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誘惑1
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モデル美姫が行きたがる…大人限定のパーティと聞いていたから、どんな場所かと身構えていたが、落ち着いたラウンジだった。女性はアルコールが飲み放題で、佳織は甘いカクテルを注文した。
佳織は勿論初めてだったが、美姫は常連なのか知り合いらしい男女と会話を楽しんでいた。カクテルを片手に佳織は、その様子を眺めていた。
(はあー……何だ。美姫ちゃん、私が居なくても上手くやってるじゃない)
「ねえ、お姉さんって美姫の同伴なんだって?」
突然声を掛けられて、佳織は驚く。グラスを落としそうになった。
「あ、はい」
「へえ…あの美姫のね……」
男は上から佳織を舐めるように見ながら、佳織の腰に腕を回そうとしていた。しかし触れようとした、その時だった。
「ダメですよー」
「美姫!」
男は慌てて手を引いた。
「美姫ちゃん」
「佳織さんは私のなんだから。勝手に手を出さないで」
美姫が佳織の両肩に手を置く。
「ねえ、佳織さん。もっと楽しいこと、しましょう!」
「え……?」
ぐいっと腕を引っ張られて、建物の奥へ連れて行かれる。先程までいたラウンジとは、雰囲気が違って照明が暗かった。
「あ、あの、美姫ちゃん、この先に何があるの?」
「着いてからのお楽しみですよ」
美姫はにこっと笑いかける。
(嫌な予感がするのに、戻れない……)
もっと楽しいこと──それが何を意味するのか。
「あ、あのね、美姫ちゃ……」
「あの部屋です」
佳織の言葉を遮り、美姫が指差した先には、また別の部屋があった。部屋の扉は
佳織には重厚な扉に見えた。
あの扉は開けてはいけない──そう直感した。
「ここで、楽しいことしましょう」
美姫が佳織の耳元で甘く囁く。
「っ…」
冷や汗が背中を伝う。佳織は緊張しながら、美姫に促されるまま前へ進んだ。進みながら、異変に気づく。あの部屋から男女の声がする。それも普通の会話ではない。パンッ、パンッ、パンッ、と生々しくて、どこか懐かしい音も混じっている。
「はぁ…」
佳織は無意識に吐息を漏らしていた。
「うふふふ、楽しみですねー」
美姫は佳織を放さなかった。
扉に近づくにつれて、女の喘ぎ声が聞こえてくる。
(やっぱり、ここは──!)
美姫が部屋の扉を開けた。
室内は──佳織の予想通りだった。否、それ以上だった。
複数の男女がセックスをしている。それも激しく。この場にいる男女が腰を振っている。
「あんっ、イッちゃうぅ…!」
「突いてッ突いてッ」
「あーんっ」
「もっと激しくしてえ!!」
絶頂の中で、男のものが抜かれて、また別の男のものが挿入される。女は気持ち良さそうだった。
「こういうことをするパーティだったの!?」
困惑した佳織が美姫に詰め寄るが、彼女に悪びれる様子はない。
「表は、普通のラウンジですよ。異業種交流会的な?」
来るべきではなかった。そう思っても遅い。
「美姫ちゃん。私──」
「帰りませんよね」
「っ……」
トン、と佳織の背中を押して室内に入ると扉が閉まる。重たい音が胸の内に響いた。
「せっかくなんだから、楽しみましょう。ね、私の犬」
艶めかしい声が、佳織の鼓膜を震わせた。室内は甘い香りが充満している。
この場所でも美姫は常連だった。裸の男達が、室内が見渡せるソファ席に二人を案内した。
(何だろう、この部屋にいると落ち着かない。裸が普通なの?)
美姫は佳織を置いて、どこかに行ってしまったがすぐに戻って来た。
「っ、美姫ちゃん…」
佳織が驚くのも無理はなかった。美姫は着替えていたのだ。この部屋の正装だろうか、セクシーな黒のボンテージを着た美姫は、女王様のようだ。馬用鞭を手にしている。皆が美姫に釘付けだった。
「さ。犬、こっちにいらっしゃい」
馬用鞭で佳織の顎を掬う。
「は、ぁ…」
この異様な空気が佳織の思考を奪う。佳織はソファから立ち上がり、美姫の後ろをついて行く。そう、犬のように。
「ここで、服を脱いで」
ここ、と指示したのは黒いマットレスの上だった。佳織は黙ってマットレスに上がり、美姫の言われるままに着ている服を脱いでいく。
「いい子ね」
美姫の誘惑に負けた。
佳織は勿論初めてだったが、美姫は常連なのか知り合いらしい男女と会話を楽しんでいた。カクテルを片手に佳織は、その様子を眺めていた。
(はあー……何だ。美姫ちゃん、私が居なくても上手くやってるじゃない)
「ねえ、お姉さんって美姫の同伴なんだって?」
突然声を掛けられて、佳織は驚く。グラスを落としそうになった。
「あ、はい」
「へえ…あの美姫のね……」
男は上から佳織を舐めるように見ながら、佳織の腰に腕を回そうとしていた。しかし触れようとした、その時だった。
「ダメですよー」
「美姫!」
男は慌てて手を引いた。
「美姫ちゃん」
「佳織さんは私のなんだから。勝手に手を出さないで」
美姫が佳織の両肩に手を置く。
「ねえ、佳織さん。もっと楽しいこと、しましょう!」
「え……?」
ぐいっと腕を引っ張られて、建物の奥へ連れて行かれる。先程までいたラウンジとは、雰囲気が違って照明が暗かった。
「あ、あの、美姫ちゃん、この先に何があるの?」
「着いてからのお楽しみですよ」
美姫はにこっと笑いかける。
(嫌な予感がするのに、戻れない……)
もっと楽しいこと──それが何を意味するのか。
「あ、あのね、美姫ちゃ……」
「あの部屋です」
佳織の言葉を遮り、美姫が指差した先には、また別の部屋があった。部屋の扉は
佳織には重厚な扉に見えた。
あの扉は開けてはいけない──そう直感した。
「ここで、楽しいことしましょう」
美姫が佳織の耳元で甘く囁く。
「っ…」
冷や汗が背中を伝う。佳織は緊張しながら、美姫に促されるまま前へ進んだ。進みながら、異変に気づく。あの部屋から男女の声がする。それも普通の会話ではない。パンッ、パンッ、パンッ、と生々しくて、どこか懐かしい音も混じっている。
「はぁ…」
佳織は無意識に吐息を漏らしていた。
「うふふふ、楽しみですねー」
美姫は佳織を放さなかった。
扉に近づくにつれて、女の喘ぎ声が聞こえてくる。
(やっぱり、ここは──!)
美姫が部屋の扉を開けた。
室内は──佳織の予想通りだった。否、それ以上だった。
複数の男女がセックスをしている。それも激しく。この場にいる男女が腰を振っている。
「あんっ、イッちゃうぅ…!」
「突いてッ突いてッ」
「あーんっ」
「もっと激しくしてえ!!」
絶頂の中で、男のものが抜かれて、また別の男のものが挿入される。女は気持ち良さそうだった。
「こういうことをするパーティだったの!?」
困惑した佳織が美姫に詰め寄るが、彼女に悪びれる様子はない。
「表は、普通のラウンジですよ。異業種交流会的な?」
来るべきではなかった。そう思っても遅い。
「美姫ちゃん。私──」
「帰りませんよね」
「っ……」
トン、と佳織の背中を押して室内に入ると扉が閉まる。重たい音が胸の内に響いた。
「せっかくなんだから、楽しみましょう。ね、私の犬」
艶めかしい声が、佳織の鼓膜を震わせた。室内は甘い香りが充満している。
この場所でも美姫は常連だった。裸の男達が、室内が見渡せるソファ席に二人を案内した。
(何だろう、この部屋にいると落ち着かない。裸が普通なの?)
美姫は佳織を置いて、どこかに行ってしまったがすぐに戻って来た。
「っ、美姫ちゃん…」
佳織が驚くのも無理はなかった。美姫は着替えていたのだ。この部屋の正装だろうか、セクシーな黒のボンテージを着た美姫は、女王様のようだ。馬用鞭を手にしている。皆が美姫に釘付けだった。
「さ。犬、こっちにいらっしゃい」
馬用鞭で佳織の顎を掬う。
「は、ぁ…」
この異様な空気が佳織の思考を奪う。佳織はソファから立ち上がり、美姫の後ろをついて行く。そう、犬のように。
「ここで、服を脱いで」
ここ、と指示したのは黒いマットレスの上だった。佳織は黙ってマットレスに上がり、美姫の言われるままに着ている服を脱いでいく。
「いい子ね」
美姫の誘惑に負けた。
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