【完結】腐女子が王子～独身中年女性が異世界王子に転生、ヲタクの知識と魔法と剣術で推しメンの危機を守ります～

不安なルイ

　それから、ルカを見るとモヤモヤ気持ちになった。
　
　あの日アーサーとルカが何をしていたかに気になって仕方なかった。だからといってルカに真相を聞く事はできなかった。“あの時いた”と言えばすむ話であるが、何をしていたか聞くのが怖くもあったのだ。
　モヤモヤは晴れないが唯一ルカと二人で過ごせる朝の時間は無駄にはしたくなかったため朝の手合わせや食事は一緒に過ごし、なるべくいつも通りにルカと接した。

　モヤモヤもすぐに晴れると思っていた。

　しかし、いくら時間がたってもモヤモヤは僕から離れていかない。

　時間が許すがぎり図書室の出入り口を見ていた。
　僕とルカの関わりは朝の手合わせと食事だけであるのに対してアーサーはルカのいる図書室に入っていく。図書室の出入りを確認できたのは自分が空いている時間のみであったため実際はもっと頻繁に会っているのかも知れない。

　そう思うと更にモヤモヤが強くなった。

　胸がギュッと締め付けられる。

　それから半年たったある日、ルカが夕食に現れなかった。朝は手合わせしたし朝食もいた。しかし、今はいない。ルカがいない事に対して、国王も王妃も何も言わずいつも通りである。が、周囲の者は落ち着かない様子であった。
　ルカの専属侍女サラに至っては扉をじっと見ている。おそらくルカを心配しているのであろう。

　気持ちがワサワサして落ち着かない食事あった。

　食事終了後、サラがルカの元へいこうとしていたので僕が代わることにした。
　今まで関わりが少ないのが不満であった。しかし、それは僕の一方的な我が儘だと我慢したが夕食に出席しないのは違う。それを理由に色々文句言おうと思った。

　図書室につくと、扉には誰もいない。本来は王族が部屋にいるときは衛兵がたっている。そのため所在が分かるのだがルカは自由すぎる。もし、図書室にいなければサラに石を借りてきて探さなくてはならない。それには石版のところへ行かなくてはならないし地図も確認する必要があり手間である。

　魔法陣は便利そうだけど、使い勝手が悪い。

　常にルカの居場所が分かればいいのにと思う。更に、そこで何をやっているか知ることができれば最高である。

　図書室の扉を見るとアーサーが出てきた事を思い出す。
　そういえば、あの時も衛兵はいなかった。どうやってアーサーはルカが図書室にいることが分かったのだろうか。

　偶然？

　ノックをして声を掛けながら図書室に入ると、突然違和感を感じた。
　
　なんだか、頭が重い。
　
　恐る恐る、頭に触れるとそこには何かついていた。思考が追いつかずに戸惑っているとルカが近づいてきた。

　そしてすぐ頭の方で痛みを感じた。どうやら、ルカが頭に着いてる物を引っ張ったようである。笑いながら、謝罪するルカに説明を求めた。

 「ウサギの耳」

 と返答が返ってきたので思わず大きな声を出してしまった。

　そうじゃない。
　そうじゃない。
　そうじゃない。

　僕の気持ちを理解せずにヘラヘラ笑うルカ腹がたった。だから、たくさんの言葉を浴びせてしまった。暴言を吐いたわけではないが今までの気持ちをルカの反応無視して大きな声で伝えたのだ。
　ルカが困った顔しているのがわかったけれども止まらなかった。
　
　言い終わるとゼィゼィと息がきれる。
　
　それでも更に言葉を続ける僕を否定する事なく聞いてくれた。

　伝えた終わった時、

　「不安にさせたならごめん。」

　ルカが僕を抱きしめた。更に謝罪する。
　
　突然の事で言葉を失った。ルカに触れられたところからあつくなっていく。

　抱きしられると、僕の高まる気持ちは自然と落ち着いた。ルカの肩に頭をつけるとなぜてくれる。

　それがとても心地よい。

　取り乱してしまった自分を恥じるて謝罪するとルカは優しい笑顔で受け入れてくれ僕の質問に答えてくれると言った。