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第四部
さっそくの調査依頼
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「お話とは何でしょう」
善は急げとばかりにその翌日、メサリアさんに話があると言って部屋に来てもらった。
「さっそくヒノマルにいろいろ調べてもらおうと思って」
「はい。それはかまいませんが」
エルヴィリノスがお茶を淹れると俺たちとメサリアさんの前へと置く。コイツにお茶を淹れてもらうとか未だに違和感が強い。そのうち慣れるんだろうか。
「まずは一つ目。デルフィリウス侯爵について調べて欲しい。侯爵家の評判とか、クビにした家令の評判とかね」
「畏まりました」
「次はアークライト王国が今どうなってるか……、かな」
「アークライト王国……ですか。確かに最近、王城が自然災害に遭って大変なことになっていると聞きますね」
「へぇ、そうなんだ。まぁそういうわけで、一般市民にどこまで影響が出てるかちょっと気にはなるかな」
「はい」
何食わぬ顔で返事をすると、メサリアさんは大きく頷いて次を促してくる。
結構頼むつもりなんだけど、メモとか取らないで大丈夫なのかな? まぁ絶対調べて欲しいとかいうものはないので気楽にやってもらえればいいんだけど。
「あとは、そのアークライト王国に召喚された勇者の動向も知りたいわね」
莉緒の言葉に薄く笑みを浮かべるメサリアさん。
「畏まりました」
「気づいてるとは思うけど、俺たち二人もアークライト王国に召喚された勇者とやららしいから、同郷の人間がどうなってるかはちょっとだけ気にはなるかな」
「……やはりそうだったのですね。いろいろと納得がいきました」
大きく息をつくとすっきりした表情に変わっている。俺たちと最初に敵対した時に、正体を探っていたんだと思う。その確信が取れたというところか。
一緒に召喚されたメンバーの名前や容姿などをメサリアさんに伝えていく。
「あとそうだなぁ。帝国のラグローイ侯爵家がどうなったかも知りたいな」
「……そちらはどういうご関係で?」
「フォニアとイヴァンを奴隷としてストレス発散のはけ口にしていたクソ侯爵家だな。一応皇帝には犯罪にはちゃんと対処しろとはお願いしたけど」
「皇帝陛下にですか……」
奴隷と聞いてメサリアさんが表情をなくして静かに呟く。何か背後に怒りのオーラが見える気がするが、奴隷について思うところでもありそうだな。
「そういうことであればしっかりと確認させていただきます」
「で、ここからは、あるかどうかわからないものの調査依頼になるけどいいかな」
「何なりとお申し付けくださいませ」
「探してる食材があるんだけど……」
「食材ですか?」
「うん。米っていう穀物と、醤油と味噌っていう発酵調味料を探して欲しい」
「コメと、ショウユと、ミソですね。もう少し詳細を聞いても?」
「もちろん。米と醤油と味噌と三つ挙げたけど、あくまで俺たちの世界での呼び名だから、この世界に存在してたとしてもなんて呼ばれてるかは知らない。それを前提にして動いて欲しい。まず米は――」
こうして探して欲しい食材について、メサリアさんに詳しく説明していく。この三つに関してはどれだけ費用がかかっても構わないので、重点的に探して欲しいとお願いしておいた。
「なるほど……。そこまでお二人には馴染みのある食材なんですね」
「主食だったからなぁ」
「うん。……これで調査して欲しいことは全部かな?」
莉緒と確認し合うと俺も頷く。
「結構いろいろお願いしたからな。これを当面の費用としといてくれ。新たにメンバー増やしたり拠点を増やしてもらってもいいし、自由に使ってくれ」
言葉と共に異空間ボックスからお金をじゃらじゃらと取り出していく。大小の金貨と白金貨を混ぜて適当に出しておく。ちらりと見えたミスリル貨もついでなので一枚添えておく。
「ええっと……、本当に資金として使ってよいので?」
メサリアさんが冷や汗を垂らしながら確認してくるが、もちろん使ってもらってかまわない。
「ちょっと柊? 十五億フロンくらいあるけどいいの?」
「あれ? そんなにあった? ……まぁいいんじゃないかな」
白金貨以上になるとほとんど使わないので、一枚でいくらの価値だったかよく覚えていない。それに所持金いくらあったか思い出そうとしてみたけど、百億から先は覚えてなかったのでどうでもよくなった。
「まぁいいけどね」
莉緒も特に異論はないようだ。
「じゃあそういうことで」
「か、畏まりました。……ミスリル貨なんて初めて見ました」
恐る恐る手に取ると裏表をひっくり返して観察している。
「ちなみにですが、シュウ様たちはいつまでここにご滞在予定でしょうか?」
ひとしきり観察し終わったメサリアさんに尋ねられたけど、これといって特に決めてはいない。でもそろそろこの街でやりたいことはだいたいやった気もする。
「うーん、親方に依頼した刀が出来上がるまでかな?」
「そうねぇ、私も十分にフェアリィバレイは堪能したわ」
「そうですか……、今後どのように連絡を取りましょうか。下部組織は各地にございますが、ヒノマルやシュウ様たちのことが浸透するまで時間がかかると思います」
「それはそれで面倒だな。……そういえばこの世界、遠距離で情報のやり取りする方法ってあるのか?」
「遠距離ですか? 手紙を送るしかないと思います。遠距離だと紛失する可能性も高くなりますので、それなりにお金がかかりますね」
疑問に思いつつも答えてくれたが、やはりラノベでよくある遠距離通信する魔道具みたいなものはないのか。この世界には念話があるんだし、あってもいいと思ったんだが無理なのかな。
「なるほど。物理で手紙を届けるしかないんだな」
「はい。そうなります」
うーん。なんとかならんもんか。手紙を人力で届けるって、情報が広まるのに時間がかかりすぎる。
……あ、そうだ。刀にいろんな機能を付与したみたいに、念話も付与できないかな?
善は急げとばかりにその翌日、メサリアさんに話があると言って部屋に来てもらった。
「さっそくヒノマルにいろいろ調べてもらおうと思って」
「はい。それはかまいませんが」
エルヴィリノスがお茶を淹れると俺たちとメサリアさんの前へと置く。コイツにお茶を淹れてもらうとか未だに違和感が強い。そのうち慣れるんだろうか。
「まずは一つ目。デルフィリウス侯爵について調べて欲しい。侯爵家の評判とか、クビにした家令の評判とかね」
「畏まりました」
「次はアークライト王国が今どうなってるか……、かな」
「アークライト王国……ですか。確かに最近、王城が自然災害に遭って大変なことになっていると聞きますね」
「へぇ、そうなんだ。まぁそういうわけで、一般市民にどこまで影響が出てるかちょっと気にはなるかな」
「はい」
何食わぬ顔で返事をすると、メサリアさんは大きく頷いて次を促してくる。
結構頼むつもりなんだけど、メモとか取らないで大丈夫なのかな? まぁ絶対調べて欲しいとかいうものはないので気楽にやってもらえればいいんだけど。
「あとは、そのアークライト王国に召喚された勇者の動向も知りたいわね」
莉緒の言葉に薄く笑みを浮かべるメサリアさん。
「畏まりました」
「気づいてるとは思うけど、俺たち二人もアークライト王国に召喚された勇者とやららしいから、同郷の人間がどうなってるかはちょっとだけ気にはなるかな」
「……やはりそうだったのですね。いろいろと納得がいきました」
大きく息をつくとすっきりした表情に変わっている。俺たちと最初に敵対した時に、正体を探っていたんだと思う。その確信が取れたというところか。
一緒に召喚されたメンバーの名前や容姿などをメサリアさんに伝えていく。
「あとそうだなぁ。帝国のラグローイ侯爵家がどうなったかも知りたいな」
「……そちらはどういうご関係で?」
「フォニアとイヴァンを奴隷としてストレス発散のはけ口にしていたクソ侯爵家だな。一応皇帝には犯罪にはちゃんと対処しろとはお願いしたけど」
「皇帝陛下にですか……」
奴隷と聞いてメサリアさんが表情をなくして静かに呟く。何か背後に怒りのオーラが見える気がするが、奴隷について思うところでもありそうだな。
「そういうことであればしっかりと確認させていただきます」
「で、ここからは、あるかどうかわからないものの調査依頼になるけどいいかな」
「何なりとお申し付けくださいませ」
「探してる食材があるんだけど……」
「食材ですか?」
「うん。米っていう穀物と、醤油と味噌っていう発酵調味料を探して欲しい」
「コメと、ショウユと、ミソですね。もう少し詳細を聞いても?」
「もちろん。米と醤油と味噌と三つ挙げたけど、あくまで俺たちの世界での呼び名だから、この世界に存在してたとしてもなんて呼ばれてるかは知らない。それを前提にして動いて欲しい。まず米は――」
こうして探して欲しい食材について、メサリアさんに詳しく説明していく。この三つに関してはどれだけ費用がかかっても構わないので、重点的に探して欲しいとお願いしておいた。
「なるほど……。そこまでお二人には馴染みのある食材なんですね」
「主食だったからなぁ」
「うん。……これで調査して欲しいことは全部かな?」
莉緒と確認し合うと俺も頷く。
「結構いろいろお願いしたからな。これを当面の費用としといてくれ。新たにメンバー増やしたり拠点を増やしてもらってもいいし、自由に使ってくれ」
言葉と共に異空間ボックスからお金をじゃらじゃらと取り出していく。大小の金貨と白金貨を混ぜて適当に出しておく。ちらりと見えたミスリル貨もついでなので一枚添えておく。
「ええっと……、本当に資金として使ってよいので?」
メサリアさんが冷や汗を垂らしながら確認してくるが、もちろん使ってもらってかまわない。
「ちょっと柊? 十五億フロンくらいあるけどいいの?」
「あれ? そんなにあった? ……まぁいいんじゃないかな」
白金貨以上になるとほとんど使わないので、一枚でいくらの価値だったかよく覚えていない。それに所持金いくらあったか思い出そうとしてみたけど、百億から先は覚えてなかったのでどうでもよくなった。
「まぁいいけどね」
莉緒も特に異論はないようだ。
「じゃあそういうことで」
「か、畏まりました。……ミスリル貨なんて初めて見ました」
恐る恐る手に取ると裏表をひっくり返して観察している。
「ちなみにですが、シュウ様たちはいつまでここにご滞在予定でしょうか?」
ひとしきり観察し終わったメサリアさんに尋ねられたけど、これといって特に決めてはいない。でもそろそろこの街でやりたいことはだいたいやった気もする。
「うーん、親方に依頼した刀が出来上がるまでかな?」
「そうねぇ、私も十分にフェアリィバレイは堪能したわ」
「そうですか……、今後どのように連絡を取りましょうか。下部組織は各地にございますが、ヒノマルやシュウ様たちのことが浸透するまで時間がかかると思います」
「それはそれで面倒だな。……そういえばこの世界、遠距離で情報のやり取りする方法ってあるのか?」
「遠距離ですか? 手紙を送るしかないと思います。遠距離だと紛失する可能性も高くなりますので、それなりにお金がかかりますね」
疑問に思いつつも答えてくれたが、やはりラノベでよくある遠距離通信する魔道具みたいなものはないのか。この世界には念話があるんだし、あってもいいと思ったんだが無理なのかな。
「なるほど。物理で手紙を届けるしかないんだな」
「はい。そうなります」
うーん。なんとかならんもんか。手紙を人力で届けるって、情報が広まるのに時間がかかりすぎる。
……あ、そうだ。刀にいろんな機能を付与したみたいに、念話も付与できないかな?
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