうとしてたけど、姉にそのことを気づかれてしまい、姉はそのことを親に知らせてしまう。
そのことに怒った父親から私は今まで以上の酷い暴力に遭い、そのまま亡くなってしまった。
本当に碌でもない人生だったんだ。
あれ?
……苦しい?
息が………
酸素が薄い!!
『おんぎゃあ!!おんぎゃあ~、んぎゃあ~』
やっと吸えた~
んぅ?
この泣き声は私?
そう言えば、記憶を解放するのは転生する直前だって言ってたような?
本当に転生しちゃったんだ。
あれから100年経ったの?
本当にあっという間だった………
うーん、ぼやけててあまり良く見えない。
『あぶぅ~』
うわぁ~、顔をごしごし拭かれてる。
痛いから!!
もっと優しく拭いてよ~
「聖女様、可愛い女の子ですよ。」
「はぁ~、女の子なの?私は男の子が良かったけど仕方ないよね~、もう2人も男の子が居るから良いか~」
聖女?
私の母親は聖女なの?
何か凄い人の娘として誕生したんだ。
歓迎されてるようには見えないけど大丈夫だよね?
また冷遇されたりするのは嫌!!
「抱っこされますか?」
「疲れてるからいいかな~。ジェイミーに抱っこさせてあげて、ジェイミーは初めての子供だからね~」
あれ?
さっき私には兄が2人居るような話をしてなかった?
多分だけどジェイミーって人は私の父親だよね?
私には兄が2人も居るはずなのに、父親は初めて自分の子供が誕生した?
再婚とか?
ならあり得るかな?
複雑な家系とか嫌なんだけど~
贅沢な暮らしをしたいとか言わないから、一般的な家庭に生まれたい。
孤独な人生は嫌なんだけど、家庭内がギスギスしてるのも嫌!!
複雑な気持ちで色々と考えてると、1人の男性が入ってくる。
うーん、この人が父親?
何だろう?
とても好きになれない。
父親なのに生理的に無理!!
見た目が悪いとか、不潔とかではないんだけど何か嫌なんだよね。
女性からは凄くモテるタイプだとは思うんだけど、私はこの人を生理的に受け付けない。
「ジェイミー殿下、可愛い姫が誕生されましたよ。抱っこしてあげてください」
私を抱っこしてる産婆(?)が男に私を渡そうとする。
『あぶぅ~~、んぎゃぁ~』
「姫様も父親であるジェイミー殿下に抱っこされたいみたいです」
勝手なことを言うな!!
私をこの男に渡すなよ!!
暴れて抵抗するけど、赤ん坊である私が大人に適うわけもなく、父親の腕に私は渡される。
「小さいな。はぁ~、レイラに似てないな。レイラに似ているのなら可愛がれる自信があったんだが」
母親に似てなくて悪かったわね!!
イラッとして、思わず男の顔を殴る。
「痛っ!?チッ、俺の顔を殴るなんて良い度胸だな」
男は腹が立ったみたいで、両手で抱いてたのに片手で私の首を持ち持ち上げる。
息が苦しい!?
「ジェイミー殿下!?産まれたての赤子をそんな持ち方をしてはいけません!!」
産婆は慌てて男から私を引き離す。
『ばぁ!!ケホッ!!ゲホッ』
「姫様!?」
咳き込む私に産婆は背中をさする。
信じられない!!
何でこんな男が私の父親なの!!
てか………、母親はこれを見ても何も言わないのはどうなの?
出産で疲れてるのかもしれないけど、母親なら夫の問題行動を怒りなさいよ。
怠い体にムチを打ち母親の方を見ると、呑気に寝ているのが見えた。
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