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73限目 査問会②
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目をパチクリさせる亜理紗をレイラは睨みつけた。
「亜理紗、私(わたくし)を呼び捨てるなんていい度胸ですわね」
すると、亜理紗はびくりを体を動かした。
圭吾は一度目を閉じてからゆっくりと開けると、レイラに詳細を尋ねた。
「亜理紗が持つ、桜花扇子は元々私(わたくし)が香織様に頂いた物ですわ」
レイラは同意を求めるように、香織を見ると彼女は頷いて肯定した。
「私(わたくし)が扇子を持っていますと亜理紗が欲しがったですよの。だから、渡しましたわ。その時に中庭の占拠を命じたのですわ。本当に私(わたくし)に忠誠を誓っているのか確認したかったので無茶な注文をしましたわ」
「え、何を。亜理紗は、そんな……」
何かを言おうとした亜理紗をレイラは再度、睨みつけた。
「黙りなさい」
レイラは彼女の言葉を制した。
「香織様。これが本来の桜花扇子の意味ですわよね」
「あぁ」
レイラの言葉にすぐに香織は同意した。
「よく知っているな。」
憲貞は感心して頷いた。
(やっぱり、あってるんだ)
「ええ。ですから、今回の件は私(わたくし)が責任を持ちますわ」
レイラは、そう言って座っている椅子を持つと亜理紗の隣に置き、亜理紗の倒れた椅子を起こすと自分の持ってきた椅子に座った。
隣にいる亜理紗は驚きすぎて声がでないようで金魚のように口パクパクしている。
「亜理紗、下品ですわ。私(わたくし)の下につくならもっと上品な振る舞いをしてくださる?」
亜理紗の制服の裾をひくと彼女はストンと座った。
「……なんで、亜理紗が1年の下なんかに」
これ以上ないくらいに亜理紗は顔を歪まさせていた。彼女からは怒りではなく何かに怯えているように感じた。
(なんだ? 罰は全部、俺(レイラ)引き受けるぞ)
レイラは少し考えてから、亜理紗だけに聞こえる小さな声で話した。
「このままでは、中庭占拠は貴女の独断。桜花扇子は私(わたくし)に手を上げて奪った物となればどうなるかわかりますよね? 私(わたくし)の下につけばなんとかしますわ」
「……」
「それが貴女の望みですわよね? 私(わたくし)の名を出しだのですから」
「……それは」
亜理紗は、縋るように扇子を握りしめた。レイラはそんな亜理紗にため息をついた。
「桜花扇子は香織様が使っているから権力の象徴にみたいの思ったのかもしれませんが違いますわよ」
亜理紗は目に涙を浮かべ、香織の方を見た。
「そんな、はずはありませんわ。違いますわよね? 香織様。この扇子は、桜花会を支えていく者が受け取るものですわ。天王寺会長が頼りないから香織様に渡されたのですわ」
亜理紗は興奮のあまり、声が大きくなり立ち上がった。
「私が頼りない? なるほど、君は私に喧嘩を売っているのか」
憲貞は机の上で、手を組み亜理紗を睨みつけた。
その圧に亜理紗は言葉がでてこなくなった。
香織は周囲を見てから、ゆっくりと口をあげた。
「レイラが正しい。私は天王寺憲貞様に忠誠を誓っている。桜花扇子は桜花会役員と生徒会役員の前で手渡され、忠誠を誓うことによって効果を発揮する。だから、私は扇子をレイラに預けただけだよ。」
「え……?」
香織の説明に亜理紗は目をまるくした。それを見て、香織は大きくため息をつき、憲貞は眉をひそめた。
「そんな事も知らずに持っていたんだね。私の行いは全て忠誠を誓った憲貞様の功績になる。だから、私は桜花会会長の権限を持っている。しかし、憲貞様の意向に沿わない行いがあった場合、私はどんな処罰も受け入れる」
「なんですのそれは。つまり、会長に退学と言われたら、退学するということですの?」
「当然だよ。進学先や将来も命があれば従う」
「なんですのそれは」
淡々と語る香織に対して、亜理紗は悲鳴にもとれる声を上げその場に座り込んだ。それに、憲貞が不快な表情を浮かべると、香織はすっと席を立ち亜理紗の口をハンカチで抑えた。
「ーッ」
すると、亜理紗は静かになり涙目で憲貞と香織を睨みつけた。
「そういう規則ですわ。で、どうしますか? 今、ここで私に忠誠を誓いますか?」
「……」
「ちなみに、この契約を“主従関係”というのですが、契約条件がありますの。一つは主となる桜花会員の命をきき忠誠を誓うこと。これは、私(わたくし)の命で中庭占拠をしましたのでクリアしてますわね。二つ目、それを桜花会役員と生徒会役員の前でお互いに誓うこと」
亜理紗は口を抑えているため、うまく言葉にできず“もごもご”と言った。
「どちらでも構いませんわ。でも、このままでは罪は2つ。中庭占拠は謝罪でどうにかなりますが、同じ桜花会の人間に手を上げ扇子の強奪は……」
レイラは目を細めて、わざとそこで言葉を止めた。亜理紗の目からは涙がポロポロと零れた。
憲貞が香織に視線を送ると、彼女は亜理紗から離れて席にもどった。すると、亜理紗はその場に座り込み床に手をついた。
「わかったわよ。誓うわ。それでいいでしょ」
亜理紗は大声で泣き叫んだ。その声が部屋に響いたため、香織は桜花会の3年吉本武弘(よしもとたけひろ)に、貴也は生徒会の1年の中村彩花(なかむらあやか)と2年の安本隼人(やすもとはやと)それに3年の石田栄之助(いしだえいのすけ)に声をかけた。すると、3人は亜理紗を連れて退室した。
「亜理紗、私(わたくし)を呼び捨てるなんていい度胸ですわね」
すると、亜理紗はびくりを体を動かした。
圭吾は一度目を閉じてからゆっくりと開けると、レイラに詳細を尋ねた。
「亜理紗が持つ、桜花扇子は元々私(わたくし)が香織様に頂いた物ですわ」
レイラは同意を求めるように、香織を見ると彼女は頷いて肯定した。
「私(わたくし)が扇子を持っていますと亜理紗が欲しがったですよの。だから、渡しましたわ。その時に中庭の占拠を命じたのですわ。本当に私(わたくし)に忠誠を誓っているのか確認したかったので無茶な注文をしましたわ」
「え、何を。亜理紗は、そんな……」
何かを言おうとした亜理紗をレイラは再度、睨みつけた。
「黙りなさい」
レイラは彼女の言葉を制した。
「香織様。これが本来の桜花扇子の意味ですわよね」
「あぁ」
レイラの言葉にすぐに香織は同意した。
「よく知っているな。」
憲貞は感心して頷いた。
(やっぱり、あってるんだ)
「ええ。ですから、今回の件は私(わたくし)が責任を持ちますわ」
レイラは、そう言って座っている椅子を持つと亜理紗の隣に置き、亜理紗の倒れた椅子を起こすと自分の持ってきた椅子に座った。
隣にいる亜理紗は驚きすぎて声がでないようで金魚のように口パクパクしている。
「亜理紗、下品ですわ。私(わたくし)の下につくならもっと上品な振る舞いをしてくださる?」
亜理紗の制服の裾をひくと彼女はストンと座った。
「……なんで、亜理紗が1年の下なんかに」
これ以上ないくらいに亜理紗は顔を歪まさせていた。彼女からは怒りではなく何かに怯えているように感じた。
(なんだ? 罰は全部、俺(レイラ)引き受けるぞ)
レイラは少し考えてから、亜理紗だけに聞こえる小さな声で話した。
「このままでは、中庭占拠は貴女の独断。桜花扇子は私(わたくし)に手を上げて奪った物となればどうなるかわかりますよね? 私(わたくし)の下につけばなんとかしますわ」
「……」
「それが貴女の望みですわよね? 私(わたくし)の名を出しだのですから」
「……それは」
亜理紗は、縋るように扇子を握りしめた。レイラはそんな亜理紗にため息をついた。
「桜花扇子は香織様が使っているから権力の象徴にみたいの思ったのかもしれませんが違いますわよ」
亜理紗は目に涙を浮かべ、香織の方を見た。
「そんな、はずはありませんわ。違いますわよね? 香織様。この扇子は、桜花会を支えていく者が受け取るものですわ。天王寺会長が頼りないから香織様に渡されたのですわ」
亜理紗は興奮のあまり、声が大きくなり立ち上がった。
「私が頼りない? なるほど、君は私に喧嘩を売っているのか」
憲貞は机の上で、手を組み亜理紗を睨みつけた。
その圧に亜理紗は言葉がでてこなくなった。
香織は周囲を見てから、ゆっくりと口をあげた。
「レイラが正しい。私は天王寺憲貞様に忠誠を誓っている。桜花扇子は桜花会役員と生徒会役員の前で手渡され、忠誠を誓うことによって効果を発揮する。だから、私は扇子をレイラに預けただけだよ。」
「え……?」
香織の説明に亜理紗は目をまるくした。それを見て、香織は大きくため息をつき、憲貞は眉をひそめた。
「そんな事も知らずに持っていたんだね。私の行いは全て忠誠を誓った憲貞様の功績になる。だから、私は桜花会会長の権限を持っている。しかし、憲貞様の意向に沿わない行いがあった場合、私はどんな処罰も受け入れる」
「なんですのそれは。つまり、会長に退学と言われたら、退学するということですの?」
「当然だよ。進学先や将来も命があれば従う」
「なんですのそれは」
淡々と語る香織に対して、亜理紗は悲鳴にもとれる声を上げその場に座り込んだ。それに、憲貞が不快な表情を浮かべると、香織はすっと席を立ち亜理紗の口をハンカチで抑えた。
「ーッ」
すると、亜理紗は静かになり涙目で憲貞と香織を睨みつけた。
「そういう規則ですわ。で、どうしますか? 今、ここで私に忠誠を誓いますか?」
「……」
「ちなみに、この契約を“主従関係”というのですが、契約条件がありますの。一つは主となる桜花会員の命をきき忠誠を誓うこと。これは、私(わたくし)の命で中庭占拠をしましたのでクリアしてますわね。二つ目、それを桜花会役員と生徒会役員の前でお互いに誓うこと」
亜理紗は口を抑えているため、うまく言葉にできず“もごもご”と言った。
「どちらでも構いませんわ。でも、このままでは罪は2つ。中庭占拠は謝罪でどうにかなりますが、同じ桜花会の人間に手を上げ扇子の強奪は……」
レイラは目を細めて、わざとそこで言葉を止めた。亜理紗の目からは涙がポロポロと零れた。
憲貞が香織に視線を送ると、彼女は亜理紗から離れて席にもどった。すると、亜理紗はその場に座り込み床に手をついた。
「わかったわよ。誓うわ。それでいいでしょ」
亜理紗は大声で泣き叫んだ。その声が部屋に響いたため、香織は桜花会の3年吉本武弘(よしもとたけひろ)に、貴也は生徒会の1年の中村彩花(なかむらあやか)と2年の安本隼人(やすもとはやと)それに3年の石田栄之助(いしだえいのすけ)に声をかけた。すると、3人は亜理紗を連れて退室した。
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