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お仕事の時間ですよ 3
王宮騎士物語 第48話 図書館の花
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王立学院を卒業後サーバスは城で文官の仕事を始めた。行政や事務に関わる部署の仕事を一通り経験し勉強する。将来第一王子が王となった時に、サーバスは補佐する立場になるためだ。
王立図書館にクレッセリアが訪れた時にはすぐに連絡をするよう門番には命じてある。彼女が王都に来た時は必ず立ち寄るのでサーバスは、いそいそと会いにいくのだ。
「殿下はどこだ?」
シン・ジーユは第二王子を探していた。
「あー図書館の花の所で…」
「困ったものだ。例の女か……」
「すごく美人ですって。」
「………あ、あの、…受け取りは……」
積み重ねた本を両手で抱えた男がゆっくりやってきた。シンは彼の存在を忘れていた訳ではないのだが、城内を殿下を探して歩き回ったためか、無口になった彼の進む足が遅く、少し遅れて歩いていたようだ。
「ああ、すまないな、担当が図書館にいるようだ。」
受け取りの証を、サーバスに貰わねばならなかった彼を、散々連れ回して悪かったなと思うが、そもそも、予定外の行動を取る殿下のせいなのだ。
「図書館まで運んでもらおうか。」
「はい。」
近くに偶然通りかかった騎士姿の男二人連れがいた。
「王立図書館!……私も興味ありますので、一緒に…よろしいですか?出来れば閲覧許可を……」
図書館という言葉が聞こえたようで、騎士の一人が声を掛けて来た。
「ああ、君は…第七の……」
シンは彼に見覚えがあった。
「はい。今日付けで通信部に配属されました。ポップスです。」
「同じく、フォムボトムです。」
「よろしく。シン・ジーユだ。」
「王立図書館には様々な国の本が集められていると聞きました。」
第七部隊は魔装具の研究もしていて、図書館の書物を貸し出している。その関係で何度か顔を合わしていた。
「うむ。今日届いたのも隣国の物で。たしか、シャノアの本で……ああ、着いた。」
前を歩く、フォムボトムの顔が曇ったのにポップスが気付いた。
「…………フォムボトム、何か?」
「いや気のせいか……ポップス、お前は何か感じなかったか…」
「すみません。私にはなにも……」
「入りますよ。殿下、いらっしゃいますか?」
「ああ、シン・ジーユ。」
「今日届いた本ですここに置いておきますので、受け入れ作業後、棚に並べておいて下さいね。今日の仕事はそれで終わりです。明日は定時にお願いします。」
「ああ。ありがとうシン。」
「お二人はしばらく館内をご覧になりますか?」
「はい、よろしいですか。」
ホップスとフォムボトムを見た。ホップスがニコニコと答えたのに対して、フォムボトムは不機嫌そうに黙っていた。
「ええ。帰りに声を掛けてください。それと、あちらのお客様の邪魔はしないで下さいね。殿下のご友人ですので。」
視線を向けると女性が座って読書中だった。
「それでは、私達は戻ります。」
「はい。ありがとうございます。」
フォムボトムとポップスは広い図書館内を見てまわることにした。
王立図書館にクレッセリアが訪れた時にはすぐに連絡をするよう門番には命じてある。彼女が王都に来た時は必ず立ち寄るのでサーバスは、いそいそと会いにいくのだ。
「殿下はどこだ?」
シン・ジーユは第二王子を探していた。
「あー図書館の花の所で…」
「困ったものだ。例の女か……」
「すごく美人ですって。」
「………あ、あの、…受け取りは……」
積み重ねた本を両手で抱えた男がゆっくりやってきた。シンは彼の存在を忘れていた訳ではないのだが、城内を殿下を探して歩き回ったためか、無口になった彼の進む足が遅く、少し遅れて歩いていたようだ。
「ああ、すまないな、担当が図書館にいるようだ。」
受け取りの証を、サーバスに貰わねばならなかった彼を、散々連れ回して悪かったなと思うが、そもそも、予定外の行動を取る殿下のせいなのだ。
「図書館まで運んでもらおうか。」
「はい。」
近くに偶然通りかかった騎士姿の男二人連れがいた。
「王立図書館!……私も興味ありますので、一緒に…よろしいですか?出来れば閲覧許可を……」
図書館という言葉が聞こえたようで、騎士の一人が声を掛けて来た。
「ああ、君は…第七の……」
シンは彼に見覚えがあった。
「はい。今日付けで通信部に配属されました。ポップスです。」
「同じく、フォムボトムです。」
「よろしく。シン・ジーユだ。」
「王立図書館には様々な国の本が集められていると聞きました。」
第七部隊は魔装具の研究もしていて、図書館の書物を貸し出している。その関係で何度か顔を合わしていた。
「うむ。今日届いたのも隣国の物で。たしか、シャノアの本で……ああ、着いた。」
前を歩く、フォムボトムの顔が曇ったのにポップスが気付いた。
「…………フォムボトム、何か?」
「いや気のせいか……ポップス、お前は何か感じなかったか…」
「すみません。私にはなにも……」
「入りますよ。殿下、いらっしゃいますか?」
「ああ、シン・ジーユ。」
「今日届いた本ですここに置いておきますので、受け入れ作業後、棚に並べておいて下さいね。今日の仕事はそれで終わりです。明日は定時にお願いします。」
「ああ。ありがとうシン。」
「お二人はしばらく館内をご覧になりますか?」
「はい、よろしいですか。」
ホップスとフォムボトムを見た。ホップスがニコニコと答えたのに対して、フォムボトムは不機嫌そうに黙っていた。
「ええ。帰りに声を掛けてください。それと、あちらのお客様の邪魔はしないで下さいね。殿下のご友人ですので。」
視線を向けると女性が座って読書中だった。
「それでは、私達は戻ります。」
「はい。ありがとうございます。」
フォムボトムとポップスは広い図書館内を見てまわることにした。
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