上 下
96 / 146

予定

しおりを挟む
 気が付くと私はベッの上にいた。窓の外は朝日が丁度昇り始め、灯を使うことなく部屋の中を確認することができた。私の寝ているベッドに頭だけをつけてルイが寝ていた。

「そうだ、魔法陣を発動したから限界がきて眠くなってしまったのだ」

 昨夜のことは思い出したが頭がうまく回らない。
 あの時発作がでそうになり、魔法陣を発動したら止まった。なぜあの魔法陣で発作が出なくなったのかよく分からない。

「う……ルカ」

 ルイは目が覚めたようで身体をゆっくりと起こした。私の顔を見ると安心したように笑顔をみせてくれた。おそらく外務室からここまでルイが運んでくれたのであろう。いくらこの身体が軽いとはいえ、申し訳なく思う。

「あ、昨日の話聞きたいよね。体大丈夫なら叔父の私室へいくよ」

 明るく話すルイに頷くとなんとなく自分の匂いを嗅いだ。オリビア嬢に中にいるおじさんがお風呂を請求していたのを思い出したのだ。確かに汗臭かった。服は寝巻になっており清潔なものであるが私自身が汗臭い。今まで気にしなかったが言われると気になるものだ。叔父に会う前に水浴びいこうとルイを誘うと二つに返事を返してくれた。

 水浴びの前にいつも演習場で手合わせをした。ルイとはほぼ互角である。これだとお互いに強くなっているのが変わらないのかよく分からない。早く護衛騎士のマリア隊長と手合わせがしたいと思った。
しかし、これからハリー・ナイトに調査や裁判があるためそれがいつ実現するか分からない。残念でならない。

「……」

 考え事をしながら池の周りを歩いていたため滑り池の中へ飛び込んでしまった。そして運悪く、股間を石にぶつけてしまったのだ。水浴びのため全裸になっていたため直接当たってしまった。本当に声がでない。

「ルカ」

 同じく裸のルイが心配してくれるが返事をする余裕ない。私は生涯こんなものは使わないのだから弱点にしかならないと本気で思った。

 しばらくモノをおさえながら悶えていると痛みがひいてきたため心が落ち着てきた。自分のモノを見ると少し赤くなっているように見える。それを見ながら、ふとおじさん令嬢のことを思い出した。あの人はお風呂に入りたがっていたが女の子の身体で大丈夫なのか心配になった。オリビア嬢は私と同い年のため多分凹凸のない身体だと思うがそれに興奮したらと心配になる。

「ルカ、大丈夫」

 服を着たルイが心配そうにタオルを差し出しながら再度声をかけてくれた。そのタオルを受け取りながら起き上ると濡れた体をふいた。そして股間を覆うように腰にまいた。
 男は布を腰にまくだけで事が足りるから楽でいいと思った。裸になっても女だったころの様に文句を言われないのは本当に清々しい。

「ごめん。大丈夫、ちょっとオリビア嬢のこと考えていてさ」

「オリビア嬢……。あ、従者ルーク訪問の件だね」

「あっ」

 思わず大きな声がでてしまった。その声にルイはビクリと動かし大きな目で私の方をみた。それから何かを思ったように目を細めた。

 いろいろな事がありすぎでルーク訪問の件をすっかり忘れていた。メールではなく手紙を書き使者を送らなくてはならないため届くまでの時間がかかる。来週はハリー・ナイトの裁判だというし、彼を招いている時間はないように思う。

「やっぱり忘れていたね。オリビアの従者は今日の午後くるよ。そして明日はグレース殿下のもとへ行くから」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

異世界隠密冒険記

リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。 人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。 ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。 黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。 その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。 冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。 現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。 改稿を始めました。 以前より読みやすくなっているはずです。 第一部完結しました。第二部完結しました。

異世界召喚された回復術士のおっさんは勇者パーティから追い出されたので子どもの姿で旅をするそうです

かものはし
ファンタジー
この力は危険だからあまり使わないようにしよう――。 そんな風に考えていたら役立たずのポンコツ扱いされて勇者パーティから追い出された保井武・32歳。 とりあえず腹が減ったので近くの町にいくことにしたがあの勇者パーティにいた自分の顔は割れてたりする? パーティから追い出されたなんて噂されると恥ずかしいし……。そうだ別人になろう。 そんなこんなで始まるキュートな少年の姿をしたおっさんの冒険譚。 目指すは復讐? スローライフ? ……それは誰にも分かりません。 とにかく書きたいことを思いつきで進めるちょっとえっちな珍道中、はじめました。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...