黒頭巾は異世界で…

72話 行きたい！

商会を出て、ギルドに向かう。

「食材、他に何が欲しかったの？」

「そりゃあ、海鮮ものにノリに蜂蜜、生姜にジャガイモとか、…後は、すぐには思いつかないけど、他にも色々。またゆっくり食材を探しに、他の街にも行きたいかな～？だから、旅がしたい！」

話の途中で終わっていた話題に戻り、エヴァドネとメイジーが話し出す。

「…昼食は楽しみにしているけど。食材を探しに旅って。」

食材を探す為の旅に興奮しているメイジーを見て呆れる。

「衣、食、住は大事だよ。それに、旅の醍醐味？か分からないけど、一度でいいから、高級なホ…じゃない、宿屋に泊まってみたい！」

メイジーはホテルと言いそうになって、すかさず言い直した。

冒険者でいっぱいお金を稼いで、高級宿屋で優雅に過ごしてみたい！

拳を作り頭を上下に振るメイジーを見てアディス達は生暖かく見守りつつ、エヴァドネから話を挟む。

「ああ言う所は息がつまるだけだよ～。」

「ゴテゴテの所に行けば疲れるけど。癒しがある所ならいいんじゃない？」

気が進まないエヴァドネにメイジーが提案をする。

「例えば？」

「風情ふぜいがあったり、景色が綺麗だったり、温泉があったりとか？」

口元に人差し指を置いて考え、案を挙げるメイジー。

「温泉街！私達まだ行ったことが無いよね？アディス、今度行こう！」

温泉と聞いたエヴァドネは一度は行って見たいと思っていた場所を思い出し、気分が上がりリーダーのアディスにねだる。

「温泉街があるの！？じゃあ、じゃあ、高級温泉宿に行きたい！」

エヴァドネの話にメイジーもテンションを上げ賛同する。

女性陣の押しに、男性陣はタジタジとなっていた。

「で、因みに、その温泉街ってどこにあるの？」

思わず、その温泉街がどこにあるのか気になったメイジーは皆んなに尋ねる。

「隣の国とまでは行かないが、この街ネストルから王都まで大体ひと月掛けて向かい、王都から、また約ひと月ほど掛けて隣の国 ロフソニア王国に隣接する、セルテニオス王国ジキスムント公爵領に向かえば温泉の街イグネスがあるんだ。」

遠い場所にある街とライアスが説明して、すぐには行けそうにないと気落ちするメイジー。

「そうなんだ。遠いね。」

「旅をするなら、イグネスも行けるだろ。」

"今は非常時の依頼をこなして、メイジーのレベルも上げつつ、お金を貯めればいい。"と付け加えてアディスがメイジーを宥なだめる。

ライアス達は相槌を打ち、メイジーを励ましていると、ギルドに到着したのだった。