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悠は怒っているのだろう。
恵の件は配慮欠けた発言であった。恋人ができたのだから、他者との関係を見直さなければならない。
悠を不安にさせたくはなかった。だから、そこ書類を揃えた。
「ゆうちゃん」正樹はその場に正座して、背筋を伸ばした。「ごめん。さっきの発言は無神経だった。恋人が他者と一緒に寝ていたら嫌だよな」
ローテーブルの上に持ってきた書類を広げた。それを見て一香に楽しそうに笑っている。
「ここの契約書」
悠は書類を見た。
「もし、ゆうちゃんがよけば一緒に住もう。多分今住んでいる所より安くなると思うけど。学校から遠くなるんだ」
可愛い恋人の反応を見ながら、説明をした。
興味を持ってくれた様で、ようで安心した。
悠は思った事の半分も言葉にしてくれない。だから、悠自身の表情や仕草から予想する。彼女の家に入れたのは良かった。家具の位置や使用しているものから悠の価値観が分かる。
「……一緒に住むの?」
「嫌?」先走りすぎたかと焦った。
「いいよ」と言って悠は笑った。
「不安にさせてごめんな」抱きしめ悠のサラサラで長く綺麗な髪を撫ぜた。「俺はゆうちゃんだけだから」
悠が小さく頷くと、安心した。
「部屋、見に行こうか。すぐに入居して良いって言われているから」
手を差し出すと悠は微笑み立ち上がった。
「あ、コレ」一香がローテーブルにあった箱を渡してきた。
正樹は目を細めて箱を受け取ると包みを開けて悠に見せた。悠は用途が分からない様で首を傾げた。
「これは貞操帯。勃起や射精を制限する物。悠は俺にこれをつけたい?」
悠は真っ赤な顔して首を振った。悠の態度に正樹は安心したが、一香はつまらなそうな顔をした。
「今からお揃いの指輪を買いに行こう。こんなのよりずっといいよ」
正樹に言葉に悠はぱっと表情を明るくした。
悠は一香の方を見た。
「色々ありがとう。感謝してる」
「いいよ。友だちだしね」
一香が頷くと、悠も大きく頷いて笑った。
「正樹君は良い友だちがいるね」
悠の言葉を聞いて一香は不機嫌な顔をした。
「正樹だけじゃなくて、あたしはあなたとも友だちのつもりだけど。違うの?」
「え、いや、そんな事は……」
悠は慌てて首を振った。
椎名虎司以外に友人関係を持った事がない悠は戸惑っているようだった。彼と違い、一香も恵も悠を自分の利益のために利用する人間ではない。
「あたしも恵もあなたの事友だちだと思っているわよ。じゃなきゃ、恵があの金額で物件紹介するわけないじゃない」
「あ……、それは。あの、安くしてもらっているなら、私は別に。あの正規の家賃でも」
悠は一香の圧に押されて弱弱しい声で言った。
「冗談よ」一香はケラケラと笑った。「ここは学生向けだから安く設定してるわ」
「……」
悠は眉を極限まで下げた。困っている悠も最高に可愛かったが「あんまり、いじめんな」と助け船を出した。
「仲良くしただけよ」
「……はい」
困った顔をする悠に「まともに相手しなくていいよ」と言うと大きく首を振った。
「そんな。助けてもらったし……。それに」悠は恥ずかしそうに小さな声で「友だちだから」と言った。
それに一香は嬉しそうに「だよね」と言うのでこれ以上彼女らに口をはさむのをやめた。
恵の件は配慮欠けた発言であった。恋人ができたのだから、他者との関係を見直さなければならない。
悠を不安にさせたくはなかった。だから、そこ書類を揃えた。
「ゆうちゃん」正樹はその場に正座して、背筋を伸ばした。「ごめん。さっきの発言は無神経だった。恋人が他者と一緒に寝ていたら嫌だよな」
ローテーブルの上に持ってきた書類を広げた。それを見て一香に楽しそうに笑っている。
「ここの契約書」
悠は書類を見た。
「もし、ゆうちゃんがよけば一緒に住もう。多分今住んでいる所より安くなると思うけど。学校から遠くなるんだ」
可愛い恋人の反応を見ながら、説明をした。
興味を持ってくれた様で、ようで安心した。
悠は思った事の半分も言葉にしてくれない。だから、悠自身の表情や仕草から予想する。彼女の家に入れたのは良かった。家具の位置や使用しているものから悠の価値観が分かる。
「……一緒に住むの?」
「嫌?」先走りすぎたかと焦った。
「いいよ」と言って悠は笑った。
「不安にさせてごめんな」抱きしめ悠のサラサラで長く綺麗な髪を撫ぜた。「俺はゆうちゃんだけだから」
悠が小さく頷くと、安心した。
「部屋、見に行こうか。すぐに入居して良いって言われているから」
手を差し出すと悠は微笑み立ち上がった。
「あ、コレ」一香がローテーブルにあった箱を渡してきた。
正樹は目を細めて箱を受け取ると包みを開けて悠に見せた。悠は用途が分からない様で首を傾げた。
「これは貞操帯。勃起や射精を制限する物。悠は俺にこれをつけたい?」
悠は真っ赤な顔して首を振った。悠の態度に正樹は安心したが、一香はつまらなそうな顔をした。
「今からお揃いの指輪を買いに行こう。こんなのよりずっといいよ」
正樹に言葉に悠はぱっと表情を明るくした。
悠は一香の方を見た。
「色々ありがとう。感謝してる」
「いいよ。友だちだしね」
一香が頷くと、悠も大きく頷いて笑った。
「正樹君は良い友だちがいるね」
悠の言葉を聞いて一香は不機嫌な顔をした。
「正樹だけじゃなくて、あたしはあなたとも友だちのつもりだけど。違うの?」
「え、いや、そんな事は……」
悠は慌てて首を振った。
椎名虎司以外に友人関係を持った事がない悠は戸惑っているようだった。彼と違い、一香も恵も悠を自分の利益のために利用する人間ではない。
「あたしも恵もあなたの事友だちだと思っているわよ。じゃなきゃ、恵があの金額で物件紹介するわけないじゃない」
「あ……、それは。あの、安くしてもらっているなら、私は別に。あの正規の家賃でも」
悠は一香の圧に押されて弱弱しい声で言った。
「冗談よ」一香はケラケラと笑った。「ここは学生向けだから安く設定してるわ」
「……」
悠は眉を極限まで下げた。困っている悠も最高に可愛かったが「あんまり、いじめんな」と助け船を出した。
「仲良くしただけよ」
「……はい」
困った顔をする悠に「まともに相手しなくていいよ」と言うと大きく首を振った。
「そんな。助けてもらったし……。それに」悠は恥ずかしそうに小さな声で「友だちだから」と言った。
それに一香は嬉しそうに「だよね」と言うのでこれ以上彼女らに口をはさむのをやめた。
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