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第二部
レアモノ商品の売却と言えば
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魔法瓶の食いつきはすごかった。ミミナ商会が開発した保温容器も当時は画期的と言われていたが、この魔法瓶はそれをはるかに超える発明だとか。
俺が発明したわけじゃないけど、異世界であるここじゃ気にしても無駄なので自慢げにしておく。
「フフフ……。これで天狼茸のシェアを無理に奪いに来たミミナ商会に一泡吹かせられますわね」
そのときのフルールさんはちょっと悪い顔をしていたが、まぁそれはいい。技術的にもこの世界だと土魔法か風魔法を使わないと魔法瓶は作れないだろう。世の魔法使いさんがんばってください。
魔法瓶の後はリバーシや将棋、ジェンガなどの遊具系だ。こちらはサンプルとして土魔法で作ったものを出して、いくつか実演すればすぐに理解してもらえる。
「シンプルなのに奥が深いですね……」
妙に感心されたけど、俺たちからすると生まれた時から存在する慣れ親しんだゲームだ。当たり前に存在したものにここまでの評価を下されると微妙な気持ちになる。
次は料理関係に移ったが、さすがに料理を実演する準備はしていない。知っている料理のレシピをある程度伝えたが、どこまで料理人に再現してもらえるかはわからない。
ただ、ぽつりと呟いたマヨネーズという言葉にフルールさんが反応したことには驚いた。
「もしかして作り方を知っているんですか!?」
こっちも食いつきがよかった。
話を聞けば、アークライト王国で開発された調味料らしいのだが、製法が伝わっていないらしい。輸入するしかないのだが、国外へ持ち出すには関税が高すぎてどうにかならないかと常日頃から思っていたらしい。
「そういうことなら、作り方を教えましょう」
俺は油と卵と酢が材料で、混ぜればできるというくらいしか知らなかった。しかしそこは莉緒の出番だ。召喚される前に家で作ったことがあるらしく、俺よりは詳しい作り方を知っていた。
アークライト王国の関税なんぞ関係ない。俺たちは嬉々としてマヨネーズの作り方をレクチャーした。
「でも分量の配分など試行錯誤はお願いしますね。私の知ってる材料と、ここで揃えられる材料はちょっと違いがあるようなので」
「わかりました。そこは料理人に試行錯誤をお願いしておきます」
「お願いします」
一息ついたところでお茶が運ばれてくる。手に取ってのどを潤していると、急にお腹が空いてきた。さっきまで料理の話をしていたから余計にだ。
「もうお昼過ぎですね。もっと詳しく話を伺いたいところなのですが、いろいろと情報をいただいたので少し整理したいです」
「いえ、こちらこそ助かりました。思ったよりお金になりそうなので、目一杯融資に使ってください」
「何を言ってるんです。こちらも大助かりです。いろいろ教えていただいたものは、特許としてこちらで申請しておきますので安心してください」
やっぱり特許のシステムはこの世界にもあるようだ。それならありがたい。一回の売却だけにならずに済むし、他の工房に対してだけでなく今後の俺たちもお金の心配はしなくてよさそうだ。
「シュウ様とリオ様の考えられたものは、このラシアーユ商会が全面的にバックアップさせていただきますので」
特許の申請とそのお金の振り込みのためには、商業ギルドに登録が必要とのことだ。そっちもフルールさんでやってくれるということで、俺たちはギルド登録の書類に名前だけ記載をしておいた。
「あとはお願いしますね」
「お任せください」
最初は俺たちの出す素材にドン引きしていたフルールさん含めた商会の人たちだったが、今では俺たちが提供したものをお金に換えることに貪欲になっている。ある程度現金で買い取れるものは買い取ってもらったが、高価すぎる素材を提供したせいか、ほとんどがオークション行きとなった。
「そういえば、オークションは商都で行われるんですが参加されますか? よろしければギルド登録と同時にオークション参加の申請もしておきますが」
「参加できるんですか?」
「はい。出品者はオークションに参加できるようになっていますが、申請は必要ですので。もちろん他の参加者には、商品の出品者だということは伏せられますのでご安心ください」
なるほど。オークションという響きはすごく惹かれる言葉ではある。というかすごく気になる。
「商都というと、ここから北にある街でしたっけ?」
莉緒がフルールさんに尋ねた言葉でハッとする。そういえばどこにあるか知らなかったな。元々俺たちは南にある海を目指していたけど、急いでいるわけでもない。
「ええ、そうですね。ここからだと馬車で二日の距離になります」
「それくらいなら行ってみようか」
「うん。私も気になるし」
莉緒と顔を見合わせて頷き合う。オークションに参加できるとなればテンションも上がるというもんだ。何か掘り出し物に出会えるかもしれない。
「わかりました。では参加の申請もさせていただきます。あと、この機会にと言ってはなんですが、出品する商品の輸送と護衛を依頼させていただいてもよろしいでしょうか?」
「輸送と護衛ですか?」
「はい。お二人の実力があれば、こちらとしても安心できますので」
輸送と言えば俺たちの異空間ボックスを使いたいってことだろうな。自分で出品するものを自分で運ぶとなれば否はない。
にしても護衛か。
冒険者ギルドマスターから冒険者のランクをDにしてもらったときのことを思い出していた。
俺が発明したわけじゃないけど、異世界であるここじゃ気にしても無駄なので自慢げにしておく。
「フフフ……。これで天狼茸のシェアを無理に奪いに来たミミナ商会に一泡吹かせられますわね」
そのときのフルールさんはちょっと悪い顔をしていたが、まぁそれはいい。技術的にもこの世界だと土魔法か風魔法を使わないと魔法瓶は作れないだろう。世の魔法使いさんがんばってください。
魔法瓶の後はリバーシや将棋、ジェンガなどの遊具系だ。こちらはサンプルとして土魔法で作ったものを出して、いくつか実演すればすぐに理解してもらえる。
「シンプルなのに奥が深いですね……」
妙に感心されたけど、俺たちからすると生まれた時から存在する慣れ親しんだゲームだ。当たり前に存在したものにここまでの評価を下されると微妙な気持ちになる。
次は料理関係に移ったが、さすがに料理を実演する準備はしていない。知っている料理のレシピをある程度伝えたが、どこまで料理人に再現してもらえるかはわからない。
ただ、ぽつりと呟いたマヨネーズという言葉にフルールさんが反応したことには驚いた。
「もしかして作り方を知っているんですか!?」
こっちも食いつきがよかった。
話を聞けば、アークライト王国で開発された調味料らしいのだが、製法が伝わっていないらしい。輸入するしかないのだが、国外へ持ち出すには関税が高すぎてどうにかならないかと常日頃から思っていたらしい。
「そういうことなら、作り方を教えましょう」
俺は油と卵と酢が材料で、混ぜればできるというくらいしか知らなかった。しかしそこは莉緒の出番だ。召喚される前に家で作ったことがあるらしく、俺よりは詳しい作り方を知っていた。
アークライト王国の関税なんぞ関係ない。俺たちは嬉々としてマヨネーズの作り方をレクチャーした。
「でも分量の配分など試行錯誤はお願いしますね。私の知ってる材料と、ここで揃えられる材料はちょっと違いがあるようなので」
「わかりました。そこは料理人に試行錯誤をお願いしておきます」
「お願いします」
一息ついたところでお茶が運ばれてくる。手に取ってのどを潤していると、急にお腹が空いてきた。さっきまで料理の話をしていたから余計にだ。
「もうお昼過ぎですね。もっと詳しく話を伺いたいところなのですが、いろいろと情報をいただいたので少し整理したいです」
「いえ、こちらこそ助かりました。思ったよりお金になりそうなので、目一杯融資に使ってください」
「何を言ってるんです。こちらも大助かりです。いろいろ教えていただいたものは、特許としてこちらで申請しておきますので安心してください」
やっぱり特許のシステムはこの世界にもあるようだ。それならありがたい。一回の売却だけにならずに済むし、他の工房に対してだけでなく今後の俺たちもお金の心配はしなくてよさそうだ。
「シュウ様とリオ様の考えられたものは、このラシアーユ商会が全面的にバックアップさせていただきますので」
特許の申請とそのお金の振り込みのためには、商業ギルドに登録が必要とのことだ。そっちもフルールさんでやってくれるということで、俺たちはギルド登録の書類に名前だけ記載をしておいた。
「あとはお願いしますね」
「お任せください」
最初は俺たちの出す素材にドン引きしていたフルールさん含めた商会の人たちだったが、今では俺たちが提供したものをお金に換えることに貪欲になっている。ある程度現金で買い取れるものは買い取ってもらったが、高価すぎる素材を提供したせいか、ほとんどがオークション行きとなった。
「そういえば、オークションは商都で行われるんですが参加されますか? よろしければギルド登録と同時にオークション参加の申請もしておきますが」
「参加できるんですか?」
「はい。出品者はオークションに参加できるようになっていますが、申請は必要ですので。もちろん他の参加者には、商品の出品者だということは伏せられますのでご安心ください」
なるほど。オークションという響きはすごく惹かれる言葉ではある。というかすごく気になる。
「商都というと、ここから北にある街でしたっけ?」
莉緒がフルールさんに尋ねた言葉でハッとする。そういえばどこにあるか知らなかったな。元々俺たちは南にある海を目指していたけど、急いでいるわけでもない。
「ええ、そうですね。ここからだと馬車で二日の距離になります」
「それくらいなら行ってみようか」
「うん。私も気になるし」
莉緒と顔を見合わせて頷き合う。オークションに参加できるとなればテンションも上がるというもんだ。何か掘り出し物に出会えるかもしれない。
「わかりました。では参加の申請もさせていただきます。あと、この機会にと言ってはなんですが、出品する商品の輸送と護衛を依頼させていただいてもよろしいでしょうか?」
「輸送と護衛ですか?」
「はい。お二人の実力があれば、こちらとしても安心できますので」
輸送と言えば俺たちの異空間ボックスを使いたいってことだろうな。自分で出品するものを自分で運ぶとなれば否はない。
にしても護衛か。
冒険者ギルドマスターから冒険者のランクをDにしてもらったときのことを思い出していた。
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