103 / 109
また会おうね
しおりを挟む
『あ・ん・た・は~~!!』
「いたっ!痛いよミシェル!」
私は今、再びミシェルに小突かれていた。
いや、小突かれると言うより、殴られていると言った方が近いだろう。
『あんたは学習すると言う事を知らないの!?』
「そんな訳ないじゃん」
私だって勉強すれば、それなりに覚える事は出来るんだよ。
だから裁縫も出来るし、帳簿も付けれるようになったし、料理だって結構作れるし、毒キノコだって見分けられるんだから。
『そう言う事を言ってるんじゃなぁ~~い!!』
あんたの意図が分からないよ。
言いたい事が有るなら、はっきり言ったらいいじゃん。
『私忠告したよね。無理な事、バカな事をするなって。それをまた何やってくれちゃってるのよ!』
あぁ、その件ね。
「だって仕方ないじゃない。あのままだと被害が大きすぎて、緑の御方や、たくさんの人が死んじゃうところだったんだから……」
『だからって、あんた一人が全部背負って、命を賭ける事無いでしょう!?』
「だって、たくさんの人の命と私一人の命だったら、考える事も無いでしょうに」
『あーんーたーはー!まだそんな事を!!確かに沢山の命が失われるのは悲しい事かもしれないよ。でもね、災害はいつでも起こり得る事だし、その災害で亡くなる人はたくさんいる。それは自然の摂理であって、あんたのせいじゃない。あんたが一人で自分の命を掛けてまでやる事じゃないんだよ。それにあんたの命だって、その大切な命の中の一つだって事を忘れちゃならないんだよ!見て見なよ!!』
雲の切れ目からミシェルの指さす方を見下ろせば、あの山頂で、私がリンデンさんと寄り添うように眠っている。
そして少し離れたところで母様が泣いていた。
父様は辛そうな表情で母様の肩を抱いている。
兄様達は何とか私に近づこうと、力任せに何もない空間を叩いている。
兄様多分無理だと思うよ。
それってきっと、地の神様が張った結界だと思うから。
あの時聞こえた声は、たぶん地の神様と緑の御方だろう。
きっと緑の御方は助かったんだ。
そしてああ言ってもらえたなら、後はあの方達にお任せしても大丈夫、私の使命は終わったんだ。
そう思い気を抜いちゃったんだよねー。
結果こうしてミシェルに怒られる羽目になってしまったんだけど。
『あんたが無茶したせいで、ああして涙している人たちがいるんだよ。その事を分かったうえで、よーく反省しな!』
「はーい…」
そう返事はしたが、私の心は反省する気にはなれなかった。
後悔などこれっぽっちもする気は無い。
たとえあそこに転がっている私の体に二度と戻れなくとも、私のやった事が無駄では無かった以上、それはやり甲斐のある事だったんだ。
『……ふんっ、勝手にすればいいよ…』
どうやらミシェルは、頭から私のやった事を否定している訳ではないようだ。
ただ私が無茶をし、そのためにまた死にかけた事を怒っているらしい。
分っているよ、そんな事。
取り敢えずこの状態でいても、下界の私は腐る様子が無い。
ならば体はまだ私と繋がり、生きていると言う事だろう。
今は回復のために、魂だけ此処に居るとみた。
だがここで私は何をしていればいいのか?
横たわり安静にしてた方が良いの?
健康のために運動でもする?
今までの死にかけた時の記憶はすっぱり消えていて、以前はどうしていたのか、どうすれば良いのか全然分からない。
ならば分からないなら分からないで、何でもしてみようじゃないか
『どうでもいいけれど、私だって暇じゃないんだからね、さっさと体力回復して体に戻ってよね』
そんなに邪険にしなくたっていいじゃない。
私だってさっさと帰って、やりたい事が有るんだい!
『奥様だってもう若くは無いんだからね。もしあたしが行くまでに子供が生まれない体になっちゃったらどうしてくれるの。あんたがいつまでもグズグズしてるなら、あたしはさっさとあんたに見切り付けて、奥様の所に行っちゃうんだからね』
「えっ、えっ、えっ、それってもしかして………」
『へへ、なんと私は奥様の子供として生まれ変われることになりました!』
ミシェルはそう言い、得意そうな顔をし、ヴィサインをする。
『冗談じゃなく、なんちゃってじゃなく、あたし本当に奥様と旦那様の子供として生まれ変わるんだよ。どうよ、羨ましいでしょう』
「良かった、良かったねミシェル…。あなたの願いが叶ったんだね。神様って本当にいるんだね……」
いや、確かにいたな…………。
『ありがとう。そう言えばあんたにことづけが有ったんだ。”ほんの礼だ”だってさ』
どうやらどこかの誰かから口添えでもあったようだ。
少しの間だったら付き合ってやるよって、照れくさそうにミシェルが言う。
多分、私にこうしてまた会えたのが嬉しいんじゃないかな。
もうミシェルったらツンデレちゃん。
私もあなたにまた会えて、とても嬉しいよ。
あなたも私も、今は何でもできる自由の身だ。
ならば何度目かの再会を祝い、思い切り遊ぼうじゃないか。
『ほら、舐めて見なよ。全然塩辛くないんだから』
「げっ、メチャクチャしょっぱいじゃない、嘘つき」
『嘘なんてついていないよ。何ならあたし、コップでがぶ飲みしてやろうか』
「やめなよ体に悪いから」
どうやら私は下で眠っている体とシンクロしているせいか、五感を引きずっているようだ。
だからミシェルにぶたれると痛いし、こうやって海水を舐めれば味を感じる。
まずこうしてミシェルと一緒に海に来た。
それから二人で色々な所に行き、いろいろな事をした。
時にはあの山に行き、眠っている自分やリンデンさんを眺めたりした。
ピーポちゃん達は山の麓の所々で、山を取り囲むように眠っている。
まるでこの山を登る人をチェックしているようだ。
春になると色々な人が、私達の眠るこの山頂を目指す。
そして結界の外から、まるで神様を崇めるようにリンデンさんを眺め、帰っていく。
その人達の中に邪な思いを抱いた人を感じると、ピーポちゃんやハルちゃんやサラさんが追い払っていた。
面倒を掛けてごめんね。
体に戻ったら恩返しするからね。
『エレオノーラ、あたしそろそろ行ってもいいかな……』
私が眠りについてから、一体どれぐらいの時が過ぎたんだろう。
ミシェルと一緒に遊んでいて、とても楽しくて、つい時間を忘れていた。
「そうだね。そろそろ行った方が良いね。私はあとどれぐらいで体に戻れるか分からないけれど、そう遠い話じゃ無いと思うんだ」
これはただの願望かもしれない。
実際はまだ5年も、10年も、50年も掛かるかもしれない。
出来れば100年は勘弁してほしい。
『そうだね、エレオノーラもだいぶ元気になって来たみたいだし、そう時間はかからないでしょう』
「本当!?」
『ほんとほんと、このミシェル様が保証するよ』
「良かった。ねえミシェル、それなら私はまた、あなたに会えるね」
『そうだね、でも多分私はあんたの事を忘れていると思うよ。だって何も知らない真っ新の赤ん坊に生まれるんだから』
「それでも会いに行くよ。だから待っていてね。そしてちゃんとまた友達になろうよ」
『あぁ、楽しみにしているよ』
それから二人でバンウルフに向かった。
そしてミシェルが笑いながら手を振り、ランツ様の屋敷に消えていくのを見送った。
「一人になっちゃったな……」
まあくよくよしていても仕方が無い。だから今は、今晩だけは、あの山の山頂でリンデンさんと一緒に眠ろう。
「いたっ!痛いよミシェル!」
私は今、再びミシェルに小突かれていた。
いや、小突かれると言うより、殴られていると言った方が近いだろう。
『あんたは学習すると言う事を知らないの!?』
「そんな訳ないじゃん」
私だって勉強すれば、それなりに覚える事は出来るんだよ。
だから裁縫も出来るし、帳簿も付けれるようになったし、料理だって結構作れるし、毒キノコだって見分けられるんだから。
『そう言う事を言ってるんじゃなぁ~~い!!』
あんたの意図が分からないよ。
言いたい事が有るなら、はっきり言ったらいいじゃん。
『私忠告したよね。無理な事、バカな事をするなって。それをまた何やってくれちゃってるのよ!』
あぁ、その件ね。
「だって仕方ないじゃない。あのままだと被害が大きすぎて、緑の御方や、たくさんの人が死んじゃうところだったんだから……」
『だからって、あんた一人が全部背負って、命を賭ける事無いでしょう!?』
「だって、たくさんの人の命と私一人の命だったら、考える事も無いでしょうに」
『あーんーたーはー!まだそんな事を!!確かに沢山の命が失われるのは悲しい事かもしれないよ。でもね、災害はいつでも起こり得る事だし、その災害で亡くなる人はたくさんいる。それは自然の摂理であって、あんたのせいじゃない。あんたが一人で自分の命を掛けてまでやる事じゃないんだよ。それにあんたの命だって、その大切な命の中の一つだって事を忘れちゃならないんだよ!見て見なよ!!』
雲の切れ目からミシェルの指さす方を見下ろせば、あの山頂で、私がリンデンさんと寄り添うように眠っている。
そして少し離れたところで母様が泣いていた。
父様は辛そうな表情で母様の肩を抱いている。
兄様達は何とか私に近づこうと、力任せに何もない空間を叩いている。
兄様多分無理だと思うよ。
それってきっと、地の神様が張った結界だと思うから。
あの時聞こえた声は、たぶん地の神様と緑の御方だろう。
きっと緑の御方は助かったんだ。
そしてああ言ってもらえたなら、後はあの方達にお任せしても大丈夫、私の使命は終わったんだ。
そう思い気を抜いちゃったんだよねー。
結果こうしてミシェルに怒られる羽目になってしまったんだけど。
『あんたが無茶したせいで、ああして涙している人たちがいるんだよ。その事を分かったうえで、よーく反省しな!』
「はーい…」
そう返事はしたが、私の心は反省する気にはなれなかった。
後悔などこれっぽっちもする気は無い。
たとえあそこに転がっている私の体に二度と戻れなくとも、私のやった事が無駄では無かった以上、それはやり甲斐のある事だったんだ。
『……ふんっ、勝手にすればいいよ…』
どうやらミシェルは、頭から私のやった事を否定している訳ではないようだ。
ただ私が無茶をし、そのためにまた死にかけた事を怒っているらしい。
分っているよ、そんな事。
取り敢えずこの状態でいても、下界の私は腐る様子が無い。
ならば体はまだ私と繋がり、生きていると言う事だろう。
今は回復のために、魂だけ此処に居るとみた。
だがここで私は何をしていればいいのか?
横たわり安静にしてた方が良いの?
健康のために運動でもする?
今までの死にかけた時の記憶はすっぱり消えていて、以前はどうしていたのか、どうすれば良いのか全然分からない。
ならば分からないなら分からないで、何でもしてみようじゃないか
『どうでもいいけれど、私だって暇じゃないんだからね、さっさと体力回復して体に戻ってよね』
そんなに邪険にしなくたっていいじゃない。
私だってさっさと帰って、やりたい事が有るんだい!
『奥様だってもう若くは無いんだからね。もしあたしが行くまでに子供が生まれない体になっちゃったらどうしてくれるの。あんたがいつまでもグズグズしてるなら、あたしはさっさとあんたに見切り付けて、奥様の所に行っちゃうんだからね』
「えっ、えっ、えっ、それってもしかして………」
『へへ、なんと私は奥様の子供として生まれ変われることになりました!』
ミシェルはそう言い、得意そうな顔をし、ヴィサインをする。
『冗談じゃなく、なんちゃってじゃなく、あたし本当に奥様と旦那様の子供として生まれ変わるんだよ。どうよ、羨ましいでしょう』
「良かった、良かったねミシェル…。あなたの願いが叶ったんだね。神様って本当にいるんだね……」
いや、確かにいたな…………。
『ありがとう。そう言えばあんたにことづけが有ったんだ。”ほんの礼だ”だってさ』
どうやらどこかの誰かから口添えでもあったようだ。
少しの間だったら付き合ってやるよって、照れくさそうにミシェルが言う。
多分、私にこうしてまた会えたのが嬉しいんじゃないかな。
もうミシェルったらツンデレちゃん。
私もあなたにまた会えて、とても嬉しいよ。
あなたも私も、今は何でもできる自由の身だ。
ならば何度目かの再会を祝い、思い切り遊ぼうじゃないか。
『ほら、舐めて見なよ。全然塩辛くないんだから』
「げっ、メチャクチャしょっぱいじゃない、嘘つき」
『嘘なんてついていないよ。何ならあたし、コップでがぶ飲みしてやろうか』
「やめなよ体に悪いから」
どうやら私は下で眠っている体とシンクロしているせいか、五感を引きずっているようだ。
だからミシェルにぶたれると痛いし、こうやって海水を舐めれば味を感じる。
まずこうしてミシェルと一緒に海に来た。
それから二人で色々な所に行き、いろいろな事をした。
時にはあの山に行き、眠っている自分やリンデンさんを眺めたりした。
ピーポちゃん達は山の麓の所々で、山を取り囲むように眠っている。
まるでこの山を登る人をチェックしているようだ。
春になると色々な人が、私達の眠るこの山頂を目指す。
そして結界の外から、まるで神様を崇めるようにリンデンさんを眺め、帰っていく。
その人達の中に邪な思いを抱いた人を感じると、ピーポちゃんやハルちゃんやサラさんが追い払っていた。
面倒を掛けてごめんね。
体に戻ったら恩返しするからね。
『エレオノーラ、あたしそろそろ行ってもいいかな……』
私が眠りについてから、一体どれぐらいの時が過ぎたんだろう。
ミシェルと一緒に遊んでいて、とても楽しくて、つい時間を忘れていた。
「そうだね。そろそろ行った方が良いね。私はあとどれぐらいで体に戻れるか分からないけれど、そう遠い話じゃ無いと思うんだ」
これはただの願望かもしれない。
実際はまだ5年も、10年も、50年も掛かるかもしれない。
出来れば100年は勘弁してほしい。
『そうだね、エレオノーラもだいぶ元気になって来たみたいだし、そう時間はかからないでしょう』
「本当!?」
『ほんとほんと、このミシェル様が保証するよ』
「良かった。ねえミシェル、それなら私はまた、あなたに会えるね」
『そうだね、でも多分私はあんたの事を忘れていると思うよ。だって何も知らない真っ新の赤ん坊に生まれるんだから』
「それでも会いに行くよ。だから待っていてね。そしてちゃんとまた友達になろうよ」
『あぁ、楽しみにしているよ』
それから二人でバンウルフに向かった。
そしてミシェルが笑いながら手を振り、ランツ様の屋敷に消えていくのを見送った。
「一人になっちゃったな……」
まあくよくよしていても仕方が無い。だから今は、今晩だけは、あの山の山頂でリンデンさんと一緒に眠ろう。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる