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第十章兄弟
6次はうまくやるよ
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「テオ!」
教会に戻った俺は、いきなりぶたれた。
「今日、荷運びに遅れたそうじゃないか!」
そうなんだ。オレオと話していたから、ほんの少しだけ、遅刻したんだ。だけど、どうして知ってるのか。
「今、そこで親方に会って、嫌みを言われたよ。はやく、今日の分を出しな。もう、遅れるんじゃないぞ。」
「はい。」
今日の分……そっと差し出す。
「いつもより、少ないじゃないか。」
「ごめんなさい、遅刻したからって、減らされて……今日はこれだけしかもらえなかったんだ…」
「そんなこと、言ってなかったぞ?オマエ、ごまかしているんじゃないか?その袋をよこせ。」
「あ、やめろ、さわるな!」
腰に下げた袋を奪われまいと掴んだが、顔を殴られ、取り上げられた。オレオからもらった銀貨が………
袋の中身を床にぶちまけられ、銀色が転がった。
「ああ?なんだ?これ。」
ああ、見つかってしまった。せっかく、ルーを医者に診てもらえると思ったののに…………
「どこで、盗んだ!こんな大金!」
取り上げられて、さんざん殴られた。いくらオレオの話をしても、信じてもらえなかった。しばらく痛みで動けず、夕飯も食べそこねた。
「テオ…大丈夫?」
「ルー、大丈夫。このくらい……次はうまくやるよ。」
「ごめんね。ごめん………僕がこんな…だからテオばっかり……ごめん……僕のことなんか、もう、ほっといていいから…ここから、逃げて……テオ一人なら苛められないから……」
「ばか!何言ってんだよ。俺たち、二人きりの兄弟だろ!もう、誰もいないんだから!お前がいないと、俺……う……」
やだよ。そんなこと言うなよ。俺にはお前しかいないんだよ。一人にしないでくれよ。
「テオ……」
動かない身体を震わせて、泣いているルー。その手を握り、俺も泣いた。ルー……大切な家族。
教会に戻った俺は、いきなりぶたれた。
「今日、荷運びに遅れたそうじゃないか!」
そうなんだ。オレオと話していたから、ほんの少しだけ、遅刻したんだ。だけど、どうして知ってるのか。
「今、そこで親方に会って、嫌みを言われたよ。はやく、今日の分を出しな。もう、遅れるんじゃないぞ。」
「はい。」
今日の分……そっと差し出す。
「いつもより、少ないじゃないか。」
「ごめんなさい、遅刻したからって、減らされて……今日はこれだけしかもらえなかったんだ…」
「そんなこと、言ってなかったぞ?オマエ、ごまかしているんじゃないか?その袋をよこせ。」
「あ、やめろ、さわるな!」
腰に下げた袋を奪われまいと掴んだが、顔を殴られ、取り上げられた。オレオからもらった銀貨が………
袋の中身を床にぶちまけられ、銀色が転がった。
「ああ?なんだ?これ。」
ああ、見つかってしまった。せっかく、ルーを医者に診てもらえると思ったののに…………
「どこで、盗んだ!こんな大金!」
取り上げられて、さんざん殴られた。いくらオレオの話をしても、信じてもらえなかった。しばらく痛みで動けず、夕飯も食べそこねた。
「テオ…大丈夫?」
「ルー、大丈夫。このくらい……次はうまくやるよ。」
「ごめんね。ごめん………僕がこんな…だからテオばっかり……ごめん……僕のことなんか、もう、ほっといていいから…ここから、逃げて……テオ一人なら苛められないから……」
「ばか!何言ってんだよ。俺たち、二人きりの兄弟だろ!もう、誰もいないんだから!お前がいないと、俺……う……」
やだよ。そんなこと言うなよ。俺にはお前しかいないんだよ。一人にしないでくれよ。
「テオ……」
動かない身体を震わせて、泣いているルー。その手を握り、俺も泣いた。ルー……大切な家族。
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