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第3章 欲望と謀略の秋 編

第63話 ステラ暗躍

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 ミュリヌス地方にある第2王女邸は王族が居住しているだけあり、その出入りは厳重。邸宅自体は広大で、リリライトの世話などを目的に同じ邸宅内で生活する使用人などもいるが、厳正に選ばれた者しかこの邸宅に踏み入ることは出来ない。

 それはリリライトを守護する白薔薇騎士団、その騎士団長であるシンパ=レイオールですら、所定の手続きを踏まないと立ち入れない神聖な場所だ。

(そうだったはずですが)

 リリライト邸の廊下を歩くステラは、先ほどからすれ違う人間の中に、ちらちらと明らかに異質な人間がいるのを見て、眉をひそめていた。

 数としては多くないものの、明らかに第2王女邸には相応しくない人物が散見される。

 邸宅内を行き来するのは、主が第2王女であるため必然的に女性が大半を占める。しかし以前に比べて男性が増えたような気がする。しかも、どう控えめにみても、王族が側に置くには不相応な人相や服装をしている者達だ。

「ふぅ……」

 以前に比べて、微妙な、しかし確実な変化にステラはため息をついた。

 実はそんなことを考えている彼女自身も今はミュリヌス学園の生徒。学生服で邸内をうろつくステラも、王族が住まう邸宅に出入りする人間としては、どちらからというと相応しくない方に分けられる。

 それでも散見される人相の悪い男達とは雲泥の差である。すれ違う使用人の中には、ステラに愛想よく挨拶すらしてくる人間すらいる。

「それにしても、わざわざこの時間に呼び出しとは。いよいよ、ということかもしれません」

 時間は夜。草木も眠りにつく宵の時である。にも関わらず、以外にも邸内で起きて働いている人間も多いのだなとステラは思いながら、奥へ奥へと歩みを進めていく。

 彼女が向かうのは、邸内でも不可侵とされているリリライトの寝室だ。ここはリリライトのプライベート中のプライベート。もともとこのエリアに立ち入れる許可がある人間はごく僅かだったが、最近はなお厳しくなったらしい。

 ステラは、その僅かな人間の内の1人だった。

 寝室出入り口のドアの前に立つと、中から狂ったような声が聞こえてくる。

「んぼおおおっ! おおおおっ! イグゥ! また、チンポでマジイキしますぅ! リリのエロマンコ、グスタフ様の雄チンポ様にイガされるぅぅ! おほおおっ! んおおおっ!」

「おほおおおうっ! いいぞ、リリぃ! もっと豚みたいに鳴いてみるんじゃあっ! それとワシのことは旦那様じゃあっ! リリはワシの、愛しい愛しいドスケベチンポ嫁じゃからのぅ」

「んほぉっ! おほっ、おほおおおっ! ぶひっ、ぶひぃぃぃっ! だ、旦那様ぁぁっ! リリのマンコ、旦那様の極太チンポの形にされりゅうっ! んひぃっ! 最高っ! リリ、チョーエロくなっちゃうぅぅ! ぶっひいいいいいいい!」

「おほっ、ほほっ! イクぞぉ! 孕ませてやるからのぉ! ワシの特濃チンポ汁で、リリの淫乱マンコに種付けしてやるわいっ! んほっ、おほっ、ぶひぃぃぃぃっ!」

 まるで獣同士のような本能丸出しの声に、ステラは頭を抱えた。と同時に、あの純白の姫とすらうらわれたリリライトすら、グスタフの言葉通りに堕ちたという現実に、目を細めるのだった。

 この雄たけびのような喘ぎ声を最後に、寝室からの音は落ち着いたようだ。仮にこの近くを誰かがうろついていれば大事になっているだろう。だからこそ、ここのエリアを誰もが迂闊に立ち入れないようにしているのだろうが。

 ステラは複雑な思いを胸に抑えながら、寝室のドアをノックしようとする。

「んちゅうっ! んれぇろぉ……れろぉぉ……だ、旦那様ぁ……まだ足りないのぉ。リリのエロマンコ、もっともっと旦那様のチンポミルク、もっと注いでほしいって、さっきからマジ疼いてヤバいですぅ」

「ぐひひひっ! 可愛い奴じゃのう。今晩は一晩中――」

 バァン!と、怒りの感情をこめてステラは寝室のドアを蹴破るようにして開ける。

「――う……」

 中の、淫猥な熱気と臭気に思わず顔をしかめるステラ。

 中では立ったグスタフに抱えられるようにして全裸のリリライトがぶらさがっていた。甘えるようにキスをせがむリリライトはステラには気づいていないようだったが、さすがにグスタフはステラに気づいて、驚いているような表情を作っていた。

「お楽しみは結構ですが、私を呼び出したことを忘れないでいただきたいですわ」

 怒りを包み隠そうともせず、リリライトと繋がっているグスタフへ、腕組みをしながら言い放つステラ。グスタフはにんまりと笑いを浮かべながら

「ほうほう。リリがドスケベで可愛くて、ついつい夢中になってしもうた。悪かったのぅ、ステラ嬢。どれ、よければお主も加わってはどうじゃ?」

「くすくす。ご冗談を。男性との行為など、死んでもお断りですわ」

 怒りの感情はそのままにグスタフの世迷言を笑い飛ばすステラ。

 しかしグスタフは激昂することもなく落胆する様子もない。

「お主はそうじゃったのぅ。ふむ、少し惜しい気もするが、リリとはいつでも好き放題出来るからのぅ。――ほれ、どかんか。今夜はちょいと、大事な話があるじゃて」

「あ、ああん。そんな、旦那様っ……」

 グスタフは抱えていたリリライトをそのままベッドまで運ぶと、まるで物のようにベッドの上に放り投げるようにする。

「や、やだやだっ! リリはもっと旦那様とドスケベセックスしたいです! 快楽優先のエロいベロチューしながら、逞しいオチンポで雌豚マンコをハメハメされて、チンポミルクどぴゅどぴゅ発射されたいのぉっ! 旦那様ぁぁっ!」

 グスタフと同レベルの汚い単語を必死に口走るリリライト。目には涙さえ浮かべて必死に手を伸ばすが、グスタフは全く取り合わない。手早くローブを身にまとい、ステラが待つ入口へ歩いていく。

「ここは雌豚がうるさいじゃて。別室に行こうかのぅ」

「あああっ! 旦那様っ! オチンポ下さいっ! セックスぅ! 恋人セックスしたいっ! オチンポぉぉぉぉ!」

 延々と下品な言葉を口走るリリライトを一瞥してから、ステラはグスタフに続いて寝室を出ると、ドアを閉めてグスタフの後に続く。

「――よくもまぁ、あそこまでリリライト姫殿下を躾けたものですわ。もはや狂人ですわね。正気に戻りますの、あれ?」

「ぐひひひ。今はそれまで抑圧されていたものが一気に解放されておるからあんな感じじゃが、直にTPOは弁えて、今までの通りのお姫様を振舞えるようになるじゃろうて。普段は姫らしく振舞おうており、裏では交尾中毒の雌豚なぞ……ぐひひ、最高ではないか」

 その醜い笑い声を憚ることなく聞かせてくるステラ。しかしステラの方も、白薔薇の騎士候補生である自らの主リリライトをこうまで侮辱されることに、何の感情の変化も見せていないようだった。

 そうして2人が向かったのは、邸宅内に用意されているグスタフの私室だった。王族レベルの贅沢な調度品で彩られた部屋の中、ステラはグスタフに促されるまま丸テーブル側にある椅子に腰かけた。

「それで? 今夜の用向きはなんですの?」

 少し不機嫌――呼び出しておいて、それを忘れて行為にふけっていることは彼女のプライドを傷つけて当然だったが、それを抑えてステラが問いかけると、グスタフは2つのワイングラスをテーブルの上に乗せてきた。

 グラスの中は血の様に真っ赤なワインで満たされている。間違いなく、国内で最高級のワインであることが分かった。

 お詫びのつもりだろうか、ステラは遠慮なくそれを喉の奥に流し込む。

「ひょほほ。なに、最近は直接話をする機会も無かったでのう……お互いの状況確認をしておきたいと思うての。ワシの方は、さっき見ての通りじゃ」

「ああ、なるほど……」

 ワインを流し込んだステラは、舌で口の周りに付いたワインを舐めとる。自分のことを忘れていた無礼は、この美味さに免じて許すことにしたのか、満足そうな笑みを浮かべていた。

「私の方も順調ですわ。もう、あの娘は私のものになりました」

「ぐひ、ぐひひっ! 確か、今年の新入生という話でしたなぁ。ステラ嬢が興味を持つ女学生とは、いやはやどんな娘なのかのぅ」

「そんなこと、貴方には関係ありませんわ。私達は利害が一致しているから手を組んでいるだけ――お互いの趣味には不干渉であることは、事前に確認していますわよね?」

「いやいや、分かっておる分かっておる。ただのぅ、気になるではないか。ステラ嬢ともあろう女子が、何の変哲もない一学生にそこまでご執心とは……例えば、アンナ=ヴァルガンダルのような飛びぬけた秀才なら分かるものじゃが、奴より劣っていたという話ではないか」

「余計な詮索は感心しませんわね」

 質問を突っぱねても、粘りつくようにしつこく聞いてくるグスタフにステラは辟易とする。

「私は貴方と交わした約束をきちんと履行すべく動いていますわ。そのために貴方に課したのは、リアラには手を出さないで欲しい……それだけですわ。それ以上、何か知らせる必要はありますの?」

「ぐ、ぐふふふ。そうじゃ。そうじゃったのぅ。ほんに、ステラ嬢の言う通りじゃ」

 まるで汚物を見るようなステラの視線だったが、グスタフはそんなステラの視線すらも嬉々として受け止めているようだった。

「では、目的の学生を手にしたということは、準備の方は良いのかのぅ?」

 そのギラついたグスタフの眼に、ステラはグラスに残ったワインを飲みほしてから答える。

「えぇ。そろそろ始めさせようと思っていますわ。早ければ年内からでも……遅くとも年明け頃くらいからですわね」

「ぐひひひひ。それは重畳。そうしたら、ワシも忙しくなるのぅ!」

 そのステラの返答に、ギラついた目をしながら喜ぶグスタフ。

「よく言いますわ。既に生徒だけではなく、教師にも手を出しているようですが」

「ひょほほほ、よくご存じじゃのう。リリがあまりにもドスケベで、ここ数日ワシのチンポが滾ってしまってのぅ。つい我慢出来ずに……のぅ」

 グスタフがそう言うと、ステラは呆れたような表情をしながら答える。

「全く、私が協力する意味はあるんですの?」

「ぐふふっ。そもそもお主から持ち掛けてきた駆け引きじゃろうて……最も、お主の協力があればこそ、腑抜けの馬鹿王子に感づかれる前に動けそうじゃがのぅ」

 その言葉に、急にステラの表情が引き締まって、目を細めてグスタフを見据える。そのステラの表情の変化に気づいたグスタフは、彼女から聞かれる前に

「この調子なら、春までには準備が整うじゃろうて」

「――そうですの」

 当初の計画よりもずいぶん前倒しになっている、良いことだ。上機嫌になったステラは、満足そうに笑みを浮かべる。

「ぐひっ……ぐひひっ! それより、ステラ嬢――ワシはさっき中途半端なタイミングで止められてのぅ! お主のそのドスケベなエロボディを見て、辛抱たまらんのじゃあっ!」

 と、実はステラは最初から気づいていたが、ローブの下からでもわかる程テントを張っていた肉棒を、グスタフは節操も無くポロンと取り出す。

「くすくす、仕方のない殿方ですこと」

 言うに事欠いて「それより」とは。

 両者にとって、今話していること以上に重大なことなど有り得ないだろうに。この男は全てにおいて性欲が優先されるのであろう。まさに欲望の権化、そのものである。

「いいですわよ。私も上質なワインをいただき、良い気分になっていたところですの」

 男と繋がるくらいなら死を選ぶ――それくらいにステラも歪んだ性癖と嗜好を持っているが、好色であることはグスタフに引けを取らない。それに雄の精を受けるだけなら、ステラにとっても大いにメリットがある。

 ステラは制服の上着のボタンをはずしていくと、下着に包まれたその豊満な乳房をグスタフの眼前にさらけ出す。

「むほおおおっ!」

 グスタフが歓喜の声を上げると、ステラは下着も取り払い、上半身は裸となって、椅子に座るグスタフに近づいていく。

「グスタフ卿は座ったままで……リリライト殿下には出来ない程、絞りつくして差し上げますわ」

 幾分上気した顔で、ステラは自らの豊満な胸を持ち上げるようにすると、既に熱く滾っている肉棒を包み込む。

「んほおおおっ? パ、パイズリじゃああっ! た、確かにこれはリリには出来んっ」

 胸に挟まれた肉棒がビクンビクンと嬉しそうに震える。灼熱のような熱さを感じながら、ステラは乳房でマッサージをするように刺激をくわえていく。

「んほっ! んほおおっ! おほおおおっ!」

「汚い喘ぎ声ですわ。……もっと、聞かせて下さいまし」

 乳房で肉棒に刺激をくわえながら、凶悪なまでに膨らんでいる亀頭へと、ステラは舌を伸ばす。

「れろれろ……ちゅう……」

「ぐひぃっ! た、たまらんぞぉぉっ! 貧乳ばかり相手だったから、これは……んほおおおっ! そのままくわえるんじゃあっ!」

「あむ……んぐ……ちゅば……」

 相変わらず獣のような声を出しながらステラに命令するグスタフ。ステラも特に嫌悪感を示すようなことはなく、素直に胸に挟んだ肉棒をほおばる。

 雄をいいように弄んでいるという悦楽が、ステラの興奮を刺激していく。

「んほおおおっ! おおおおおっ! ぐっ、出るぞっ! イグぅぅぅぅぅ!」

 やがてステラの奉仕に耐えきれなくなったグスタフは腰を突き上げるようにしながら、ステラの口内に欲望の塊を発射する。

「ん……んぐ……ちゅうううう……ごくんっ……」

 ステラはそれを嫌がるどころか、苦しそうな表情1つ見せず、戸惑うことすらせず、発射された白濁を嚥下していく。発射が終わった後も、貪欲に吸い出すように亀頭へ吸い付いていた。

「ん……ぷはぁ……ふふ、とても熱くて濃いですわ……れろぉ」

 ステラは口の周りについた白濁を指ですくって舐めとると、恍惚とした表情でそうつぶやく。

 ついさっきまでリリライトと行為に及んでいたばかりだというのに、それも1回や2回程度ではないだろう。にもかかわらず、ゼリーのように濃厚で大量の精液を吐き出す絶倫ぶり。

本当に、見た目は醜悪、態度は下劣、言葉使いは下品。人間というか生き物としては間違いなく最底辺の存在だが、この点に関してのみステラはグスタフのことを高く評価していた。

(そうですわ。今度リアラにも胸を使った奉仕をさせましょう。あの娘ならきっと喜んでやるでしょうね)

 そう考えるだけでゾクゾクと興奮に打ち震えるステラ。

 一方、射精したばかりだというのに、全く萎えることなく肉棒を屹立させたグスタフは、おもむろに立ち上がって、ぜえぜえと息を荒げていた。

「むほおおおっ! た、たまらんっ! このままハメさせろぉぉっ!」

 まさしく餓えた獣そのもののように、ステラに襲い掛かるグスタフ。しかし、ステラは涼しい表情で優雅にその手から逃れるように動くと、自分が座っていた椅子へ戻り、衣服を着なおしていく。

「いやですわ、グスタフ卿。貴方との行為は、何があっても断固お断りするというお話ですわよね。ここまでしているのは、あくまでサービスですわ」

「ぐ、ぐぬぬぬっ……」

 あくまでも優雅に言い放つステラに、グスタフはそれ以上襲い掛かることはなく、悔しそうに握りこぶしを握っていた。

「先ほども言った通り、私達はただ利害一致関係。決して味方同士ではありませんわ。上手く事が進んでいるからといって調子に乗らないことをお勧めしますわよ。でないと、そう遠くないうちに痛い目を見ることになりますわ」

 口元は笑っていたが、グスタフを見る目は射抜くような鋭い目だった。

 ともすれば脅しとも取れるステラの発言だったが、グスタフは一向に怯む気配は無い。しかしだからといって、それ以上ステラに手を出そうという気もないのか、いそいそとローブを着なおす。

「ええいっ、興醒めじゃあ。この分はリリで発散してやるからのぅ! そうじゃ、パイズリしただけでイクようにしてやろうっ! ぐはははははっ!」

 そんな最低な発言を残しつつ、駆け足気味に部屋を出ていった。言葉通り、リリライトの寝室へ向かったのだろう。

 徹頭徹尾、一貫して性欲が最優先なことには、さすがのステラも舌を巻く。何が一体彼をそうさせるのか。

 それと同時に、獲物となったリリライトへの同情の念を禁じ得ない。グスタフは程なくして落ち着いてくると言っていたが、理性があるままグスタフと同じように獣欲に狂うことを刷り込まれてしまえば、もうまともな人生は送れないだろう。それは正気を失うことよりも、悲惨なことだ。

「まあ、きちんと『お姫様』をしてくれていれば、それ以上は私には関係ありませんが」

 1人、グスタフの私室に残されたステラは立ち上がり、部屋をうろうろと物色する。先ほどグスタフが用意したワインボトルを見つけ出すと、テーブルに戻って自分のワイングラスに並々と注いだ。

「楽しみですわね。これからの聖アルマイト王国がどのようなものになるのか」

 グラスを傾けながら、1人妖艶にほほ笑むステラ。その瞳は、人のものとは思えぬ、圧倒的な淫靡さを放っていた。
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