83 / 131
83限目 条件付きの愛情
しおりを挟む
亜理沙の家の塀はレイラの家のコンクリートと違い生け垣であるため暖かみを感じた。門も木製であった。その上に監視カメラがある。
(ヤクザの親分の家見てぇだよな)
レイラは門の前に立ち、インターフォンを押そうとした瞬間、門が開いた。門を開けたのは和服を着た若い男性であった。
(使用人か)
門が開き、出迎えたのは左右にわかれ頭を下げた数名の和服を着た使用人、そして、その真ん中に茶色ワンピースを着て緊張した顔の亜理沙と着物を綺麗に着こなし満面の笑みの年配女性がいた。
「大道寺レイラさん。ようこそ豊川の家にいらっしゃいました。私は亜理沙の母で豊川(とよかわ)志乃(しの)と申します」
手を前で組み、深々と頭を下げられてレイラは困惑したがそれを隠すように笑顔を作った。
「歓迎嬉しく思いますが、お邪魔する予定はなく亜理沙さんと出かけようと迎えに伺いました」
「もちろん、存知でおりますわ」
志乃は無表情で挨拶もしない、亜理沙を肘で突き「挨拶もできないの」と小さな声であったがキツイ口調で言った。
「お迎えありがとうございます」
亜理沙は小さな声で言った。それに、不満があったようで志乃が亜理沙に対して鬼のような顔した。その瞬間、亜理沙の体はびくりとした。
「では、そろそろ行きますわ」
レイラが、足早に亜理沙のそばまで行くと志乃は満面の笑みを浮かべた。レイラが頭を下げて「失礼致しますわ」っと言って亜理沙の手を引くと志乃はにこやかに「いってらっしゃい」とおじきをした。
レイラは一切振り返ることなく、亜理沙の手を掴んだまま門を出て車に向かった。その間、亜理沙は一切言葉を発しないが抵抗することなくついてきた。
レイラは車まで来る足を止めて亜理沙の方を見た。
「私(わたくし)専属の飯島(いいじま)敏則ですわ」
部座席の扉を開けて待っていた敏則を亜理沙に紹介した。
「よろしくお願い致します」
敏則は手を前にして丁寧に頭を下げた。
「豊川亜理沙です」
亜理沙は緊張しているよう小さな声で挨拶をした。
「乗ってください」
「はい」
レイラが、車を指さすと亜理沙は頷いて車に乗り込んだ。二人が車に乗ったことを確認すると敏則は声を掛けてから扉を閉めた。そして、運転席乗ると「出発致します」と言って車を動かした。
「あの、ありがとうございます」
「何がですの?」
レイラが首を傾げると、亜理沙は嬉しそうに笑った。
「レイラ様にお出かけのお誘いがあったことで、昨日はお母様と食事をとることが出来ましたの。今、着ている服もお母様が選んでくださったですのよ。こんなに色々して頂けたのはレイラ様のおかけです」
違和感しかない亜理沙の話を聞いてると笑顔を作っていても口角がピクピクと動いてしまった。
(条件付きの愛情ってやつか。亜理沙は常に成果を求められて来たのか)
「そうですか」
レイラは幸せそうな彼女の顔を見ると、彼女の両親を否定することはできなかったが、だからて言って肯定することもできなかった。
「そういえば、目的地はもう目の前ですわ」
「え」
亜理沙が窓から前の方を見た。目の前にあったのは大きなシティホテルだ。
(ヤクザの親分の家見てぇだよな)
レイラは門の前に立ち、インターフォンを押そうとした瞬間、門が開いた。門を開けたのは和服を着た若い男性であった。
(使用人か)
門が開き、出迎えたのは左右にわかれ頭を下げた数名の和服を着た使用人、そして、その真ん中に茶色ワンピースを着て緊張した顔の亜理沙と着物を綺麗に着こなし満面の笑みの年配女性がいた。
「大道寺レイラさん。ようこそ豊川の家にいらっしゃいました。私は亜理沙の母で豊川(とよかわ)志乃(しの)と申します」
手を前で組み、深々と頭を下げられてレイラは困惑したがそれを隠すように笑顔を作った。
「歓迎嬉しく思いますが、お邪魔する予定はなく亜理沙さんと出かけようと迎えに伺いました」
「もちろん、存知でおりますわ」
志乃は無表情で挨拶もしない、亜理沙を肘で突き「挨拶もできないの」と小さな声であったがキツイ口調で言った。
「お迎えありがとうございます」
亜理沙は小さな声で言った。それに、不満があったようで志乃が亜理沙に対して鬼のような顔した。その瞬間、亜理沙の体はびくりとした。
「では、そろそろ行きますわ」
レイラが、足早に亜理沙のそばまで行くと志乃は満面の笑みを浮かべた。レイラが頭を下げて「失礼致しますわ」っと言って亜理沙の手を引くと志乃はにこやかに「いってらっしゃい」とおじきをした。
レイラは一切振り返ることなく、亜理沙の手を掴んだまま門を出て車に向かった。その間、亜理沙は一切言葉を発しないが抵抗することなくついてきた。
レイラは車まで来る足を止めて亜理沙の方を見た。
「私(わたくし)専属の飯島(いいじま)敏則ですわ」
部座席の扉を開けて待っていた敏則を亜理沙に紹介した。
「よろしくお願い致します」
敏則は手を前にして丁寧に頭を下げた。
「豊川亜理沙です」
亜理沙は緊張しているよう小さな声で挨拶をした。
「乗ってください」
「はい」
レイラが、車を指さすと亜理沙は頷いて車に乗り込んだ。二人が車に乗ったことを確認すると敏則は声を掛けてから扉を閉めた。そして、運転席乗ると「出発致します」と言って車を動かした。
「あの、ありがとうございます」
「何がですの?」
レイラが首を傾げると、亜理沙は嬉しそうに笑った。
「レイラ様にお出かけのお誘いがあったことで、昨日はお母様と食事をとることが出来ましたの。今、着ている服もお母様が選んでくださったですのよ。こんなに色々して頂けたのはレイラ様のおかけです」
違和感しかない亜理沙の話を聞いてると笑顔を作っていても口角がピクピクと動いてしまった。
(条件付きの愛情ってやつか。亜理沙は常に成果を求められて来たのか)
「そうですか」
レイラは幸せそうな彼女の顔を見ると、彼女の両親を否定することはできなかったが、だからて言って肯定することもできなかった。
「そういえば、目的地はもう目の前ですわ」
「え」
亜理沙が窓から前の方を見た。目の前にあったのは大きなシティホテルだ。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
王妃の手習い
桃井すもも
恋愛
オフィーリアは王太子の婚約者候補である。しかしそれは、国内貴族の勢力バランスを鑑みて、解消が前提の予定調和のものであった。
真の婚約者は既に内定している。
近い将来、オフィーリアは候補から外される。
❇妄想の産物につき史実と100%異なります。
❇知らない事は書けないをモットーに完結まで頑張ります。
❇妄想スイマーと共に遠泳下さる方にお楽しみ頂けますと泳ぎ甲斐があります。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる