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96限目 怒り
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レイラは自室の戻るとすぐに着替えて鞄をおくとリョウの部屋へ向かった。彼の部屋前に着くと、戸を叩こうすると、叩く前に扉が開き、リョウが現れた。
「どうぞ」
リョウは“待っていた”と言わんばかりの顔をしてレイラを部屋に招きいれた。レイラはリョウに挨拶すると部屋にはいり、扉に一番近い椅子に座った。
「今日はありがとうございました」
リョウが自分の目の前に座ると、真っ先に礼を言った。彼はそれが嬉しかった様でニコニコとしている。
「亜理紗様の勉強くらい構いませんよ。なんだか彼女、素直ですしね。以前とは別人ですね」
「アレが素みたいですよ。これからも、亜理紗の事はお願いしてもいいですか。私(わたくし)しばらく彩花さんと一緒にいようと思いますわ」
「構いませんよ。それと、あの件……」
リョウは眉を下げてレイラを見た。
「会長就任を反対していたことですか?」
「ええ。桜花会はもちろん生徒会や特待は頭がいいから曲者ばかりなんです。だから、会長の本当に大変な仕事なのです。私は心配で心配で……、なのにレイラさんときたらあの会長に意見するどころか要望までして……。そんな人初めて見ました」
リョウは驚き困惑しているようであった。
(兄貴も会長に意見してたけどな)
「それより、阿倍野(あべの)相馬(そうま)ですわ」
「あぁ、ストーカーですね」
「そうなんですか」
リョウはその時の様子を顎に手を当てて思い出した。
「レイラさんに電話を“切られた”後のことです」
自分の返事を待たずに電話を切った事を根に持っている様で“切られた”と言う部分を強調したがレイラは一切その事を気にせず、早く話を進めろと言う顔をした。ここで争っても仕方ないことに理解しているリョウは話を進めた。
「亜理紗様と合流してから、レイラさんたちを追ったです」
「勉強しなかったですの?」
「理由を話したら、亜理紗様はレイラさんを優先してくれました。勉強はその後少ししましたよ」
「そうですか」
「続けますね。私たちは玄関に向かいました。そこでレイラさんたちを発見したのですが、その後ろに阿倍野君を見つけました。彼は、レイラさんの車が駐車場を出るのを確認すると帰宅しました」
その話を聞いて、レイラはゾクっと寒気がした。それ当時に彩花を守らなくてはいけないという使命感に燃えた。
「ですので、レイラさんも……」
リョウはそこまで言って言葉を止めた。レイラが今までにないくらいにいい笑顔をしているのだ。
「大丈夫ですわよ。お兄様は亜理紗を願いしますわ」
「……分かりました。助けが必要なら言ってください」
「ありがとうございます」
レイラはそういうと、すぐに部屋を出て行った。
リョウは彼女の出て行った扉をみて、ため息をついて椅子の背持たれてに寄りかかった。
「そうとう怒っていましたね」
誰に言うでもなくリョウは息と共につぶやいた。
「どうぞ」
リョウは“待っていた”と言わんばかりの顔をしてレイラを部屋に招きいれた。レイラはリョウに挨拶すると部屋にはいり、扉に一番近い椅子に座った。
「今日はありがとうございました」
リョウが自分の目の前に座ると、真っ先に礼を言った。彼はそれが嬉しかった様でニコニコとしている。
「亜理紗様の勉強くらい構いませんよ。なんだか彼女、素直ですしね。以前とは別人ですね」
「アレが素みたいですよ。これからも、亜理紗の事はお願いしてもいいですか。私(わたくし)しばらく彩花さんと一緒にいようと思いますわ」
「構いませんよ。それと、あの件……」
リョウは眉を下げてレイラを見た。
「会長就任を反対していたことですか?」
「ええ。桜花会はもちろん生徒会や特待は頭がいいから曲者ばかりなんです。だから、会長の本当に大変な仕事なのです。私は心配で心配で……、なのにレイラさんときたらあの会長に意見するどころか要望までして……。そんな人初めて見ました」
リョウは驚き困惑しているようであった。
(兄貴も会長に意見してたけどな)
「それより、阿倍野(あべの)相馬(そうま)ですわ」
「あぁ、ストーカーですね」
「そうなんですか」
リョウはその時の様子を顎に手を当てて思い出した。
「レイラさんに電話を“切られた”後のことです」
自分の返事を待たずに電話を切った事を根に持っている様で“切られた”と言う部分を強調したがレイラは一切その事を気にせず、早く話を進めろと言う顔をした。ここで争っても仕方ないことに理解しているリョウは話を進めた。
「亜理紗様と合流してから、レイラさんたちを追ったです」
「勉強しなかったですの?」
「理由を話したら、亜理紗様はレイラさんを優先してくれました。勉強はその後少ししましたよ」
「そうですか」
「続けますね。私たちは玄関に向かいました。そこでレイラさんたちを発見したのですが、その後ろに阿倍野君を見つけました。彼は、レイラさんの車が駐車場を出るのを確認すると帰宅しました」
その話を聞いて、レイラはゾクっと寒気がした。それ当時に彩花を守らなくてはいけないという使命感に燃えた。
「ですので、レイラさんも……」
リョウはそこまで言って言葉を止めた。レイラが今までにないくらいにいい笑顔をしているのだ。
「大丈夫ですわよ。お兄様は亜理紗を願いしますわ」
「……分かりました。助けが必要なら言ってください」
「ありがとうございます」
レイラはそういうと、すぐに部屋を出て行った。
リョウは彼女の出て行った扉をみて、ため息をついて椅子の背持たれてに寄りかかった。
「そうとう怒っていましたね」
誰に言うでもなくリョウは息と共につぶやいた。
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