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亡霊と夢に沈む白百合
9、伯爵
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* * *
「……ということだ」
レーヴェが話し終えると、ノアは視線を落として沈黙していた。
レーヴェは、黒い荒野に建つリトスロード侯爵家本邸に戻ると、ノアの執務室に向かい、事情を説明した。先に鳥を使って一報を入れてもよかったのだが、数時間急いだところで状況は好転しなさそうだし、顔を見て話すべきだと思った。
リーリヤが何者かにさらわれたらしい。部屋に入るなりそう告げると、ノアは微かに眉を動かして反応した。けれど何も問わず、目で先を促す。
時折短い質問を挟むが、大体は黙って聞いていた。自分の知っている情報を伝えると、レーヴェも黙り、ノアが喋り出すのを待つ。
「私はその、赤銅伯爵という人物は知りません。そんな呼び名の伯爵はいないはずです」
ノアはそう言った。
「本当か? この国の貴族じゃないかもしれないぞ」
「ファイエルト国近隣の貴族の情報は大体頭に入れています。特に、リトスロード侯爵領に接している西のディアノド帝国や西南のスコートリア、南のゴルハスなどについては最新の情報は得るようにしているんです。もちろん、全てというわけにはいきませんが……。馬車が消えたと言いましたね?」
「ああ」
「あなたはそんな術を目にしたことがありますか?」
「ないなぁ。聞いた覚えもない。そんな便利な術を使える奴がいるなら、自慢するか誰かが噂して回りそうなものだがな」
「そこです。人を乗せて姿を消し、なおかつ移動するとなるとかなり高度な術になります。しかもあの山は魔法の使用が制限されるんです。それほどの術を使う魔術師がいる貴族なら、小物とは思えないんですよ。しかし、知らない。通称ではなく、本名がわかるといいんですが……」
ノアは拳を口に当てて考えこむ。
「その、赤銅の貴公子とかいう医者が気になりますね」
「やっぱりそうだよな。確認してみるか」
まだ何か考えている様子のノアは、目を閉じた。彼の心中が今どんな状態なのか、レーヴェには知る術がない。だが、下手な慰めよりも話し始めるのを待つ方がいいと知っていた。
「……レーヴェ。私は、仕事が立て込んでいるのです。なので、ここを離れるわけには」
「町には俺が行く。お前はそのわけのわからん伯爵とやらの情報を集めろ。それなら仕事しながらでも出来るだろ」
ノアは睡眠時間を切り詰めなければならないくらい多忙であり、侯爵邸からそうそう出られない。今の段階で、リトスロード侯爵に――今は侯爵は療養中なので、判断を仰ぐのは当主代理である長男のクリストフだが――仕事を放り出して自分の身内の件に集中させてもらいたいとはとても言い出せないのだ。
リトスロード一家の人柄からして、頼めば絶対に許すだろう。一も二もなく行けと言う。
だがこれは、相手側の問題ではない。ノアと、そしてリーリヤの問題なのだ。長い付き合いで、ノアがどれだけ責任感と忠誠心が強いか、レーヴェは知っている。命とどちらが大切かなどという問いは愚問なのだ。人によっては天秤にかけられないものもある。
二人の為にもなるべく、内々に済ませるべきだった。
レーヴェはその謎の医者が現れたという町へ、すぐに出かけた。
「風変わりな人だったのよ。ええ、何て言うか、雰囲気がね。ただ者じゃないって感じよねぇ」
「服装はそれほど豪勢なものじゃなかったね。でもこう、平民ではなさそうだと思ったんだ。物腰が優雅でさ」
「貴族と思ったかって? そうだね、その可能性はあるなって思わないでもなかったけど、でも貴族様が身分を隠して医者に扮し、町に現れるったぁどういう理由からなんだい?」
「赤銅の貴公子……誰がそう言い出したんだったっけな」
「四十路には届かないように見えたけど。そうね、あなたと同じか……少し上かしら? 落ち着きがあっていい男だったわ」
「薬は効いたよ。うん。お供の人もいたっけな。二人」
「何で赤銅? うーん、多分だけど、髪の色でしょうね。髪が、赤銅色だったから」
「どこから来たかは聞いてないよ。名前も知らないな。『お医者様』ってみんな呼ぶから。そう、陰で、赤銅の貴公子って呼んでね。どこへ行ったかって? いやぁ、そこまではちょっとね」
町で聞き込みをしたレーヴェだったが、大した話は聞けなかった。本当の名らしきものを知る人間はいない。
その医者が滞在したのは二週間ほどで、何人かに薬を与えたそうだった。薬草を仕入れる為、仕入れ屋と近くで取り引きをする予定だと語っていたという。
変わった雰囲気だったが、特に問題も起こさず、町を発ったとのことだ。
赤銅伯爵という呼び名についても尋ねたが、皆首を傾げるばかりだ。赤銅伯爵と赤銅の貴公子。比べようにも、赤銅伯爵は容姿が不明だった。そもそも伯爵とやらが実在するかわからない。
(これは、行方探しに難航しそうだな……)
大した手土産も入手できずに、レーヴェはすぐに侯爵邸へと戻った。
ノアは仕事机に山のように、本や書類を広げている。書き物をする傍ら、本にも目を通していた。おそらく赤銅伯爵に関する調べ物と仕事を並行してこなしているのだろう。
レーヴェは帰るなり、手短に報告をした。よくわからなかったという実のない報告にはなってしまったが。
「そっちはどうだったんだ」
「赤銅伯爵と呼ばれていたらしい男を見つけました」
「本当かよ」
ノアは本をめくる。
「名は、トル・ファラエナ伯爵。エンデリカ大公国の貴族です。赤銅色の髪を持ち、強い魔力を持つ魔術師だったそうです。大きなものを瞬時に移動させる、門外不出の珍しい術を編み出したとも言われています」
とすると、本人かどうかはともかく、赤銅伯爵というのががいることだけははっきりしたというわけか。
「けど、エンデリカ大公国なんて知らねーな。どこにあるんだ?」
「ありませんよ」
「は?」
「あなたが知らないのも当然です。エンデリカ大公国は、二百年以上も前に滅びているんですから。エンデリカ大公国があった場所は、現在隣国スコートリアとなっています。ファラエナ伯爵も、言うまでもなく死んでいる」
「だとすると……」
ファラエナ伯爵の名を語る何者かが犯人、と考えるのが自然だ。そうでなくて本人だとすれば、それは亡霊ということになってしまう。
「ファラエナ伯爵が生きていた頃、リーリヤはもう生まれています。アンリーシャ一族の屈辱の頃にも当たります」
平板な口調でノアが言った。目は本に綴られる文字に向けられたままだ。
アンリーシャ一族の屈辱。どこかの貴族に飼われて、いいように使われていた時代だろう。何故強い力を持つはずのアンリーシャが縛られていたのかは不明だ。ひょっとすると相手も魔術師で、アンリーシャを上回る魔力があったか、高度な術を生み出していたか。
「私は、アンリーシャの過去を詳しくは教えられていないんです。リーリヤの過去も知らない」
かつてアンリーシャは酷い目に遭い、それを救ったのがリトスロードだった。それだけを教えられた。
過ぎたことですからね、とリーリヤは笑っていたという。彼がそう言うなら、教えてくれとノアも食い下がりはしなかった。
屈辱の細かい内容が重要ではないとリーリヤは考えていたのだろう。
「アンリーシャを縛っていたのは、そのファラエナ伯爵か?」
ノアがかぶりを振る。
「それも、わからないんです」
瞳に少し、影がよぎった。
ノアの唇が微かに動く。
――リーリヤ。
そう発音しようとしたように、レーヴェには見えた。けれど声は出ず、ノアは唇を引き締めた。
「レーヴェ、今夜の魔物の駆除のことですが」
「俺は行かない。サボるわ」
ノアが眉をひそめる。
そうは言っても、レーヴェしか仕事に行く者はいないのだ。普段は侯爵家三男エヴァンと、その家庭教師フィアリスと手分けしてこなしている。が、彼らは一週間ほど、二人で地下迷宮の探索と魔物の駆除を行うために出かけていた。
「次男に頼め、ルドルフに。あいつらならここら一帯を一人でやれるだろ。魔物も少ないんだし」
魔物の出現する数が減ったからこそ、エヴァンとフィアリスは出かけ、レーヴェが地上の駆除を任されたのだ。
「俺は消えた馬車をどこかで見かけた奴がいないかさがしてくる」
「レーヴェ」
「お前に頼まれたからじゃないぞ。俺が勝手に、さがしたいからさがしてくるんだ。いいな」
何か言おうとするノアを無視して、レーヴェは部屋を出た。胸騒ぎがしたというのに、今回の事件を防げなかったことに多少の責任を感じていた。腹も立っていた。とてもではないが、いつも通りに仕事などする気分ではない。
ノアがレーヴェにリーリヤの件でごちゃごちゃ言われる筋合いがないように、レーヴェもノアから捜索をやめるよう言われる筋合いはなかった。
ノアは追いかけて叱ってくるようなこともない。「行け」も「行くな」も本心で、彼にしては珍しく、そのどちらを選択しようか迷っているのだろう。今頃、無表情で拳を握りしめている姿が目に浮かぶようだ。
これ以上の話し合いは、ノアにとって負担になる。
レーヴェが勝手に動き回るのは今に始まったことではないので問題ではないだろう。
(手当たり次第にさがすしかないか)
しかし、万が一捜索範囲をスコートリアまで広げなければならないとなると、厄介だった。死んだ伯爵がまだ生きているなどとは思わないが、国境を越えて下手に手を出すと大きな問題になりかねない。
「わけのわかんねー奴が出てきやがったな」
レーヴェは歩きながら頭を掻きむしり、舌打ちをした。
「……ということだ」
レーヴェが話し終えると、ノアは視線を落として沈黙していた。
レーヴェは、黒い荒野に建つリトスロード侯爵家本邸に戻ると、ノアの執務室に向かい、事情を説明した。先に鳥を使って一報を入れてもよかったのだが、数時間急いだところで状況は好転しなさそうだし、顔を見て話すべきだと思った。
リーリヤが何者かにさらわれたらしい。部屋に入るなりそう告げると、ノアは微かに眉を動かして反応した。けれど何も問わず、目で先を促す。
時折短い質問を挟むが、大体は黙って聞いていた。自分の知っている情報を伝えると、レーヴェも黙り、ノアが喋り出すのを待つ。
「私はその、赤銅伯爵という人物は知りません。そんな呼び名の伯爵はいないはずです」
ノアはそう言った。
「本当か? この国の貴族じゃないかもしれないぞ」
「ファイエルト国近隣の貴族の情報は大体頭に入れています。特に、リトスロード侯爵領に接している西のディアノド帝国や西南のスコートリア、南のゴルハスなどについては最新の情報は得るようにしているんです。もちろん、全てというわけにはいきませんが……。馬車が消えたと言いましたね?」
「ああ」
「あなたはそんな術を目にしたことがありますか?」
「ないなぁ。聞いた覚えもない。そんな便利な術を使える奴がいるなら、自慢するか誰かが噂して回りそうなものだがな」
「そこです。人を乗せて姿を消し、なおかつ移動するとなるとかなり高度な術になります。しかもあの山は魔法の使用が制限されるんです。それほどの術を使う魔術師がいる貴族なら、小物とは思えないんですよ。しかし、知らない。通称ではなく、本名がわかるといいんですが……」
ノアは拳を口に当てて考えこむ。
「その、赤銅の貴公子とかいう医者が気になりますね」
「やっぱりそうだよな。確認してみるか」
まだ何か考えている様子のノアは、目を閉じた。彼の心中が今どんな状態なのか、レーヴェには知る術がない。だが、下手な慰めよりも話し始めるのを待つ方がいいと知っていた。
「……レーヴェ。私は、仕事が立て込んでいるのです。なので、ここを離れるわけには」
「町には俺が行く。お前はそのわけのわからん伯爵とやらの情報を集めろ。それなら仕事しながらでも出来るだろ」
ノアは睡眠時間を切り詰めなければならないくらい多忙であり、侯爵邸からそうそう出られない。今の段階で、リトスロード侯爵に――今は侯爵は療養中なので、判断を仰ぐのは当主代理である長男のクリストフだが――仕事を放り出して自分の身内の件に集中させてもらいたいとはとても言い出せないのだ。
リトスロード一家の人柄からして、頼めば絶対に許すだろう。一も二もなく行けと言う。
だがこれは、相手側の問題ではない。ノアと、そしてリーリヤの問題なのだ。長い付き合いで、ノアがどれだけ責任感と忠誠心が強いか、レーヴェは知っている。命とどちらが大切かなどという問いは愚問なのだ。人によっては天秤にかけられないものもある。
二人の為にもなるべく、内々に済ませるべきだった。
レーヴェはその謎の医者が現れたという町へ、すぐに出かけた。
「風変わりな人だったのよ。ええ、何て言うか、雰囲気がね。ただ者じゃないって感じよねぇ」
「服装はそれほど豪勢なものじゃなかったね。でもこう、平民ではなさそうだと思ったんだ。物腰が優雅でさ」
「貴族と思ったかって? そうだね、その可能性はあるなって思わないでもなかったけど、でも貴族様が身分を隠して医者に扮し、町に現れるったぁどういう理由からなんだい?」
「赤銅の貴公子……誰がそう言い出したんだったっけな」
「四十路には届かないように見えたけど。そうね、あなたと同じか……少し上かしら? 落ち着きがあっていい男だったわ」
「薬は効いたよ。うん。お供の人もいたっけな。二人」
「何で赤銅? うーん、多分だけど、髪の色でしょうね。髪が、赤銅色だったから」
「どこから来たかは聞いてないよ。名前も知らないな。『お医者様』ってみんな呼ぶから。そう、陰で、赤銅の貴公子って呼んでね。どこへ行ったかって? いやぁ、そこまではちょっとね」
町で聞き込みをしたレーヴェだったが、大した話は聞けなかった。本当の名らしきものを知る人間はいない。
その医者が滞在したのは二週間ほどで、何人かに薬を与えたそうだった。薬草を仕入れる為、仕入れ屋と近くで取り引きをする予定だと語っていたという。
変わった雰囲気だったが、特に問題も起こさず、町を発ったとのことだ。
赤銅伯爵という呼び名についても尋ねたが、皆首を傾げるばかりだ。赤銅伯爵と赤銅の貴公子。比べようにも、赤銅伯爵は容姿が不明だった。そもそも伯爵とやらが実在するかわからない。
(これは、行方探しに難航しそうだな……)
大した手土産も入手できずに、レーヴェはすぐに侯爵邸へと戻った。
ノアは仕事机に山のように、本や書類を広げている。書き物をする傍ら、本にも目を通していた。おそらく赤銅伯爵に関する調べ物と仕事を並行してこなしているのだろう。
レーヴェは帰るなり、手短に報告をした。よくわからなかったという実のない報告にはなってしまったが。
「そっちはどうだったんだ」
「赤銅伯爵と呼ばれていたらしい男を見つけました」
「本当かよ」
ノアは本をめくる。
「名は、トル・ファラエナ伯爵。エンデリカ大公国の貴族です。赤銅色の髪を持ち、強い魔力を持つ魔術師だったそうです。大きなものを瞬時に移動させる、門外不出の珍しい術を編み出したとも言われています」
とすると、本人かどうかはともかく、赤銅伯爵というのががいることだけははっきりしたというわけか。
「けど、エンデリカ大公国なんて知らねーな。どこにあるんだ?」
「ありませんよ」
「は?」
「あなたが知らないのも当然です。エンデリカ大公国は、二百年以上も前に滅びているんですから。エンデリカ大公国があった場所は、現在隣国スコートリアとなっています。ファラエナ伯爵も、言うまでもなく死んでいる」
「だとすると……」
ファラエナ伯爵の名を語る何者かが犯人、と考えるのが自然だ。そうでなくて本人だとすれば、それは亡霊ということになってしまう。
「ファラエナ伯爵が生きていた頃、リーリヤはもう生まれています。アンリーシャ一族の屈辱の頃にも当たります」
平板な口調でノアが言った。目は本に綴られる文字に向けられたままだ。
アンリーシャ一族の屈辱。どこかの貴族に飼われて、いいように使われていた時代だろう。何故強い力を持つはずのアンリーシャが縛られていたのかは不明だ。ひょっとすると相手も魔術師で、アンリーシャを上回る魔力があったか、高度な術を生み出していたか。
「私は、アンリーシャの過去を詳しくは教えられていないんです。リーリヤの過去も知らない」
かつてアンリーシャは酷い目に遭い、それを救ったのがリトスロードだった。それだけを教えられた。
過ぎたことですからね、とリーリヤは笑っていたという。彼がそう言うなら、教えてくれとノアも食い下がりはしなかった。
屈辱の細かい内容が重要ではないとリーリヤは考えていたのだろう。
「アンリーシャを縛っていたのは、そのファラエナ伯爵か?」
ノアがかぶりを振る。
「それも、わからないんです」
瞳に少し、影がよぎった。
ノアの唇が微かに動く。
――リーリヤ。
そう発音しようとしたように、レーヴェには見えた。けれど声は出ず、ノアは唇を引き締めた。
「レーヴェ、今夜の魔物の駆除のことですが」
「俺は行かない。サボるわ」
ノアが眉をひそめる。
そうは言っても、レーヴェしか仕事に行く者はいないのだ。普段は侯爵家三男エヴァンと、その家庭教師フィアリスと手分けしてこなしている。が、彼らは一週間ほど、二人で地下迷宮の探索と魔物の駆除を行うために出かけていた。
「次男に頼め、ルドルフに。あいつらならここら一帯を一人でやれるだろ。魔物も少ないんだし」
魔物の出現する数が減ったからこそ、エヴァンとフィアリスは出かけ、レーヴェが地上の駆除を任されたのだ。
「俺は消えた馬車をどこかで見かけた奴がいないかさがしてくる」
「レーヴェ」
「お前に頼まれたからじゃないぞ。俺が勝手に、さがしたいからさがしてくるんだ。いいな」
何か言おうとするノアを無視して、レーヴェは部屋を出た。胸騒ぎがしたというのに、今回の事件を防げなかったことに多少の責任を感じていた。腹も立っていた。とてもではないが、いつも通りに仕事などする気分ではない。
ノアがレーヴェにリーリヤの件でごちゃごちゃ言われる筋合いがないように、レーヴェもノアから捜索をやめるよう言われる筋合いはなかった。
ノアは追いかけて叱ってくるようなこともない。「行け」も「行くな」も本心で、彼にしては珍しく、そのどちらを選択しようか迷っているのだろう。今頃、無表情で拳を握りしめている姿が目に浮かぶようだ。
これ以上の話し合いは、ノアにとって負担になる。
レーヴェが勝手に動き回るのは今に始まったことではないので問題ではないだろう。
(手当たり次第にさがすしかないか)
しかし、万が一捜索範囲をスコートリアまで広げなければならないとなると、厄介だった。死んだ伯爵がまだ生きているなどとは思わないが、国境を越えて下手に手を出すと大きな問題になりかねない。
「わけのわかんねー奴が出てきやがったな」
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