黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

文字の大きさ
上 下
38 / 82

36話 二つ名

しおりを挟む
急にギルマスが話題を変える。

「メイジー嬢ちゃんはギルドに加入したのは今日だったよな?」

何?

「はい、今日の早朝に。」

「黒の舞姫」

ん?

「黒姫」

「えーっと。」

「今日の朝から冒険者の間で噂されていたぞ。嬢ちゃんだろ?」

「私何もしてないですよ?依頼も受けてないですし…。」

迷惑は掛けてないはず…。エヴァドネには心配掛けたけど。朝は訓練場で運動しただけだしな~。

「早朝の訓練場で扇子と棒の様な物を使用しているよな?」

「見ていたんですか?ただ運動しただけですよ。」

ギルマスは口角を上げる。

「いんや、見てないさ。その噂をしていた冒険者が早朝に鍛錬に行ったら、黒の乗馬用フードを被った女の子が舞いのように踊っていたとか踊っているように攻撃技を繰り出していたとかで、あの女の子は誰だって受付嬢に問い合わせがあったそうだぞ?踊り子の様な事もしていたのか?」

ゲーム時のクエストで少し齧って、舞いのスキルを取った記憶はある、だけど。

「本格的な踊り子はした事はないです。少し齧っただけで、今日のはただの運動です。」

「ただの運動ではないだろう?噂の舞いとやらをしているのだからな。まだ、登録したばかりの無名のFランクがもう二つ名を貰うとは、大物になるな!」

ギルマスは大笑いする。

「噂の舞いを一度見て見たいですね。」

と副ギルマスが話に加わる。
二人ともというか全員見たそうな顔をする。
精霊王については目が輝いている。

「はぁ。場所も場所なので…これで、少しだけなら。」

アイテムポーチから鉄扇を目の前に出す。

「あー、少しこの辺を広くしたいので、テーブルとソファーを少し壁際に寄せても?」

ギルマスが頷いたのを確認し、シルフィにお願いして移動させる。
準備が終え、メイジーは少し開けた場所へ移動した。

「では、始めます。」


………
……





決めのポーズで終え、皆んなを見る。
ギルマス、副ギルマスは難しい顔をして頷き。
アディスは何故か穏やかな、真剣な眼差し。
ライアスとエヴァドネは称賛する。
精霊王達は興奮していた。

「メイジー嬢ちゃん、今身体強化をしていたか?」

ギルマスから質問をされて、答える。

「はい。使用しました。」

「普通なら、今の動きは身体強化しなくても動けるだろ?」

メイジーは首を傾げ思案する。この重い鉄扇を持ってあの様な穏やかな顔付きで滑らかな動きは腕力があっても難しいくらい重い仕様にしている。
ふと思う、この扇子を重い鉄扇だと告げていたか、と答えは否だ。

「あー、この扇子、鉄扇なんです。」

「だが、それでも腕力のレベルがあれば…」

「それでも重い仕様なんです。…持って見ますか?」

メイジーは軽く片手で持ち上げて手渡す動作に、ギルマスも片手で鉄扇を受け取った瞬間。

「うおっ!?なんつう重さを、軽々と持ちやがる!」

ギルマスは鉄扇を落としはしなかったが片手から咄嗟に両手で持ち直した。

「鉄扇で格闘すると、強度と重さが必要で。でも、見た目も良くして少しは相手が油断してくれればと言う意図があります。普通に持つ分には身体強化は使いませんが、俊敏に動く戦闘中にはスキルを使用します。」

重さを理解したギルマスは副ギルマスにも鉄扇を持たせると、副ギルマスも驚いていた。

「鉄扇で戦闘…。二つ名が付くはずだな!」

ギルマスはまた、大笑いしていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

「≪最悪の迷宮≫? いいえ、≪至高の楽園≫です!!」~元皇女は引き籠り生活を満喫しつつ、無自覚ざまぁもしていたようです。~

ファンタジー
ありがちな悪役令嬢っぽい断罪シーンでの記憶の覚醒、追放された少女が国を去り、祖国は窮地にさらされる……そんなよくある、だけどあまりないタイプの展開。追放された先で異国の王子様と愛を育んだり……は、しません。困難に立ち向かいながら周囲と絆を築いたり……も、しません。これは一人の少女が転生前の記憶を思い出し、迷宮という引き籠り空間で最高のヒッキー生活をエンジョイする、そんな休暇万歳!自由万歳!!な軽いノリのお話しです。一話はかなり短めなのでサクッとお暇つぶしにどうぞ。【本編完結済】

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

処理中です...