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お仕事の時間ですよ 3

王宮騎士物語 第40話 古い本

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  休みの間ブリジットはクレッセリアを連れてあちこちに出掛けた。珍しい国外の雑貨を扱う店、人気の菓子屋、服屋、植物園……毎日ブリジットは思い付くままクレッセリアを連れ出した。
「あ、本屋さん……」
ブリジットの買い物に付き合い、街を歩いていたクレッセリア。途中、読書好きな彼女の目に止まったのは一件の古本屋。
「ちょっと寄っていい?」
「ええ、もちろん。ゆっくり見てきて。私は隣のカフェにいるから。」
ブリジットはそう言って手を振った。
「じゃあ、後でね。」
しばらく店内を見て回り、気に入った本を一冊買った。貴族ではないクレッセリアが自由に使えるお金には限りがある。田舎の叔母さんの家からの仕送りは多くはないので、ほとんどは図書館で借りている。田舎には貸本屋しかなかったが、王立学院に入学が決まったとき、図書館があると聞いて王都に来るのが楽しみだった。だが、喜び勇んで足を踏み入れた彼女は少々がっかりした。図書館とは名ばかりで、古いかび臭い傷んだ本が整理整頓もされずに積み重ねてあるだけ。それでも彼女はじっくり本を探し、様々な分野の本を読んだ。当然流行の恋愛の本などなく、そういった本を手に入れるのは古本屋である。古本屋は新刊も扱っていたが、高くて手が出ない。いつも読み終わった本を売り、差し引いてもらって、古本を買う。
  一冊だけ、ずっと手元に置いている本がある。いつも持ち歩いている古い恋愛小説本。彼女の大切な写真を挟んであるその本は手放さないと決めている。
「その本も引き取ろうか?」
本を物入れから出す時に店主に見られ、尋ねられた。
「いえ、これは……」
「ああ、少し見せてもらえないか。」
「ごめんなさい。」
慌てて、店を出ようとした。だが何故か店主に引き留められた。
「少しでいい、見せてくれないか。」
店先での二人のやり取りを隣のカフェで見ていたブリジットは店を飛び出した。
  
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