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第五話 新宮ひな子③
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「星」
いつもの様に、星と下校しようとすると、彼は女子に囲まれていた。よくある事だが、彼が嫌がらずにその中心にいることが珍しかった。
「新宮」
星は振り返る満面の笑みを見せた。そして、女子に「新宮が来たから」と言い立ち上がろうとすると横にいた女子に止められたいた。
「新宮さんと付き合っていないんだよね? なんでいつも一緒に帰るの?」不満そうに言った。
「好きだから」
星がキッパリと言った。その言葉に女子は目を細めてひな子の方を見た。視線が痛いがいつもの事だ。
「えぇ、どこが? 新宮さんっていつも授業中寝てるし宿題しないし」
「うんうん、まぁ足は速いし運動できるし顔も可愛いけど……。ねぇ」
そう言いながら、女子の一人がネットリとした嫌な目でひな子を見た。
「うぜぇ」と言ってひな子が睨みつけると女子全員がビクっと身体を動かして顔を青くした。
「顔」星は下を向く女子に微笑んだ。「俺、面食いだから」
星が立ち上がると女子はもう何も言わなくなった。こんなやり取りは今日が初めてではないが放課後は珍しい。
ひな子が長く一つに束ねた髪を無造作にかき揚げなら彼女たち笑いかけると、引きつった笑顔を返してくれた。
「珍しいじゃん。教室に残っているんなんて」
すると、彼は「う~」と歯切れが悪い返事をした。
言いたいことをはっきりと言う彼したては珍しい。
「なんて、言うかぁ」頬をかきながら、廊下にでると窓から校庭を見た。ひな子も一緒に校庭に目をやった。そこでは数名の子が走り回っていた。
いつもは周りに目もくれずに真っ先に帰宅する彼であるため今日の態度に疑問を感じた。
「なんなの?」ひな子は首を傾げた。「煮えきらない態度、放課後女子に囲まれている。珍しいことだらけなんだけど」
「いや、あのさ」
星が何かを言いかけた時、「ひな子」と明るい声が聞こえた。振り返ると数名のクラスメイトがいた。
「珍しいじゃん。いつもさっさと帰るのに」
男子の一人が言うと、ひな子は「横山、まぁそうだね」と答えながら横目で星を見た。彼は何も言わずにひな子のクラスメイトを見ている。
「まぁ、そんな時もあるよな。俺らこれから校庭でサッカーやるけどやるか?」
「私はいいけど星は?」
ひな子が星の方を見ると彼はニヤリと笑った。
「いいな。それ」
頷く星に横山は驚いた。
「本当に?」
後ろの方にいた女子たちも驚きの声を上げた。
「ああ」と答える星の楽しそうな笑顔にひな子は安心したのも束の間、彼の次の言葉にひな子は耳を疑った。「俺と新宮のチームでいいぜ」
得意気に笑う星に横山は目を大きくした。
「俺ら、四人だぜ」
「そうだよ。3人ずつでいいよ」
彼らの言葉に星は首を振った。星は一度決めたら絶対に意見を変える事はない。
「だって、一人キーパーだから攻撃は一人だよ。三対三にしようよ」と横山の隣にいた男子が答えた。
「そうだ。真田の言う通りだ」
横山がうなずいたが「ちげーよ」と星は彼の言葉を即座に否定した。「攻撃は二人だ。守りなんていらねぇ」
「マジか」
そう言ったのは星以外の全員だ。ひな子も気持ちはクラスメイトと同じだ。だが、彼のキラキラとした目を見るとそれでもいいかと思った。
さっきまでの落ち込んいる星よりずっと彼らしい。
「そんな大きなこと言って負けたらハズイよ」
楽しくなってきたひな子はニヤリと笑い忠告すると星は「ありえない」とはっきりと言った。
やる気満々の二人を見て男子二人は顔を見合わせて笑い「面白れぇ」と言ってやる気になった。後ろにいた女子二人は仕方ないと様な顔をしながらも校庭に向かった。
いつもの様に、星と下校しようとすると、彼は女子に囲まれていた。よくある事だが、彼が嫌がらずにその中心にいることが珍しかった。
「新宮」
星は振り返る満面の笑みを見せた。そして、女子に「新宮が来たから」と言い立ち上がろうとすると横にいた女子に止められたいた。
「新宮さんと付き合っていないんだよね? なんでいつも一緒に帰るの?」不満そうに言った。
「好きだから」
星がキッパリと言った。その言葉に女子は目を細めてひな子の方を見た。視線が痛いがいつもの事だ。
「えぇ、どこが? 新宮さんっていつも授業中寝てるし宿題しないし」
「うんうん、まぁ足は速いし運動できるし顔も可愛いけど……。ねぇ」
そう言いながら、女子の一人がネットリとした嫌な目でひな子を見た。
「うぜぇ」と言ってひな子が睨みつけると女子全員がビクっと身体を動かして顔を青くした。
「顔」星は下を向く女子に微笑んだ。「俺、面食いだから」
星が立ち上がると女子はもう何も言わなくなった。こんなやり取りは今日が初めてではないが放課後は珍しい。
ひな子が長く一つに束ねた髪を無造作にかき揚げなら彼女たち笑いかけると、引きつった笑顔を返してくれた。
「珍しいじゃん。教室に残っているんなんて」
すると、彼は「う~」と歯切れが悪い返事をした。
言いたいことをはっきりと言う彼したては珍しい。
「なんて、言うかぁ」頬をかきながら、廊下にでると窓から校庭を見た。ひな子も一緒に校庭に目をやった。そこでは数名の子が走り回っていた。
いつもは周りに目もくれずに真っ先に帰宅する彼であるため今日の態度に疑問を感じた。
「なんなの?」ひな子は首を傾げた。「煮えきらない態度、放課後女子に囲まれている。珍しいことだらけなんだけど」
「いや、あのさ」
星が何かを言いかけた時、「ひな子」と明るい声が聞こえた。振り返ると数名のクラスメイトがいた。
「珍しいじゃん。いつもさっさと帰るのに」
男子の一人が言うと、ひな子は「横山、まぁそうだね」と答えながら横目で星を見た。彼は何も言わずにひな子のクラスメイトを見ている。
「まぁ、そんな時もあるよな。俺らこれから校庭でサッカーやるけどやるか?」
「私はいいけど星は?」
ひな子が星の方を見ると彼はニヤリと笑った。
「いいな。それ」
頷く星に横山は驚いた。
「本当に?」
後ろの方にいた女子たちも驚きの声を上げた。
「ああ」と答える星の楽しそうな笑顔にひな子は安心したのも束の間、彼の次の言葉にひな子は耳を疑った。「俺と新宮のチームでいいぜ」
得意気に笑う星に横山は目を大きくした。
「俺ら、四人だぜ」
「そうだよ。3人ずつでいいよ」
彼らの言葉に星は首を振った。星は一度決めたら絶対に意見を変える事はない。
「だって、一人キーパーだから攻撃は一人だよ。三対三にしようよ」と横山の隣にいた男子が答えた。
「そうだ。真田の言う通りだ」
横山がうなずいたが「ちげーよ」と星は彼の言葉を即座に否定した。「攻撃は二人だ。守りなんていらねぇ」
「マジか」
そう言ったのは星以外の全員だ。ひな子も気持ちはクラスメイトと同じだ。だが、彼のキラキラとした目を見るとそれでもいいかと思った。
さっきまでの落ち込んいる星よりずっと彼らしい。
「そんな大きなこと言って負けたらハズイよ」
楽しくなってきたひな子はニヤリと笑い忠告すると星は「ありえない」とはっきりと言った。
やる気満々の二人を見て男子二人は顔を見合わせて笑い「面白れぇ」と言ってやる気になった。後ろにいた女子二人は仕方ないと様な顔をしながらも校庭に向かった。
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