61 / 69
61.1週間ー1 あきらSIDE
しおりを挟む
次の日。
重い気持ちのままバイトをこなし、夜は実家へ戻ってきた。
「めずらしいわね、こっちに帰ってくるなんて。 明日もバイトなんでしょ?」
「ああ・・・しばらく、こっちから通うから」
「大丈夫なの?」
少し時間はかかるけど、別に通えない距離じゃないし。
「大丈夫だよ」
ため息をつきながら、ダイニングのイスに座った。
「夜ご飯は?」
「軽く食べたから、いらない」
母さんがコーヒーを淹れてくれて、オレの前に置く。
「晃・・・なにかあったの?」
「え?」
淹れてくれたコーヒーを飲みながら母さんを見ると、少し心配そうな顔をしていた。
「わざさざこっちからバイトに行くなんて・・・ 玲紀くんと、なにかあった?」
まあ・・・そう、思うよな・・・
オレは小さくため息をつき、コーヒーをテーブルに置く。
母さんは自分の分のコーヒーを持って、オレの向かいのイスに座った。
親に話す・・・と言っても、
いきなり話したら、驚くしショックだろうし、最悪、大反対されて終わる・・・とかもあるかもしれない。
様子を見ながら話すべきだよな・・・
まずは、父さんに話した方がよさそうだし・・・
「・・・いや、別に。 レイキとは、ふつーにやってる」
「そうなの? ちゃんと食べてる?」
「ああ。 当番決めて、飯作ってるし。
・・・そうそう、時々、レイキのお姉さんが、飯作りに来てくれたりしてる」
「あら、そうなのね・・・ やっぱり、女の子って、いいわねー」
母さんは子供がオレたち息子3人だから、娘も欲しかったということを、昔から時々言っていた。
「香菜さんが、いるじゃん」
香菜さんは、遼兄の奥さんだ。
遼兄は、1年位前に結婚した。
「そう! 香菜さんと話すの、楽しくて! 今度、一緒に買い物に行くのよ」
「・・・楽しいのはいいけどさ。 母さんはしょせん姑なんだから。 お嫁さんに嫌われないようにしろよ」
「はいはい、分かってるわよ」
・・・しばらく2人でコーヒーを飲んで。
「・・・なあ。
父さんから聞いた? 桜庭先生の娘さんの話」
母さんは笑って、
「聞いたわよー。 駿を婿に出すなんて突然言うから、びっくりしたわ」
「どう・・・思った?」
「桜庭先生の娘さんは、母さんは会ったことないから・・・なんともねー・・・
でも、結局は駿の気持ち次第だからね」
気持ち次第・・・そうだよな・・・
「でも結局、晃に話が回ってきたんでしょ?
桜庭先生の娘さんのも先生にも、すごーく気に入られたって、きいたわよ?」
「うん・・・」
オレはテーブルに置いたコーヒーに視線を落として、
「オレが・・・・結婚とか・・・・・どう、思った・・・?」
母さんはちょっと笑いながら、
「さすがにまだそんな話は早いでしょ?って思ったわよ。 だって、駿ならともかく、晃はまだ18歳よ?
お父さんも桜庭先生も、気が早いわよねー。
・・・でも、桜庭先生のところは、うちより子供が遅かったから・・・
先生も、色々心配なんでしょうね」
確かに・・・
長子の柚葉が、オレと同じ学年だもんな・・・・
「晃はどう思ってるの? 柚葉ちゃんのこと」
「え」
母さんはにこにこしてオレを見ている。
オレにとっては、いきなり核心に近いことを訊かれて、少し焦ってしまった。
「結婚・・・とかは置いておくとしても、柚葉ちゃんとはつき合うの?」
オレは少しうつむいて、言葉を探す。
「・・・晃、お父さんが言うからって、無理しなくていいのよ? こういうのは、人に言われたから、じゃあやります、とかいうものじゃないから」
なにも言えなかったオレに、母さんは優しく笑ってくれた。
「・・・先に、お風呂に入ってきなさい。 ベッド、用意しておくから」
「うん・・・ ありがと」
いざ話そうと思うと・・・ 緊張するな・・・・・
今日は父さんは遅くなるらしい。
なんて話すかを考えて・・・・
明日、父さんには話そう。
重い気持ちのままバイトをこなし、夜は実家へ戻ってきた。
「めずらしいわね、こっちに帰ってくるなんて。 明日もバイトなんでしょ?」
「ああ・・・しばらく、こっちから通うから」
「大丈夫なの?」
少し時間はかかるけど、別に通えない距離じゃないし。
「大丈夫だよ」
ため息をつきながら、ダイニングのイスに座った。
「夜ご飯は?」
「軽く食べたから、いらない」
母さんがコーヒーを淹れてくれて、オレの前に置く。
「晃・・・なにかあったの?」
「え?」
淹れてくれたコーヒーを飲みながら母さんを見ると、少し心配そうな顔をしていた。
「わざさざこっちからバイトに行くなんて・・・ 玲紀くんと、なにかあった?」
まあ・・・そう、思うよな・・・
オレは小さくため息をつき、コーヒーをテーブルに置く。
母さんは自分の分のコーヒーを持って、オレの向かいのイスに座った。
親に話す・・・と言っても、
いきなり話したら、驚くしショックだろうし、最悪、大反対されて終わる・・・とかもあるかもしれない。
様子を見ながら話すべきだよな・・・
まずは、父さんに話した方がよさそうだし・・・
「・・・いや、別に。 レイキとは、ふつーにやってる」
「そうなの? ちゃんと食べてる?」
「ああ。 当番決めて、飯作ってるし。
・・・そうそう、時々、レイキのお姉さんが、飯作りに来てくれたりしてる」
「あら、そうなのね・・・ やっぱり、女の子って、いいわねー」
母さんは子供がオレたち息子3人だから、娘も欲しかったということを、昔から時々言っていた。
「香菜さんが、いるじゃん」
香菜さんは、遼兄の奥さんだ。
遼兄は、1年位前に結婚した。
「そう! 香菜さんと話すの、楽しくて! 今度、一緒に買い物に行くのよ」
「・・・楽しいのはいいけどさ。 母さんはしょせん姑なんだから。 お嫁さんに嫌われないようにしろよ」
「はいはい、分かってるわよ」
・・・しばらく2人でコーヒーを飲んで。
「・・・なあ。
父さんから聞いた? 桜庭先生の娘さんの話」
母さんは笑って、
「聞いたわよー。 駿を婿に出すなんて突然言うから、びっくりしたわ」
「どう・・・思った?」
「桜庭先生の娘さんは、母さんは会ったことないから・・・なんともねー・・・
でも、結局は駿の気持ち次第だからね」
気持ち次第・・・そうだよな・・・
「でも結局、晃に話が回ってきたんでしょ?
桜庭先生の娘さんのも先生にも、すごーく気に入られたって、きいたわよ?」
「うん・・・」
オレはテーブルに置いたコーヒーに視線を落として、
「オレが・・・・結婚とか・・・・・どう、思った・・・?」
母さんはちょっと笑いながら、
「さすがにまだそんな話は早いでしょ?って思ったわよ。 だって、駿ならともかく、晃はまだ18歳よ?
お父さんも桜庭先生も、気が早いわよねー。
・・・でも、桜庭先生のところは、うちより子供が遅かったから・・・
先生も、色々心配なんでしょうね」
確かに・・・
長子の柚葉が、オレと同じ学年だもんな・・・・
「晃はどう思ってるの? 柚葉ちゃんのこと」
「え」
母さんはにこにこしてオレを見ている。
オレにとっては、いきなり核心に近いことを訊かれて、少し焦ってしまった。
「結婚・・・とかは置いておくとしても、柚葉ちゃんとはつき合うの?」
オレは少しうつむいて、言葉を探す。
「・・・晃、お父さんが言うからって、無理しなくていいのよ? こういうのは、人に言われたから、じゃあやります、とかいうものじゃないから」
なにも言えなかったオレに、母さんは優しく笑ってくれた。
「・・・先に、お風呂に入ってきなさい。 ベッド、用意しておくから」
「うん・・・ ありがと」
いざ話そうと思うと・・・ 緊張するな・・・・・
今日は父さんは遅くなるらしい。
なんて話すかを考えて・・・・
明日、父さんには話そう。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる