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アフター
龍の騎士と龍を統べる王
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グラシャス領の敗戦から数日後。
王都ユールディアの王宮内にて。
若き龍牙騎士リューイ=イルスガンドは慌てた様子で廊下内を走っていた。その様子に、廊下ですれ違う人は皆、驚いた様子で彼を見返すのだった。
リューイは国王代理カリオスより直々に呼び出しを受け、謁見室へと向かっていた。
グラシャス領で第1王子派が大敗北を喫したという報を耳にしたこのタイミングで、何をおいても優先して大急ぎで来いという、いかにもカリオスらしい命令は、リューイにとてつもなく嫌な予感を抱かせた。
「くそ……くそ……っ! リアラっ……!」
この緒戦における大敗北は、とてつもなく大きな意味を持っていることは、リューイにも分かっている。勿論悪い意味で、だ。
必ずリアラを救うという決意――例えアルマイト王家を敵に回してでさえ――を表明したリューイを呼び出すということは、この大敗北に重ねるように、リアラの身に何か悪いことがあったのではないだろうか。そんな不吉な予感をせずにはいられない。
最悪に最悪が重なるとはこういうことか。これ以上の悪い状況は無いと思っていたのに、どんどん状況は最悪の底を突き抜けていく。
「申し訳ありませんっ! 遅れましたっ!」
まるでドアを蹴破るような勢いで、激しく謁見室のドアを開けるリューイ。汗を流し、必死な形相をしながら怒鳴るように挨拶をする彼に、中にいたカリオスとコウメイは驚いたような表情をして振り向く。
「お、おおう。相変わらず元気そうで何よりだ」
「ほら、カリオス殿下が何をおいてもすぐに来いなんて言うから。彼は真面目なんですよ」
――と、グラシャス領の大敗北の報に揺れる王宮内において、拍子抜けするほどに落ち着いている2人の様子に、リューイは我が目を疑った。
「……あれ?」
ひょっとして、ここまで焦っている自分がおかしいのかな、とすら思う程だった。
そんなリューイの様子に気づくことなく、カリオスが一方的に話す。
「グラシャス領の戦いには参加させられなくて済まなかったな。いかんせん時間が無くて、とてもお前を向かわせる余裕が無かったんだ。ただ、今後は期待しているぞ。その話がしたくて呼び出したんだが――」
「ち、ちょっと待って下さい!」
リューイが耳にした限りでは、こんなに落ち着いていられる程の状況ではないはずだ。グラシャス領を奪われたことはこちらにとって大きな痛手のはず。もっと慌てて、何かしらの対応を急がなければならないのに――
カリオスとコウメイは、これ以上ないくらいに平常運転な顔つきだった。
「あ、あー……そうかそうか。グラシャス領を奪われたってことで焦ってんのか。ちょうどいい。今、コウメイに“戦果”のまとめを報告させているところだ。一緒に聞いていけ」
「戦果……?」
それは妙な話だ。
ただただ領地を奪われただけで、あの戦いで第1王子派が上げた戦果など何もないはずなのに。
しかし、次のコウメイの言葉で、リューイはその意図を察する。
「ではグラシャス領の戦いにおける両軍の被害ですが……第2王女派の損害推測は3万程――ほとんどが龍の爪の奴隷兵士とはいえ、6割は削れたことになりますね。対してこちら側の被害は……えーと、兵士が2000程度。非戦闘員の領民に関しては100を切っていますね。あの新白薔薇騎士団を相手に、ジュリアス将軍はよくやってくれました」
「――あ……」
資料を片手に持ちながら報告するコウメイの姿を見て、リューイは虚を突かれたような顔つきになる。
そもそもこの戦争の目的は何だったのか?
これは領地の奪い合いでなどではない。これは第2王女リリライト、そして悪辣なるグスタフの「異能」にかかった人間を救うための戦いだったはずだ。
それならば、領地を奪われた程度のことが、どうして「大敗北」となるのだろうか。
「まともに戦うことなく領地を奪われるのは屈辱でしたでしょうに、グラシャス侯爵もよく従ってくれました。そして、そのグラシャス侯爵を説得し、追撃を受けながら戦う恰好となる撤退戦にも関わらず、ここまで味方の被害を減らしつつ相手に損害を与えたのは、現場の指揮を執ったジュリアス将軍の功績が大きいでしょうね。やっぱり彼は相当に優秀だ。おかげさまで戦果は上々。緒戦はこちらの大勝利と言ってもいいでしょう」
その割には、どこか浮かない表情のコウメイを怪訝に思い、カリオスは1つ問いかける。
「今回の戦闘――元帥のお前的には何点だ?」
「そうですね。60……いやまあ、さすがに70点くらいはつけてもいいかな」
「大勝利って宣う割には低いな……あとの30点は何だ?」
玉座のひじ掛けに肘をたて、握った拳の上に顎を載せたカリオスが聞く。コウメイは言い淀むこともなく、流れるような口調で答える。
「言い訳ですけど……さすがに、相手が領内に入った途端に真っ先に領民の虐殺行為に走ってくるとは思いませんでした。これはさすがに予想外で、100人は切ったといっても、犠牲になってしまった領民を出してしまいました。逃げ遅れた人達はひどいことになっているという話も聞いています。俺が、敵の非道さを甘く見ないで、ちゃんと予想していれば、もっと被害を減らすことも出来たのに――っていう後悔です」
口調は柔らかく、表情にも暗いところはない。いつもの様子でそう言うコウメイに、カリオスは大きくため息を吐く。
「俺が言えた口じゃねえけど、いくら元帥だからって全部を抱え込むなよ。あんな無茶苦茶な行動、誰が予想出来るんだよ。それに、多分お前がいなかったら、俺達は領地を奪われまいとまともに相手して、それ以上の被害者を出していたよ。お前はよくやったさ。大勝利っていうなら、もっと胸を張れ。元帥がそんなんじゃ、全体の士気に関わる」
カリオスにそう言われて、コウメイはそれでもあまり表情の変化を見せなかったが、それでもいくらかは肩が軽くなっただろうか。
コウメイはリューイへと向きかえって、彼に対して補足を伝える。
「土地なんて奪われても奪い返せばいい。いくらでも取り返しがつくけど、人は失ったら絶対に取り戻せない。ずっと奴隷を消耗品のように使ってきたフェスティアは、その辺を正しく理解できていない。今回相手が失った3万の兵士――いくら奴隷兵士だとはいえ、それだけの数を失った意味をフェスティアが理解出来ていなければ、この戦争はもはや先が見えているさ」
戦争と言えば領地と資源の奪い合い。そのために王族や貴族は、いくらでも奴隷を消耗品のように使い潰す――リューイが個人的にそのことを正しいかどうか思っていることは別として、それがこの世界の多くの人が考える常識だった。
特に組織を指揮する立場の人間で、このコウメイのような考えを持つ人間は、皆無とまでは言わなくとも、希少であろう。
「フェスティアが、龍牙騎士団を撃退して領地を奪ったことに満足していたら。もっというなら自分達の損害を気にせずに、この戦いを大勝利と思っているのであれば、こっちの思うつぼだよ。俺としては、相手に華を持たせておいて、こっちはしっかり実を取れているという、策士同士の戦いとしては最高の形で勝たせてもらった」
そう言うコウメイは、今度は勝ち誇るような顔をしていた。反省すべき点もありながら、しっかりと勝利を確信するコウメイは、まさに全軍を統括する元帥に相応しい態度であった。
そんなコウメイを、リューイは不思議そうな顔で見つめる。
「どうして、コウメイ元帥閣下はそんな考えを?」
「あー、元帥閣下なんて止めてくれぇ。せめて、こんな時くらいは「さん」にしてくれよ」
と、前置きしてから、彼の問いに答える。
「国を作るのは、王でも土地でもない。人だよ。これは何も、人命を大事にっていう倫理的な話だけじゃない。数ある資源の中でも、人という資源は何よりも大切なんだ。今回、ジュリアス将軍に命を救われた領民達は、これから一層国のために尽くそうとしてくれるはずだ。非戦闘員とはいえ、彼らは彼らの出来ることーー例えば農業で糧食を作ってくれたり、壊れた建物を直してくれたりするかもしれない。それこそ今回のことをきっかけに兵士に志願する人もいるかもしれない。そういう1人1人の人間が、国を作っているんだ。それは、平民だろうが奴隷だろうが関係ないことは分かるだろう?
だから、今回の戦いで多くの領民を保護出来たことは、聖アルマイトの大切な資源を守れたってことになるし、相手に大きな損害を与えられたことは、相手の貴重な資源を大きく削れたことになる。勿論領地だって大きい資源だけど、これはさっき言ったように、取り返せるものだ。だったら今回は、失ったら取り戻せない人を優先させて、後で奪い返せる土地は相手にくれてやろうってだけの話だ。シンプルに言えば、優先順位は何か、って話さ。フェスティアはそこを見誤っている。大した敵じゃあないよ」
「な、面白いだろう。元帥やらせて正解だったぜ」
なるほど、確かに…と、リューイは納得する。その話を聞けば、領地を奪われたことなど大したことではないように思えてくる。
「ただ実は取ったといっても、この結果では他の諸国が黙っていないのでは? 僕らがどう考えようと、あれだけ絶対防衛線と言いながら領地を奪われたのは、世間的には第1王子派がただ負けたっていう認識ですよ。このままでは他国から攻められてしまいますよ。そうなったら第2王女派との戦いどころでは……」
コウメイの意図は理解しつつも、それでも不安を禁じ得ないリューイ。実際、世間は今回の戦いは第1王子派の大敗北と噂しているのだ。
そんな心配性なリューイに、いつも通りの軽々しい態度のコウメイは頼もしかった。
「リューイ君、こっちがわざわざ「大決戦」とか「絶対防衛戦」とか仰々しく言っていたのは、相手にそう思わせるためさ。相手に華を持たせるために、こっちも何としても領地を守る体に見せたかっただけだ。領地は奪われたんじゃなくて、くれたやったんだよ。さっきも言った通り、グラシャス領の戦いはこちらの大勝利だ。世間的にどう見られようが、それが変わらないのも事実だ。安心して大丈夫だ」
「でも--」
安心しろと言われても、その言葉だけでは安心出来ないの無理は無いだろう。リューイがコウメイのことを信用していないというわけではないが、リューイがコウメイに食い下がろうとすると
「ここからが正念場だ」
玉座に座るカリオスが自身の膝をポンと叩いて、力強くそう言う。
「相手に華を持たせると決めた以上、相応のリスクを背負うことは覚悟しているさ。そのリスクが、他国の動きだ。王都防衛については、クルーズに全責任を持たせて対応に当たらせている。『堅鱗』の見せどころだな。王都の国民は必ず守らせるさ」
こと防衛線に限定すれば、ルエールすら超える才能の持ち主と評価される新龍牙騎士団長クルーズ=ルメイラの2つ名は『堅鱗』――その名が示す通り、龍の鱗のような堅実で堅牢な守備戦を得意とするクルーズは、今回の内乱において王都防衛の要である。
「勿論、攻撃されるのを座して待つだけじゃない。第2王女派との戦いと並行しながら、諸国との外交戦略も必要になってくる。これも戦い――戦いにならないための戦いも必要だ。やることは山積みだ。でも、やり遂げるんだろう?」
コウメイに見据えられて問いかけられるリューイ。その言葉で、ようやくリューイがここに呼び出されたという、その要件に触れるのだと察する。
「グラシャス領では、新白薔薇騎士団長リアラ=リンデブルグが悪鬼羅刹の如く、龍牙騎士団を蹴散らしたそうだ。おそらくこちらの被害の大半は彼女に因るものだろう。……お前は、その彼女に勝つんだろう? 救ってみせる、それでいいな」
そしてカリオスも、リューイの瞳を真っ直ぐと射抜くように見てくる。
国王代理と新人騎士――身分の違いこそあれど、お互いに共通しているのは、最愛の人間を悪辣なる悪魔に凌辱され、狂わされ、傀儡とされ、今この大陸に死と絶望をまき散らす張本人とされていることだ。
リューイは力強くうなずく。
「良い覚悟だ。なに、安心しろ。小難しい一切のことは全部コウメイが考える。そのためにコウメイを騎士から元帥にしたんだ。そして騎士のままのお前のやることは、ただの1つだけだ。戦え。戦って愛する者を救え。それだけだ」
それは、カリオス自身にも同じことが言える。
リューイがリアラのことを救うために戦い続けるのと同様に、カリオスもまたリリライトを救うために戦い続けるのだ。
「――御意」
思いを同じくする偉大なる国王代理に、リューイは最敬礼を持って、力強い意志と共に下された命令に、たった一言の言葉に己の意志の全てを込めて首肯する。
「緒戦は終わったが、第2王女派との戦いはこれからいよいよ本格的に始まる。お前も最前線に行くことになる。リアラ=リンデブルグのこともあるにはあるが、それだけじゃあない。俺もコウメイも、お前には期待しているんだ。実力も経験も未熟、才能も平凡のはずだが……俺達は、お前のその心の強さに期待している」
常識を外れたグスタフの「異能」は人の心を狂わす。
ならば対抗出来るのは、やはり心の強さ。強き心を持った人間こそが、グスタフの「異能」を跳ね返し、その毒牙にかかった者を救うことが出来ると――!
ミュリヌス領の戦いで、新人騎士ながら、次々に悪夢のようなことが起こる現場で、恐れ戸惑うことなく必死に動き、瀕死の負傷を負ったルエールを連れ帰ってきたリューイ。
それだけではない。あの“勇者”特性で、ディードすらたじろかせた恐怖を振りまき、実力も到底及ばないリアラにすら一歩も退かなかったリューイ。
必ず戻ってくる。必ず助け出す。
あの時リアラにそう誓ったリューイの言葉は、常識や理屈を覆す程にカリオスとコウメイ、そしてあの時その場にいた全員の心を強く揺さぶったのである。
その、心の強さと勇気で。
「だから、今日からお前はクビだ。龍牙騎士を解任する」
「――は?」
あまりに話の流れが無さすぎるカリオスの言葉には、さすがのリューイも目を丸くせずにはいられなかった。
コウメイが呆れたように、横から口をはさむ。
「貴方はそう言い方をするから勘違いされることが多いんですよ。あの演説だって、もう少し言い方が……ぶつぶつ……」
ここぞとばかりに愚痴をこぼすコウメイだったが、カリオスは一切無視。
真に伝えたかったことを、ようやく言葉にして紡ぐ。
「リューイ=イルスガンド。今この時をもって、お前を龍牙騎士団から王下直轄部隊へ転属させる。そして、龍騎士としての叙勲を与える」
――聖アルマイトにおいて「龍」という名は格別の意味を持つ。
かつて人類が魔王に支配されていた時代、「龍」という超常の存在が、当時のアルマイト家の人間を守護していたという伝説があった。そしていつのころからか「龍」という言葉は、聖アルマイトの力の象徴ーー守護神としての意味をもつようになった。代々の国王やそれに準じる王族の人間が従える”龍”牙騎士団の名もそこからきている。
そして、たった今リューイが任命された龍騎士――それは、龍牙騎士とは一線を画する騎士。「龍の牙」ではない、龍そのものを意味するその称号は……
「知っているな? かつて、あのルエールすら身分不相応だと固辞した称号だ。それをお前に与える。言っておくが、お前に関しては拒否を認めねぇからな」
相変わらずの横暴な言葉だったが、その強引さが何よりもカリオスからリューイにかける期待の大きさが現れていた。
その言葉の重みは、当たり前だがリューイには重すぎて、ごくりと唾を飲み込む。
「充分自覚しているとは思うが、お前はルエールなんかとは比べるべくもない。はっきりいって平均点が良い所だ。今の実力じゃあ、龍の騎士なんぞに到底及ばない。だから、強くなれ。これからの戦いの中で研鑽し、龍の名に相応しい強さを備えた騎士になれ。そうしないと、お前の最愛の人間を救うなんて、到底不可能だ。いいな。ここに誓え。龍の名の下に、強くなると。愛する者を必ず救うと」
「――」
強いカリオスの言葉。それが吸い込まれるようにリューイの胸に響いてきて、咄嗟に返事が出来ない。
あまりに強すぎる期待。責任。
しかし、それはリューイの強い思いにカリオスが応えてくれた結果だ。
愛するリアラを救いたいというリューイの強い意志を、心を認めてくれたカリオスが、リューイがその思いを果たすための道を作ったのだ。
未熟極まりない、この自分に。
「カリオス=ド=アルマイト国王代理に誓います。リューイ=イルスガンドは、ここに龍騎士の叙勲を受け、それに相応しい強き騎士になることを。そして、意志を遂げて見せます。自分が愛する人間と、『純白の姫』リリライト=リ=アルマイト王女殿下を必ず救い出すと、ここに誓います」
「――その言葉に嘘はないな?」
念を押すカリオスの言葉にリューイがうなずくと、連れてカリオスとコウメイの2人も満足そうにうなずいた。
ここに、長年空位だった聖アルマイト王国の龍騎士が誕生したのだった。
「安心しろ。いくら俺でも、配下だけにそんな重大な責任と覚悟を押し付けることはしない。俺も、俺が背負う覚悟を伝えよう」
反逆者リリライトを討つことと最愛のリリを救う――矛盾した、しかしそれでいて、他の誰にも成し得ることの出来なかった、強すぎる覚悟を決めた国王代理カリオス=ド=アルマイト。
愛するリアラを救うリューイの責任と覚悟が、龍の名に相応しき騎士となることであれば。
カリオスにとってのそれは。
「殿下ご自身が、もはや龍そのものになるつもりですか? グスタフという超常の悪魔を相手に、殿下も人間の枠組みを超えると?」
龍の騎士を配下にするという存在があるのならば、それはもはや龍そのものということか。
国王代理をからかうような不遜なコウメイの物言いに、しかしカリオスも笑う。
「ばーか。俺は人間だよ。国を代表する人間なのに、可愛い妹を助けたいって甘さをどうしたって捨てきれない、どこまでいっても愚かで情けない人間だ。だから俺は――」
その言葉は、代々の聖アルマイト国王で、果たして口にした者がいるのだろうか。
コウメイが主君たるカリオスに不遜な態度を取るように、カリオスもまた上位の立場である龍へ不遜な態度を取る。主従似たりよったりである。
しかし、それは不知や未熟さからくる愚かさではない。その存在がどれだけ強く、気高く、崇高であるかを正しく理解した上での言葉。本当の強さを持った者しか、口にしか出来ない宣言だ。
「俺は龍をも従える王になってやる。龍を統べる王だ」
それは、突如この世界に舞い現れた悪辣非道なる最悪の悪魔への宣戦布告でもある。
龍の騎士と龍を統べる王の戦いが始まる。
To be continued...
NEXT story is... “龍の騎士と龍を統べる王”
王都ユールディアの王宮内にて。
若き龍牙騎士リューイ=イルスガンドは慌てた様子で廊下内を走っていた。その様子に、廊下ですれ違う人は皆、驚いた様子で彼を見返すのだった。
リューイは国王代理カリオスより直々に呼び出しを受け、謁見室へと向かっていた。
グラシャス領で第1王子派が大敗北を喫したという報を耳にしたこのタイミングで、何をおいても優先して大急ぎで来いという、いかにもカリオスらしい命令は、リューイにとてつもなく嫌な予感を抱かせた。
「くそ……くそ……っ! リアラっ……!」
この緒戦における大敗北は、とてつもなく大きな意味を持っていることは、リューイにも分かっている。勿論悪い意味で、だ。
必ずリアラを救うという決意――例えアルマイト王家を敵に回してでさえ――を表明したリューイを呼び出すということは、この大敗北に重ねるように、リアラの身に何か悪いことがあったのではないだろうか。そんな不吉な予感をせずにはいられない。
最悪に最悪が重なるとはこういうことか。これ以上の悪い状況は無いと思っていたのに、どんどん状況は最悪の底を突き抜けていく。
「申し訳ありませんっ! 遅れましたっ!」
まるでドアを蹴破るような勢いで、激しく謁見室のドアを開けるリューイ。汗を流し、必死な形相をしながら怒鳴るように挨拶をする彼に、中にいたカリオスとコウメイは驚いたような表情をして振り向く。
「お、おおう。相変わらず元気そうで何よりだ」
「ほら、カリオス殿下が何をおいてもすぐに来いなんて言うから。彼は真面目なんですよ」
――と、グラシャス領の大敗北の報に揺れる王宮内において、拍子抜けするほどに落ち着いている2人の様子に、リューイは我が目を疑った。
「……あれ?」
ひょっとして、ここまで焦っている自分がおかしいのかな、とすら思う程だった。
そんなリューイの様子に気づくことなく、カリオスが一方的に話す。
「グラシャス領の戦いには参加させられなくて済まなかったな。いかんせん時間が無くて、とてもお前を向かわせる余裕が無かったんだ。ただ、今後は期待しているぞ。その話がしたくて呼び出したんだが――」
「ち、ちょっと待って下さい!」
リューイが耳にした限りでは、こんなに落ち着いていられる程の状況ではないはずだ。グラシャス領を奪われたことはこちらにとって大きな痛手のはず。もっと慌てて、何かしらの対応を急がなければならないのに――
カリオスとコウメイは、これ以上ないくらいに平常運転な顔つきだった。
「あ、あー……そうかそうか。グラシャス領を奪われたってことで焦ってんのか。ちょうどいい。今、コウメイに“戦果”のまとめを報告させているところだ。一緒に聞いていけ」
「戦果……?」
それは妙な話だ。
ただただ領地を奪われただけで、あの戦いで第1王子派が上げた戦果など何もないはずなのに。
しかし、次のコウメイの言葉で、リューイはその意図を察する。
「ではグラシャス領の戦いにおける両軍の被害ですが……第2王女派の損害推測は3万程――ほとんどが龍の爪の奴隷兵士とはいえ、6割は削れたことになりますね。対してこちら側の被害は……えーと、兵士が2000程度。非戦闘員の領民に関しては100を切っていますね。あの新白薔薇騎士団を相手に、ジュリアス将軍はよくやってくれました」
「――あ……」
資料を片手に持ちながら報告するコウメイの姿を見て、リューイは虚を突かれたような顔つきになる。
そもそもこの戦争の目的は何だったのか?
これは領地の奪い合いでなどではない。これは第2王女リリライト、そして悪辣なるグスタフの「異能」にかかった人間を救うための戦いだったはずだ。
それならば、領地を奪われた程度のことが、どうして「大敗北」となるのだろうか。
「まともに戦うことなく領地を奪われるのは屈辱でしたでしょうに、グラシャス侯爵もよく従ってくれました。そして、そのグラシャス侯爵を説得し、追撃を受けながら戦う恰好となる撤退戦にも関わらず、ここまで味方の被害を減らしつつ相手に損害を与えたのは、現場の指揮を執ったジュリアス将軍の功績が大きいでしょうね。やっぱり彼は相当に優秀だ。おかげさまで戦果は上々。緒戦はこちらの大勝利と言ってもいいでしょう」
その割には、どこか浮かない表情のコウメイを怪訝に思い、カリオスは1つ問いかける。
「今回の戦闘――元帥のお前的には何点だ?」
「そうですね。60……いやまあ、さすがに70点くらいはつけてもいいかな」
「大勝利って宣う割には低いな……あとの30点は何だ?」
玉座のひじ掛けに肘をたて、握った拳の上に顎を載せたカリオスが聞く。コウメイは言い淀むこともなく、流れるような口調で答える。
「言い訳ですけど……さすがに、相手が領内に入った途端に真っ先に領民の虐殺行為に走ってくるとは思いませんでした。これはさすがに予想外で、100人は切ったといっても、犠牲になってしまった領民を出してしまいました。逃げ遅れた人達はひどいことになっているという話も聞いています。俺が、敵の非道さを甘く見ないで、ちゃんと予想していれば、もっと被害を減らすことも出来たのに――っていう後悔です」
口調は柔らかく、表情にも暗いところはない。いつもの様子でそう言うコウメイに、カリオスは大きくため息を吐く。
「俺が言えた口じゃねえけど、いくら元帥だからって全部を抱え込むなよ。あんな無茶苦茶な行動、誰が予想出来るんだよ。それに、多分お前がいなかったら、俺達は領地を奪われまいとまともに相手して、それ以上の被害者を出していたよ。お前はよくやったさ。大勝利っていうなら、もっと胸を張れ。元帥がそんなんじゃ、全体の士気に関わる」
カリオスにそう言われて、コウメイはそれでもあまり表情の変化を見せなかったが、それでもいくらかは肩が軽くなっただろうか。
コウメイはリューイへと向きかえって、彼に対して補足を伝える。
「土地なんて奪われても奪い返せばいい。いくらでも取り返しがつくけど、人は失ったら絶対に取り戻せない。ずっと奴隷を消耗品のように使ってきたフェスティアは、その辺を正しく理解できていない。今回相手が失った3万の兵士――いくら奴隷兵士だとはいえ、それだけの数を失った意味をフェスティアが理解出来ていなければ、この戦争はもはや先が見えているさ」
戦争と言えば領地と資源の奪い合い。そのために王族や貴族は、いくらでも奴隷を消耗品のように使い潰す――リューイが個人的にそのことを正しいかどうか思っていることは別として、それがこの世界の多くの人が考える常識だった。
特に組織を指揮する立場の人間で、このコウメイのような考えを持つ人間は、皆無とまでは言わなくとも、希少であろう。
「フェスティアが、龍牙騎士団を撃退して領地を奪ったことに満足していたら。もっというなら自分達の損害を気にせずに、この戦いを大勝利と思っているのであれば、こっちの思うつぼだよ。俺としては、相手に華を持たせておいて、こっちはしっかり実を取れているという、策士同士の戦いとしては最高の形で勝たせてもらった」
そう言うコウメイは、今度は勝ち誇るような顔をしていた。反省すべき点もありながら、しっかりと勝利を確信するコウメイは、まさに全軍を統括する元帥に相応しい態度であった。
そんなコウメイを、リューイは不思議そうな顔で見つめる。
「どうして、コウメイ元帥閣下はそんな考えを?」
「あー、元帥閣下なんて止めてくれぇ。せめて、こんな時くらいは「さん」にしてくれよ」
と、前置きしてから、彼の問いに答える。
「国を作るのは、王でも土地でもない。人だよ。これは何も、人命を大事にっていう倫理的な話だけじゃない。数ある資源の中でも、人という資源は何よりも大切なんだ。今回、ジュリアス将軍に命を救われた領民達は、これから一層国のために尽くそうとしてくれるはずだ。非戦闘員とはいえ、彼らは彼らの出来ることーー例えば農業で糧食を作ってくれたり、壊れた建物を直してくれたりするかもしれない。それこそ今回のことをきっかけに兵士に志願する人もいるかもしれない。そういう1人1人の人間が、国を作っているんだ。それは、平民だろうが奴隷だろうが関係ないことは分かるだろう?
だから、今回の戦いで多くの領民を保護出来たことは、聖アルマイトの大切な資源を守れたってことになるし、相手に大きな損害を与えられたことは、相手の貴重な資源を大きく削れたことになる。勿論領地だって大きい資源だけど、これはさっき言ったように、取り返せるものだ。だったら今回は、失ったら取り戻せない人を優先させて、後で奪い返せる土地は相手にくれてやろうってだけの話だ。シンプルに言えば、優先順位は何か、って話さ。フェスティアはそこを見誤っている。大した敵じゃあないよ」
「な、面白いだろう。元帥やらせて正解だったぜ」
なるほど、確かに…と、リューイは納得する。その話を聞けば、領地を奪われたことなど大したことではないように思えてくる。
「ただ実は取ったといっても、この結果では他の諸国が黙っていないのでは? 僕らがどう考えようと、あれだけ絶対防衛線と言いながら領地を奪われたのは、世間的には第1王子派がただ負けたっていう認識ですよ。このままでは他国から攻められてしまいますよ。そうなったら第2王女派との戦いどころでは……」
コウメイの意図は理解しつつも、それでも不安を禁じ得ないリューイ。実際、世間は今回の戦いは第1王子派の大敗北と噂しているのだ。
そんな心配性なリューイに、いつも通りの軽々しい態度のコウメイは頼もしかった。
「リューイ君、こっちがわざわざ「大決戦」とか「絶対防衛戦」とか仰々しく言っていたのは、相手にそう思わせるためさ。相手に華を持たせるために、こっちも何としても領地を守る体に見せたかっただけだ。領地は奪われたんじゃなくて、くれたやったんだよ。さっきも言った通り、グラシャス領の戦いはこちらの大勝利だ。世間的にどう見られようが、それが変わらないのも事実だ。安心して大丈夫だ」
「でも--」
安心しろと言われても、その言葉だけでは安心出来ないの無理は無いだろう。リューイがコウメイのことを信用していないというわけではないが、リューイがコウメイに食い下がろうとすると
「ここからが正念場だ」
玉座に座るカリオスが自身の膝をポンと叩いて、力強くそう言う。
「相手に華を持たせると決めた以上、相応のリスクを背負うことは覚悟しているさ。そのリスクが、他国の動きだ。王都防衛については、クルーズに全責任を持たせて対応に当たらせている。『堅鱗』の見せどころだな。王都の国民は必ず守らせるさ」
こと防衛線に限定すれば、ルエールすら超える才能の持ち主と評価される新龍牙騎士団長クルーズ=ルメイラの2つ名は『堅鱗』――その名が示す通り、龍の鱗のような堅実で堅牢な守備戦を得意とするクルーズは、今回の内乱において王都防衛の要である。
「勿論、攻撃されるのを座して待つだけじゃない。第2王女派との戦いと並行しながら、諸国との外交戦略も必要になってくる。これも戦い――戦いにならないための戦いも必要だ。やることは山積みだ。でも、やり遂げるんだろう?」
コウメイに見据えられて問いかけられるリューイ。その言葉で、ようやくリューイがここに呼び出されたという、その要件に触れるのだと察する。
「グラシャス領では、新白薔薇騎士団長リアラ=リンデブルグが悪鬼羅刹の如く、龍牙騎士団を蹴散らしたそうだ。おそらくこちらの被害の大半は彼女に因るものだろう。……お前は、その彼女に勝つんだろう? 救ってみせる、それでいいな」
そしてカリオスも、リューイの瞳を真っ直ぐと射抜くように見てくる。
国王代理と新人騎士――身分の違いこそあれど、お互いに共通しているのは、最愛の人間を悪辣なる悪魔に凌辱され、狂わされ、傀儡とされ、今この大陸に死と絶望をまき散らす張本人とされていることだ。
リューイは力強くうなずく。
「良い覚悟だ。なに、安心しろ。小難しい一切のことは全部コウメイが考える。そのためにコウメイを騎士から元帥にしたんだ。そして騎士のままのお前のやることは、ただの1つだけだ。戦え。戦って愛する者を救え。それだけだ」
それは、カリオス自身にも同じことが言える。
リューイがリアラのことを救うために戦い続けるのと同様に、カリオスもまたリリライトを救うために戦い続けるのだ。
「――御意」
思いを同じくする偉大なる国王代理に、リューイは最敬礼を持って、力強い意志と共に下された命令に、たった一言の言葉に己の意志の全てを込めて首肯する。
「緒戦は終わったが、第2王女派との戦いはこれからいよいよ本格的に始まる。お前も最前線に行くことになる。リアラ=リンデブルグのこともあるにはあるが、それだけじゃあない。俺もコウメイも、お前には期待しているんだ。実力も経験も未熟、才能も平凡のはずだが……俺達は、お前のその心の強さに期待している」
常識を外れたグスタフの「異能」は人の心を狂わす。
ならば対抗出来るのは、やはり心の強さ。強き心を持った人間こそが、グスタフの「異能」を跳ね返し、その毒牙にかかった者を救うことが出来ると――!
ミュリヌス領の戦いで、新人騎士ながら、次々に悪夢のようなことが起こる現場で、恐れ戸惑うことなく必死に動き、瀕死の負傷を負ったルエールを連れ帰ってきたリューイ。
それだけではない。あの“勇者”特性で、ディードすらたじろかせた恐怖を振りまき、実力も到底及ばないリアラにすら一歩も退かなかったリューイ。
必ず戻ってくる。必ず助け出す。
あの時リアラにそう誓ったリューイの言葉は、常識や理屈を覆す程にカリオスとコウメイ、そしてあの時その場にいた全員の心を強く揺さぶったのである。
その、心の強さと勇気で。
「だから、今日からお前はクビだ。龍牙騎士を解任する」
「――は?」
あまりに話の流れが無さすぎるカリオスの言葉には、さすがのリューイも目を丸くせずにはいられなかった。
コウメイが呆れたように、横から口をはさむ。
「貴方はそう言い方をするから勘違いされることが多いんですよ。あの演説だって、もう少し言い方が……ぶつぶつ……」
ここぞとばかりに愚痴をこぼすコウメイだったが、カリオスは一切無視。
真に伝えたかったことを、ようやく言葉にして紡ぐ。
「リューイ=イルスガンド。今この時をもって、お前を龍牙騎士団から王下直轄部隊へ転属させる。そして、龍騎士としての叙勲を与える」
――聖アルマイトにおいて「龍」という名は格別の意味を持つ。
かつて人類が魔王に支配されていた時代、「龍」という超常の存在が、当時のアルマイト家の人間を守護していたという伝説があった。そしていつのころからか「龍」という言葉は、聖アルマイトの力の象徴ーー守護神としての意味をもつようになった。代々の国王やそれに準じる王族の人間が従える”龍”牙騎士団の名もそこからきている。
そして、たった今リューイが任命された龍騎士――それは、龍牙騎士とは一線を画する騎士。「龍の牙」ではない、龍そのものを意味するその称号は……
「知っているな? かつて、あのルエールすら身分不相応だと固辞した称号だ。それをお前に与える。言っておくが、お前に関しては拒否を認めねぇからな」
相変わらずの横暴な言葉だったが、その強引さが何よりもカリオスからリューイにかける期待の大きさが現れていた。
その言葉の重みは、当たり前だがリューイには重すぎて、ごくりと唾を飲み込む。
「充分自覚しているとは思うが、お前はルエールなんかとは比べるべくもない。はっきりいって平均点が良い所だ。今の実力じゃあ、龍の騎士なんぞに到底及ばない。だから、強くなれ。これからの戦いの中で研鑽し、龍の名に相応しい強さを備えた騎士になれ。そうしないと、お前の最愛の人間を救うなんて、到底不可能だ。いいな。ここに誓え。龍の名の下に、強くなると。愛する者を必ず救うと」
「――」
強いカリオスの言葉。それが吸い込まれるようにリューイの胸に響いてきて、咄嗟に返事が出来ない。
あまりに強すぎる期待。責任。
しかし、それはリューイの強い思いにカリオスが応えてくれた結果だ。
愛するリアラを救いたいというリューイの強い意志を、心を認めてくれたカリオスが、リューイがその思いを果たすための道を作ったのだ。
未熟極まりない、この自分に。
「カリオス=ド=アルマイト国王代理に誓います。リューイ=イルスガンドは、ここに龍騎士の叙勲を受け、それに相応しい強き騎士になることを。そして、意志を遂げて見せます。自分が愛する人間と、『純白の姫』リリライト=リ=アルマイト王女殿下を必ず救い出すと、ここに誓います」
「――その言葉に嘘はないな?」
念を押すカリオスの言葉にリューイがうなずくと、連れてカリオスとコウメイの2人も満足そうにうなずいた。
ここに、長年空位だった聖アルマイト王国の龍騎士が誕生したのだった。
「安心しろ。いくら俺でも、配下だけにそんな重大な責任と覚悟を押し付けることはしない。俺も、俺が背負う覚悟を伝えよう」
反逆者リリライトを討つことと最愛のリリを救う――矛盾した、しかしそれでいて、他の誰にも成し得ることの出来なかった、強すぎる覚悟を決めた国王代理カリオス=ド=アルマイト。
愛するリアラを救うリューイの責任と覚悟が、龍の名に相応しき騎士となることであれば。
カリオスにとってのそれは。
「殿下ご自身が、もはや龍そのものになるつもりですか? グスタフという超常の悪魔を相手に、殿下も人間の枠組みを超えると?」
龍の騎士を配下にするという存在があるのならば、それはもはや龍そのものということか。
国王代理をからかうような不遜なコウメイの物言いに、しかしカリオスも笑う。
「ばーか。俺は人間だよ。国を代表する人間なのに、可愛い妹を助けたいって甘さをどうしたって捨てきれない、どこまでいっても愚かで情けない人間だ。だから俺は――」
その言葉は、代々の聖アルマイト国王で、果たして口にした者がいるのだろうか。
コウメイが主君たるカリオスに不遜な態度を取るように、カリオスもまた上位の立場である龍へ不遜な態度を取る。主従似たりよったりである。
しかし、それは不知や未熟さからくる愚かさではない。その存在がどれだけ強く、気高く、崇高であるかを正しく理解した上での言葉。本当の強さを持った者しか、口にしか出来ない宣言だ。
「俺は龍をも従える王になってやる。龍を統べる王だ」
それは、突如この世界に舞い現れた悪辣非道なる最悪の悪魔への宣戦布告でもある。
龍の騎士と龍を統べる王の戦いが始まる。
To be continued...
NEXT story is... “龍の騎士と龍を統べる王”
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