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最終章 エピローグ編

第140話 大決戦

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 聖アルマイト王国第2王女の反乱。

 第1王子派と第2王女派の、開戦の狼煙を上げる場所となったのは、聖アルマイト西部に位置するグラシャス領だった。

 第1王子派の戦力は、王都より派遣された龍牙騎士団将軍ジュリアス=ジャスティン麾下の部隊3万に加えて領主クラフトス=グラシャス侯爵率いる現地部隊2万の、総兵力5万の部隊。

 対して攻撃側の第2王女派の戦力は、軍師フェスティア自らが率いた総勢5万の兵力。内訳は龍の爪3万5000、新白薔薇騎士団5000、反カリオス派諸侯ヘクラス=ガルス侯爵の部隊1万である。

 フェスティア率いる第2王女派の部隊は、領内に攻め入ると、その途端に領内各地の集落・村・街を見境なく襲い、容赦なく略奪を仕掛けた。

第1王子派の指揮官ジュリアスは、その動きをいち早く察知し、領民を保護すべく部隊を動かす。

 結果、第1王子派は領内に戦力を分散し、容赦なく略奪や虐殺を敢行してくる第2王女派に対して、各個に対応。領民の保護を第1優先にするよう努めた。

 この動きに、フェスティアは即座に対応。

 分散した第1王子派の部隊に対して、自らの部隊は戦力を集中させる。

特に巧妙だったのは、全部隊を1か所に全て集中させたというわけではないところ。練度が低い龍の爪の兵士やガルス侯爵の兵士などの、戦闘能力が低く数だけが多い大部隊を陽動部隊として編成する一方で、新白薔薇騎士団のリアラ、ミリアム、クリスティアや龍の爪の主だった将官であるオーエン、ジャギボーンなど、数は少ないが極めて高い戦闘能力を有する将官で構成された精鋭部隊を別で編成し、それぞれの役割を与えたことだった。

 フェスティアは、陽動部隊を巧みに動かすことで、ジュリアスを翻弄――第1王子派の動きをコントロールしながら、分散させた敵部隊を、戦力を集中させた精鋭部隊で各個撃破する作戦に出た。

 ジュリアスはこのフェスティアの動きに対応出来ず、やがて第1王子派の部隊は領内の各地で敗走を続けるようになった。

 数の上では5万同士の互角。

 兵の練度でいえば、第1王子派が有利。

 圧倒的とまではいかないものの、大勢としては第1王子派の有利と思われたこの戦いだったが。

 結果、フェスティア率いる第2王女派の軍は、陽動部隊にそれなりの被害を出したものの、ジュリアス率いる第1王子派を撃退し、グラシャス領を占領した。

 コウメイとフェスティア――両軍の軍事最高責任者をもってして、この戦争自体の勝敗に成り得ると認識されていた、この緒戦の大決戦で――

 第1王子派は大敗を喫したのだった。

 この一事は、これから悪魔のような男グスタフが支配する、魔王を越える暗黒の時代が訪れることを予感させた。

 ――以上、聖アルマイト王国戦史に綴られた記録より一部分を抜粋。
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