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決意
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私とルイの考えは同じであった。おじさんも私たちの意見に賛成してくれた。
本来ならば避けたいことであるがそれ以外の方法を見つけることができなかった。このままでは国の貧富の差は更に開き崩壊の道をたどる。本来は国王の魅了魔法が効いているところで国の立て直しを行えばよいのだがそれができたら今の状態にはなっているわけがない。
今の私とルイには政治へ介入する権利はない。権利がある者は皆、国王に魅了させている。
ルイが即位する頃にはこの国は……。
頭を振り、おじさんの言ったことを思い出す。今できる事を考えなくてはいけない。
おじさんの話によると国王の魅了魔法は国王自身がコントロールできるものではないらしい。それをとめるにはアンドレーがやろうとしていることと同じ方法をとるしかないのだ。
そしてアンドレー以外国王の魅了魔法に気ついてはいない。
国王とは接点があまりなかったが、以前応接室で話した時僕らの事を愛してくれているのは分かった。できれば、殺したくはない。
「国王の魔法能力をなくすことは……可能かな」
私の提案にルイは考え込んだが、おじさんは困った顔した。おじさんはこの世界の事を誰よりも知っている。だからそれが難しいことだとわかるのだろう。
「それが可能だとします。魅了されなくなった民を国王陛下はまとめられるでしょうか?」
おじさんの問いに私は答える事ができなかった。ここまで崩れかかっている国をあの国王陛下が立て直すことができるとは思えなかった。
「国王が変わった方がまとめやすいですよね。民も期待しますしね」
ルイは他人事のように話すが変わるのは他でもないルイだ。勿論私も全力で支えるが表舞台に立ち民の気持ちを受け止めるのは彼だ。
「ルイが覚悟するなら、私も一緒に背負うよ」
私の言葉にルイはニコリとほほ笑んで、二つの画像を指さした。一つはアーサーとアンドレーが戦っている映像だ。襲撃事件の時よりも激しい。お互い魔法を使っている。アーサーはあの氷の剣を使い、アンドレーは剣に魔力を込めているようだ。剣を媒体として魔法を使う方法をハリー・ナイトと戦う時に私もやった。剣の威力がものすごく上がる。
もう一つの映像には国王が映っていた。側にはクリスティーナ宰相と騎士がいる。
国王は椅子に座り組んだ手をテーブルの上に置いている。その斜め右にクリスティーナ宰相が座っている。騎士は国王の左右に一人ずついる。映像は国王の後ろから移しているため国王と騎士の表情は見えない。クリスティーナ宰相の横顔は見える。
「彼女に実行犯になってもらうと思う」
そういってルイがクリスティーナ宰相を指さした。
私は驚きのあまり「え」っと、大きな声が出てしまった。クリスティーナ宰相が国王を手にかける理由がわからなかった。
「オリビア嬢の従者ルークが訪問した時、オリビア嬢が彼に渡した手紙を覚えている?」
私はルイの言葉に頷いた。その手紙の事は是非とも聞きたいと持っていた。横でおじさんも頷いているところを見ると彼もルイがこれから話す内容を知らないようである。
ルイは私とおじさんの顔見て話し始めた。
「あれは映像魔法陣ですよ。クラーク家について知りたかったのです。結局ほとんどオリビア嬢に聞けたので映像魔法陣の意味はあまりありませんでした」
私もそうだが、ルイも私以外の人間に対しては敬語を使う。私たちの方が、身分が上のであるため敬語で話す義務はないのだが年上や見知らぬ人だとそういう言葉遣いになってしまう。
そんな事を考えていると、おじさんは「あー」と声を上げて自分の手のひらを逆の握った手で、ポンと叩いた。すごく昭和っぽい行動であった。おじさんはやっぱりおじさんだ。
「クラーク家では奴隷を使用人として使っているのですよ。これはこの世界の貴族としては普通ですが、クラーク家は奴隷を酷使しているのです。つまり虐待ですよね。しかし、イザベラ女王が立案した“奴隷保護法”により奴隷に危害を加えることができなくなっただけではなく捨てられなくなりました。だから、使い捨てできる闇市奴隷を元のオリビア嬢は探していたみたいですね」
おじさんの言っていることは理解できたが、それとクリスティーナ宰相が国王を手にかけることがどう関係があるのかわからなかった。
「クラーク家の本家であるクリスティーナの屋敷でも奴隷を使用人としています。そして、闇市奴隷も利用しています。彼女は闇市を通じてルキア帝国と接触するだけではなく我が国の情報も売っています。そうしなければ好みの奴隷は手に入りませんからね。闇市奴隷は相場よりも高いらしいです」
言葉を失った。城に内通者がいるというのは悲しい。ルイは事前に聞いていたようで特に驚くことなく頷いていた。
「彼女はルキア帝国での地位と奴隷をもらう事を引き換えに女帝レギーナに国王暗殺を命じられています。だだ、国王に魅了されてしまい一度も実行できたことはありません。漫画ではそのまま実行できずに終わります」
「暗殺って……」
「まぁ、もともとクリスティーナ宰相はイザベラ女王やフィリップ国王を嫌っています。彼らはバレス国王から奴隷制度をなくそうとしていますからね。奴隷大国としては問題ですよね。クリスティーナ宰相も奴隷制度廃止に反対していますが上層部は聞き入れなかったみたいですね」
おじさんは「漫画の話ですが」と付け加えて話を終了させた。
私はおじさんの聞いていて、クリスティーナ宰相の気持ちがわからなかった。そもそもこの国に貴族にとって奴隷価値や意味が理解できていない。私は生まれてから一度も奴隷と関わったことがない。それは城には奴隷がいないのからだ。多分奴隷制度をうたったら時から使わなくなったのだ。
だから、私の生活は奴隷がいなくても変わらない。
「じゃ、クリスティーナ宰相の魅了を解いてみますかね」
まるでお使いに行くような軽いノリでルイが話す。
私の心臓が早く動いた。私たちの行動で必要とは言え、親を殺すのだ。平然としているルイの方がおかしいと思う。
「待って。え? そんないきなり?」
「心配しなくても恐らく彼女はいきなり国王陛下を襲うことはないですよ。僕がただ正気に戻すだけだよ」
その正気が今やばいって話してなかった?
ルイは私に“大丈夫”というように手をふってきたが私は不安だった。
ルイは国王とクリスティーナ宰相がうつる紙を自分の前に持ってきた。
それから、ポケットから焼き菓子を出して口に含むと胸に手をあて、反対の手の平を映像の中のクリスティーナ宰相向けた。しばらくしてルイは映像から手を離したがクリスティーナ宰相が一瞬ビクリと身体を動かした様に思ったがその他変わった様子はない。
ルイに声を掛けよと思い彼の方を見ると真剣な表情でその映像を見ているためやめた。
その時……。
「殿下」
おじさんが大声をあげた。私とルイは慌てて、おじさんが指さす映像をみた。
本来ならば避けたいことであるがそれ以外の方法を見つけることができなかった。このままでは国の貧富の差は更に開き崩壊の道をたどる。本来は国王の魅了魔法が効いているところで国の立て直しを行えばよいのだがそれができたら今の状態にはなっているわけがない。
今の私とルイには政治へ介入する権利はない。権利がある者は皆、国王に魅了させている。
ルイが即位する頃にはこの国は……。
頭を振り、おじさんの言ったことを思い出す。今できる事を考えなくてはいけない。
おじさんの話によると国王の魅了魔法は国王自身がコントロールできるものではないらしい。それをとめるにはアンドレーがやろうとしていることと同じ方法をとるしかないのだ。
そしてアンドレー以外国王の魅了魔法に気ついてはいない。
国王とは接点があまりなかったが、以前応接室で話した時僕らの事を愛してくれているのは分かった。できれば、殺したくはない。
「国王の魔法能力をなくすことは……可能かな」
私の提案にルイは考え込んだが、おじさんは困った顔した。おじさんはこの世界の事を誰よりも知っている。だからそれが難しいことだとわかるのだろう。
「それが可能だとします。魅了されなくなった民を国王陛下はまとめられるでしょうか?」
おじさんの問いに私は答える事ができなかった。ここまで崩れかかっている国をあの国王陛下が立て直すことができるとは思えなかった。
「国王が変わった方がまとめやすいですよね。民も期待しますしね」
ルイは他人事のように話すが変わるのは他でもないルイだ。勿論私も全力で支えるが表舞台に立ち民の気持ちを受け止めるのは彼だ。
「ルイが覚悟するなら、私も一緒に背負うよ」
私の言葉にルイはニコリとほほ笑んで、二つの画像を指さした。一つはアーサーとアンドレーが戦っている映像だ。襲撃事件の時よりも激しい。お互い魔法を使っている。アーサーはあの氷の剣を使い、アンドレーは剣に魔力を込めているようだ。剣を媒体として魔法を使う方法をハリー・ナイトと戦う時に私もやった。剣の威力がものすごく上がる。
もう一つの映像には国王が映っていた。側にはクリスティーナ宰相と騎士がいる。
国王は椅子に座り組んだ手をテーブルの上に置いている。その斜め右にクリスティーナ宰相が座っている。騎士は国王の左右に一人ずついる。映像は国王の後ろから移しているため国王と騎士の表情は見えない。クリスティーナ宰相の横顔は見える。
「彼女に実行犯になってもらうと思う」
そういってルイがクリスティーナ宰相を指さした。
私は驚きのあまり「え」っと、大きな声が出てしまった。クリスティーナ宰相が国王を手にかける理由がわからなかった。
「オリビア嬢の従者ルークが訪問した時、オリビア嬢が彼に渡した手紙を覚えている?」
私はルイの言葉に頷いた。その手紙の事は是非とも聞きたいと持っていた。横でおじさんも頷いているところを見ると彼もルイがこれから話す内容を知らないようである。
ルイは私とおじさんの顔見て話し始めた。
「あれは映像魔法陣ですよ。クラーク家について知りたかったのです。結局ほとんどオリビア嬢に聞けたので映像魔法陣の意味はあまりありませんでした」
私もそうだが、ルイも私以外の人間に対しては敬語を使う。私たちの方が、身分が上のであるため敬語で話す義務はないのだが年上や見知らぬ人だとそういう言葉遣いになってしまう。
そんな事を考えていると、おじさんは「あー」と声を上げて自分の手のひらを逆の握った手で、ポンと叩いた。すごく昭和っぽい行動であった。おじさんはやっぱりおじさんだ。
「クラーク家では奴隷を使用人として使っているのですよ。これはこの世界の貴族としては普通ですが、クラーク家は奴隷を酷使しているのです。つまり虐待ですよね。しかし、イザベラ女王が立案した“奴隷保護法”により奴隷に危害を加えることができなくなっただけではなく捨てられなくなりました。だから、使い捨てできる闇市奴隷を元のオリビア嬢は探していたみたいですね」
おじさんの言っていることは理解できたが、それとクリスティーナ宰相が国王を手にかけることがどう関係があるのかわからなかった。
「クラーク家の本家であるクリスティーナの屋敷でも奴隷を使用人としています。そして、闇市奴隷も利用しています。彼女は闇市を通じてルキア帝国と接触するだけではなく我が国の情報も売っています。そうしなければ好みの奴隷は手に入りませんからね。闇市奴隷は相場よりも高いらしいです」
言葉を失った。城に内通者がいるというのは悲しい。ルイは事前に聞いていたようで特に驚くことなく頷いていた。
「彼女はルキア帝国での地位と奴隷をもらう事を引き換えに女帝レギーナに国王暗殺を命じられています。だだ、国王に魅了されてしまい一度も実行できたことはありません。漫画ではそのまま実行できずに終わります」
「暗殺って……」
「まぁ、もともとクリスティーナ宰相はイザベラ女王やフィリップ国王を嫌っています。彼らはバレス国王から奴隷制度をなくそうとしていますからね。奴隷大国としては問題ですよね。クリスティーナ宰相も奴隷制度廃止に反対していますが上層部は聞き入れなかったみたいですね」
おじさんは「漫画の話ですが」と付け加えて話を終了させた。
私はおじさんの聞いていて、クリスティーナ宰相の気持ちがわからなかった。そもそもこの国に貴族にとって奴隷価値や意味が理解できていない。私は生まれてから一度も奴隷と関わったことがない。それは城には奴隷がいないのからだ。多分奴隷制度をうたったら時から使わなくなったのだ。
だから、私の生活は奴隷がいなくても変わらない。
「じゃ、クリスティーナ宰相の魅了を解いてみますかね」
まるでお使いに行くような軽いノリでルイが話す。
私の心臓が早く動いた。私たちの行動で必要とは言え、親を殺すのだ。平然としているルイの方がおかしいと思う。
「待って。え? そんないきなり?」
「心配しなくても恐らく彼女はいきなり国王陛下を襲うことはないですよ。僕がただ正気に戻すだけだよ」
その正気が今やばいって話してなかった?
ルイは私に“大丈夫”というように手をふってきたが私は不安だった。
ルイは国王とクリスティーナ宰相がうつる紙を自分の前に持ってきた。
それから、ポケットから焼き菓子を出して口に含むと胸に手をあて、反対の手の平を映像の中のクリスティーナ宰相向けた。しばらくしてルイは映像から手を離したがクリスティーナ宰相が一瞬ビクリと身体を動かした様に思ったがその他変わった様子はない。
ルイに声を掛けよと思い彼の方を見ると真剣な表情でその映像を見ているためやめた。
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「殿下」
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