花の貴人と宝石王子

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第二部 旅

133、方法

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 * * *

 第五王子マラカイトが療養する部屋にやってきた鳥兜トリカブトのヤートは、患者の傷の具合を診ていた。当分普通通りの生活は送れそうにないが、常人なら死んでいたところなのだからやはり並外れて丈夫なのだろう。
 これだから石持ちの身体を調べるのは面白い。

「ところで、あなたが剣の腕も鍛えようと思ったのは何故なんだい? 魔術の方だけを極めれば、もっと楽だったはずだがね」

 ヤートはマラカイトの手をとって、魔力を調べてみた。彼は明らかに魔術師の体質だ。それも、一流の。
 石持ちは誰しも強い魔力を持つのだが、複雑な魔術を扱うにはまた別の才能が要る。

 例えば第十五王子ジェードは、魔力の量は圧倒的だが放出量が多いというだけで、込み入った術を使うのは不得手だろう。その分剣士としての能力は凄まじい。肉体は頑丈で、反射神経や腕力も化け物並みだ。ヤートが飼っている公爵令息もそちら側だった。
 一方、魔術師向きの石持ちは、彼らに比べるといささかか弱い。仕組みはわからないが、筋肉が発達しにくいのだ。

 マラカイトは鍛えているが細身である。もしジェードと体一つで取っ組み合いをしたら、あっさり負けるだろう。
 魔術師向きの者は、剣士の道など早々に諦めて魔術の特訓に精を出す方が得なのだ。しかしどうやらマラカイトは剣術の方も手を抜かなかったらしい。話によると、ジェードの域には到底及ばないが、騎士団員と手合わせすれば、まず負けなしという腕前だそうだ。

 そもそもジェード王子の強さは異次元なので、比べるのが酷というものだが。
 ここまで鍛えるには、相当血の滲むような努力をしてきただろう。

「魔術にばかり頼っていては、いざ魔力を使えない状況に陥った場合、不利になる。不足の事態を想定して備えなければならないと思った」

 それはよくわかる。ヤートは非力な花の子で、戦闘はもっぱら魔術頼みであった。だからこそ、こうして大半の魔術の使用を禁じられている場所へ閉じこめられると、出来ることが少なくなってしまうのだ。

 だが、ヤートは剣を握ろうとは思わない。何故なら向いていないからだ。花の子は人の子以上に、能力の伸び率のようなものが初めから決まっている。多少は努力で埋まる差もあれど、無理なものは無理なのだ。貴人全員の総合的な戦闘能力の順位が初めからほぼ入れ替わっていないという事実が、それを物語っている。

 人の子は少々事情が異なるが、生来の傾向というのには逆らえないのだから、マラカイトが剣と魔術のどちらの技術も上げてきたのは、なかなか立派で根性があると言えるだろう。

「あなたは剣士として振る舞っているそうだが、どうして魔術師としての道を選ばなかったのかな?」

 剣の方を怠らない理由はわかるが、あくまで魔術を優先的に学んでもよかったはずである。マラカイトは少しだけ眉をしかめた。

「魔術は……第二王子の兄が優れている。宰相も魔術師であるし、二番目の兄上に頼めば難しいこともこなしてくださるので、私が魔術の方で出しゃばる必要はないからな」

 話す途中の僅かな間が、葛藤を表していた。つまりは兄の顔を立てるために、魔術師として生活するのを遠慮したのだろうか。
 ヤートは、王子に渡したはずの痛み止めの薬があまり減っていないのに気がついた。

「まだ痛むだろう? 何故飲まない」
「我慢できるものは我慢するようにしている」
「そんなことを続けているとそのうち目覚めて、被虐嗜好者マゾヒストになるぞ」

 ヤートは笑ったが、マラカイトは顔をしかめるだけだった。ヤートにとってはどうなろうが関係ないが、この美しい人の子がいたぶられて喜ぶさまを想像するのはなかなか楽しかった。

「鳥兜公。あなたから見て、私の能力はどうだ?」

 新しく調合した粉薬を紙に包みながら、ヤートは王子から投げられた問いの意味を考え、すぐに理解した。

「残念ながら頭打ちだ。しかしあなたは限界まで頑張ったのだから、嘆くことはないさ」

 マラカイトは背もたれにしているクッションに後頭部を押しつけ、ため息をついていた。
 ヤートが他人の力の分析を得意としているのを知って、彼は尋ねてきたのだろう。まだ自分に伸び代があるかどうか。

 何事にも限界というものがある。例えば人の子は成長期に背が伸びるが、それはいつまでも伸び続けるものではない。稀に大人になっても成長する者もいるが少数である。
 同じように魔術に関する力も限界があるのだ。大規模な術を発動させるなら、それだけ魔力の放出も多くなる。どれほどの力を扱えるかは各々異なっていた。

 マラカイトの年齢は二百五十を過ぎている。これ以上の成長は見込めないだろう。後は経験と研究を重ね、術の精度を高めていくしかない。
 マラカイトは落胆しているようでもなかった。自分でも気づいていたのだろう。それがわからないほど愚かではない。

 彼はしばらく目をつぶって黙り込んでいたが、薄く目を開いた。

「……あなた方花の貴人は、魔力量を増やせるそうだな」
「方法はいくつかあるね。裏技みたいなものだが」

 王冠さがしばかりしているように見えたこの王子だが、きっちりと調べ物も進めていたようである。

「一つは人の子と交わって、力をかすめ盗る方法だ。最近桜公がやっているやつだな。もう一つは、ひたすら溜め続ける方法」

 二つ目の方は一見簡単そうだが、試そうとする者はまずいない。というのも、四六時中集中していなければならないからだ。
 花の貴人は常に魔力を生み出し、その力は水が蒸発するように体を離れて太陽に向かっていく。この一部を溜め続ける術があるのだが、常に意識して力を手放さないようにしなければならないのだ。

 当然、日常生活に影響が出る。何百年も続ければそれなりの力を蓄えられるだろうが、ここでは使い道などないし、常時精神統一などして過ごすなど、余程の物好きである。眠る時でも気が抜けないのだ。ヤートは絶対に御免であった。

「人の子は花の子を味方につけると力が増すと聞いたのだが」
「まあね。交わりは人の子の方も魔力の流れが良くなるから、良い効果はある。限界値も微量だが増える。後は常にそばに置いて力を受け取れば、増幅させて使えるかな」
「それは瞬間的な話だな? 蓄えておく方法は?」

 ヤートは作業の手を止めて、マラカイトの顔を見つめた。先ほどまでのぼんやりとした表情は消え、引き締まった真剣な顔つきになっている。マラカイトは続けた。

「魔石という存在がある。質の良い石に魔力をこめたものだ。我々石持ちは、体内に石がある。この石は魔力を増幅させる装置のようなものという認識が一般的だが、魔石のように力をこめておく方法があるのではないか?」

 尋ねておきながら知っている、という顔である。とぼける理由もないからヤートは言った。

「ある」

 マラカイトの目が光ったようだった。

「体内から貴人の力を巡らせて、石に留める。確かに可能だ。今までそれを利用した人の子はいた。大昔だがね」

 だが、とヤートは王子に顔を寄せる。

「皆、女の石持ちだったよ。言っている意味がわかるね? 殿下。条件は、花の貴人に抱かれることだ。溜める力は身の内に注がれたものでなければならないからね」
「それは生殖器の話をしているのか。つまり、子宮がなければならないのか」
「そういうわけではない。女ばかりだったのは、人の子で抱かれる側は多くが女だったという理由に過ぎない」
「では、男にも可能なのだな」

 見つめ合い、どちらも目をそらさない。少しの間黙っていたヤートだったが、にいっと笑って口を開いた。

「ああ、可能だ」

 その言葉を聞くと、マラカイトは無表情でヤートから視線を外した。
 なるほど、とヤートは笑みを深める。すっかり打ちひしがれていると思われた第五王子だが、寝床であれこれ考えは巡らせていたらしい。転んでもただでは起きないという噂は本当のようだ。こうした意地があったからこそ、ここまで生きていられたのだろう。

 異種族の魔力を吸収する際、体外からと体内からではまた質が変わる。人の子は花の子の力をとどめておけないが、体内から得たものは別なのだ。しかも、彼らは石で増幅できる。溜めている時間が長ければ長いほど、その量も増えるのだ。

「だがね、忠告しておくが、その方法をあなたが実行したところで、狙っている相手を倒すのは不可能だよ。絶対に」

 弟王子ジェードへの嫉妬でいささか気持ちを乱されていたマラカイトだが、真の怨敵はテクタイトなのである。
 なりふり構わず力を手に入れて、討ちたい相手はその飛来石の王子のはずだ。しかしヤートの見たところ、マラカイトがテクタイトに勝つ可能性は万に一つもない。

 テクタイトの本当の実力を知る者は誰もいないのだ。彼が本気を出さなかったとしても勝ち目のないマラカイトである。多少力をつけたところで、それも一度きりの魔力。本懐を遂げるなど夢のまた夢だろう。

「それでも、今の状態よりはましだ。少しであっても何かの足しにはなる」

 策は無さそうだが、備えておきたいといったところか。
 ヤートは親切に相談に乗るような花の子ではないのだが、興味が出てきたのでマラカイトに魔術についての助言を与えることにした。
 力をさぐってみたところ、マラカイトの適性は防御系の術である。これは本人も自覚していたのか、聞いた途端にため息をついた。

 防御の術を得意とする魔術師は、戦闘の際、後方からの援護が基本になる。剣も握るマラカイトのことだから、もっと攻撃に特化した術が使える体質を望んでいたに違いない。だが、性分と才能は必ずしも一致しないので仕方がないのだ。

「私も得意なのは防御だよ。戦う時には魔力で鎧を作り出して身を守る。防御の術に優れているというのはつまり、丈夫なものを生み出せるということだ。お望みの能力ではないだろうが、なかなか使えるものだよ」

 何にせよテクタイト王子をしとめるのは無理だろうが、ヤートはあれこれと術をいくつか教えてやった。マラカイトは真剣に耳を傾け、いくつか質問をした後はまた沈黙した。

「殿下、言っておくが天竺牡丹ダリアは『そういうこと』を頼んでも協力しないぞ」
「わかっている。この上、彼に面倒をかけようとは思わない。しかし、私は……彼らの邪魔者になっているのではないか?」

 しかめっ面でマラカイトがそう言い出すので、ヤートは笑い出した。
 天竺牡丹公といえば堅物で、浮いた話は一切ない。どうやら好いた相手以外は手を出さないと決めていて、宮殿に来てからは頑なに誰とも閨を共にしていないようである。しかしその、好いた相手の手すら握れないでいるのがヤートには可笑しくて仕方なかった。

 肝心の想い人には気持ちが伝わらず、少しの間顔を合わせている人の子に露見してしまっているのだから、笑わずにはいられない。

「いや、いや……。邪魔どころか、あなたが刺されて寝込んでくれて、天竺牡丹公は感謝したいくらいなんじゃないのかねぇ」

 少し遠回しな言い方をしたので一瞬マラカイトは悩んでいたが、意味を理解したらしく軽く頷いていた。
 仲睦まじく見える天竺牡丹と菫の様子を見て、とうに恋仲なのだろうと王子は解釈していたようだが、その情報にいささか修正を加えたらしかった。

 それにしても、あの天竺牡丹を味方につけるとはなかなかの男である。ギアルギーナは真面目で公平だがお人好しではないし、人の子に肩入れする理由はない。人道的な対処をするだけして、後は距離を置いてもよかったはずだ。そもそも何事も一線を引いて関わり、深入りしない主義のはずだった。

 そんな天竺牡丹の心を動かし、彼は飛来石の王子と明確に敵対する立場を取った。すなわちそれは、マラカイトの為に他のものを捨てる覚悟を見せたということだ。
 花の子を惹きつける魅力があると言っていいだろう。それは誰にでも備わっているものではない。
 またしばらく考え事をしていたマラカイトが質問をする。

「私が襲われた後、そばに佇んでいた貴人は……」
「竜舌蘭公リダーだ。天竺牡丹が駆けつけなければ、黙ってあなたを見殺しにしたかもしれないな。何せ竜舌蘭族の希少種である女達は、ほとんどが人の子にさらわれた末、陵辱されて殺されているからね。人嫌いなんだよ、竜舌蘭は」

 竜舌蘭リュウゼツラン公リダーは月下美人公の派閥に属し、そこそこ力のある貴人であった。
 マラカイトは何やらごそごそと動き、用意をしている。部屋から出るつもりらしく、寝台の近くに立てかけてある歩行用の杖を引き寄せていた。
 そんな様子を見守っていたヤートは、マラカイトの手に丸薬を包んだ紙を握らせる。

「花の子と長い時間触れ合うと、香りが移るからね。これは香り消しだ。飲めばすぐに、誰にも感じられなくなる」
「……感謝する」

 感謝などしなくてもいい。ヤートはマラカイトのためを思って手助けをしているわけではないのだ。その方が面白い、という展開になるよう導くのが好きなだけなのである。

 ◇

 侍従に言われて訪問者を出迎えた竜舌蘭公リダーは、予想外の人物が現れたので首をひねった。
 杖をついてきたらしい、ユウェル国第五王子のマラカイトがそこに立っている。刺されて運ばれていった後、結局助かったらしいという話は耳にしていたが、興味がなかったので詳細は聞いていない。

 髪は結わず、寝台から抜け出してきたばかりだというような格好をしていた。まだ本調子ではなくて傷が痛むのか、やや背筋を曲げている。
 弱っているマラカイト王子は美しく見えた。本人に自覚はなさそうだが、倦怠感が漂う彼は、どことなく淫らで色欲をくすぐる。

「何の御用でしょうか、マラカイト殿下」

 長身のリダーは冷たい目つきで相手を見下ろしたが、マラカイトは怯まなかった。

「あなたは、人の子に恨みがあるそうだな」
「そうですね」

 竜舌蘭族に危害を加えた人の子達はとうにこの世を去った。今生きているのは関係のない人々ばかりで、しかしリダーにとっては大抵の人の子が「許し難い者達」というくくりなのである。

「恨みを晴らす気はないか」
「つまり?」

 マラカイトは上目遣いでリダーを見る。明るくはない決意が両の眼に漲っており、愚かしい頑固さの一部がそこに表出していた。
 マラカイトが己の服の襟元に手をかける。悲愴な色香を漂わせながら、彼は言った。

「人の国の王子を、辱めるというのは?」
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